orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

不老不死レガシーシステムの誕生

f:id:orangeitems:20191223152441j:plain

 

コントラストの見事さ

この、古いシステムへの辛辣な評価をまず読みましょう。

 

tech.nikkeibp.co.jp

ここで白状すると、実は私も極言暴論などの記事を執筆する際に、気軽にホイホイと使っている言葉がある。それは「老朽化したシステム」である。

お分かりかと思うが「老朽化」は全くの方便だ。システムの構成要素のうちハードウエアは本当に老朽化するが、ソフトウエアは老朽化、つまり老い朽ちたりはしないからだ。長年の改修によりコードが複雑化した状態を老朽化と呼ぶのは、冷静に考えるとさすがに無理がある。だがITの世界では完全に市民権を得ている。いろいろな意味でとてつもなく便利な言葉だからだ。

 

まぁ、暴論というより正論ですね。

現在の世の中のテクノロジーに全くおいついていないシステムを基幹システムとして使うことで、会社のスピード感が時代遅れになってしまう。

 

さて、次にこちらを読みましょう。

 

japan.zdnet.com

そんなユーザーにR/3の利用期間を延長する方法を提案するのが、PCやサーバーなどのBTO(受注生産)ビジネスを展開するファナティックだ。10年以上たって老朽化したハードウェアを同社の安価なハードウェアに入れ替えて、OSや業務アプリをそのまま使い続けることを可能にするというもの。ある部品メーカーが8台のサーバーを入れ替えるなど、実績も出てきたという。

 

老朽化したシステムが、あら不思議。OSもその上のアプリケーションも全く手を加えずハードウェアだけ新品になってしまいます。

同じようなアプローチとしては、P2V、つまりVMwareやHyper-V等に仮想サーバーとして載せ替える手段もあろうと思います。ただ、上記についてはファナティックがハードウェアとカスタムドライバーを使って、仮想の物理マシンを作ってしまうということになるでしょう。またVMwareやHyper-VですらサポートするOSには限りがありますから、それを考えると最強の方法とも言えます。もちろん動くこと前提ですが。

しかしまぁ、Windows XPやらWindows 2003やら、すでにサポートが終了してしまったソフトウェアを執念で使い続けるその算段は、改造人間さながらでもあります。

 

老朽化ってなんだろう

おそらく、こんなことがまかり通ると、SIerやハードウェアベンダーは首がしまってしまいます。システム更改に伴うハードウェア調達やクラウド利用、DX時代に備えた新しいITの利活用、などなどお金を引き出すいろいろなパスが全部失われてしまいます。

本文中には「S/4HANAへすぐに移行できないユーザーの場合、その間、R/3を安全に運用し、例えば5年後に移行する。」なんて都合のいい理由が書かれていますが、きっと5年後も「まだ使えるよ」と言ってずっと使い続けるのではないでしょうか。

まさに、不老不死レガシーシステムです。

ハードウェアが不老不死である限り、永遠に生き続けるのです・・。

そう考えてしまうと不老なのですから老朽化と言う言葉が怪しくなります。

朽ちるのは何に対してなのでしょう。ビジネスの仕組みにシステムがついていけなくなって生きているけど死に体になっているという状況でしょうか。

ただしです。カスタマイズしまくった古いシステムは、もしかしたら、この世で一番御社にとって、使いやすいシステムなのかもしれません。あんなことやこんなことを、御社のシステムに合わせてカスタマイズしてきていますし、そのために費用も支払ったはずです。何もしないのがもしかしたら、一番合理的なのかもしれない。

一方で、この不老不死システムに付き合わされるIT部員はかわいそうです。だって、今さらWindows 2003や古いLinuxに向き合わなければいけないのです。それがいつまで続くかわからない。なぜかと言えば不老不死だからです。そうやって、不老不死の薬を飲まされたIT部員は、目に見えない牢屋に囚われることとなっていくのでしょう。

こう考えると、老朽化が真っ先に訪れるのは、システムでもなく会社でもなく、お守りをするIT部員になりそうです。ベンダーに任せればいい?、さすがにどのベンダーもそろそろこんな案件、断るでしょう。いや、逆に、レガシーを生き抜いてきた50代60代に新たな雇用を生み出す・・かもしれませんが、何だか背筋が凍りそうな話題です。

 

5年ごとにシステムを作り直すこと

かなりの企業で、5年ごとにシステム更改を計画しているように見えます。

5年の間にハードウェアはどんどん進化しつつ保守のための代替部品がなくなってしまうから。しかもソフトウェアも保守がなくなる。

これを動機にシステム更改をするのですが、でも5年くらいでは会社の根幹の仕組みはそんなに変わらないよと言うのも事実です。

今回のように不老不死レガシーシステムが存在するのであれば、システム更改しないでみるのも一つの判断だと思います。ベンダーの売上を気にする必要は感じません。IT屋のペースに乗らなくてもいいのです。

※もちろん、セキュリティー対策は独自に施す必要がありますが・・。

一方で、ビジネスに対して新しいシステムが必要なのであれば、俊敏性のあるクラウドでアジャイルに小さいシステムを作り、育てていくのも手です。使わないなら捨てるだけ。

強迫観念に縛られて、DXしないと、古いシステムは捨てないと、とやっていると、いつまでたってもIT部門は、家を移し続ける遊牧民です。システム移行が終わったらまた次のシステム企画を作らないといけない。そんな企業も見てきました。私が見た彼らは疲弊していました。

老朽化やDXと言う言葉に安易に乗らずそのまま動かして変化させないものと、スクラップアンドビルドで変化し続けるもの。その見極めこそ重要かと思います。