orangeitems’s diary

クラウドで働くエンジニアの日々の感想です。

ブレインテックが導くフィクションの世界

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ブレインテックを知ってしまう

今日、初めてブレインテックなる言葉に触れて気分が悪くなってしまった。

 

www.itmedia.co.jp

「ブレインテック」という言葉を聞いたことがあるだろうか? Brain(脳)とTechnology(技術)合わせた造語で、直訳すると「脳技術」となる。脳がどのような活動をしているかを見える化し、そこに働きかけるテクノロジーという意味で、イスラエルで生まれた言葉だ。米国などでは同じ意味でニューロテクノロジーと呼ばれることも多い。

 

現状、研究の初期段階でありまだ商品化する状況ではないのだが、今後この研究が進むとめまいのするような状況が起こるのではないかといういろいろな想像に見舞われてしまった。ブレインテック自体の定義や現状は上記記事に譲るとして、この技術が発展したあとに起こりそうなフィクションをまとめておきたい。

 

議論の整理

脳の情報をデジタルにアウトプットできるという仮説を前提として、Facebookは文字入力の際キーボードやフリック入力を使わないで、脳から直接サービスに入力する仕組みを考えているという。現在のところ何らかのデバイスに筋肉運動にて物理エネルギーをインプットするか、音声をデバイスに聞き取らせ文字に変換することで、文字入力は達成できている。これを、脳の信号だけで完結させようとする試みだ。これを実現するのは脳に埋め込んだチップであると記事は説明していた。とすると、脳の信号をチップが読み取り読み取ったものをWifiなど何らかの形で外部にアウトプットしそれをデバイスが受信するということになる。

逆に、外部からの情報を脳にインプットする仕組みも実現するという。もちろんそれを融通するのもチップだ。チップが外部情報を脳に対して信号を送ることにより実現するという。

このように、脳からみてアウトプットする領域と、インプットされる領域があり、これを融通するのはチップだという。この場合、技術的にはアウトプットする方が簡単でインプットするほうが難しそうだ。脳の現象をチップが読み取るときはチップに対するプログラミングであるのに対し、チップが脳に働きかけるときはこれはデジタルでは理屈がつかないので高度にならざるを得ない。そうすると、Facebookがやっているようにまずは脳から直接アウトプットできることの方が優先されるべきだろうし、実際突破口はそこなのだろう。

まずは、アウトプットが先に実現すること。また脳にチップを埋め込むことも実現することを前提にフィクションを考えてみたい。

 

フィクション1

人々はまず、キーボードやマウスの代わりとして脳を活用しだすだろうが、明らかにもっと違う使い方ができる。埋め込むチップは別にセンサーだけの機能に絞る意味がない。CPU+MEMORY+ストレージを小型化したコンピュータをすでにチップ化できる。昨年IBMが発表した超小型コンピュータはもうすでに砂粒だ。

jp.techcrunch.com

チップ自体がOSでありアプリケーションを内蔵でき、ストレージとしての機能があるのであれば、脳の情報を溜めこむことができる。人間が考えた情報をわざわざクラウドなどのサーバー上に取り込む必要は全くない。脳の中のチップに保管しておき、その内容をスマートフォンなどのデバイスで自由に読み取ることができる。

もちろん、まずはテキスト情報のみが保管されるのだが、技術が進めば視覚情報や聴覚情報、さらには触感や味覚、感情までがデータ化される。脳の情報をデジタル化するための処理はあくまでもチップにて完結し、これを読み取ることは初めのうちはデジタルデバイスでの処理になるだろう。

そうすると、人間自身があたかもスマートフォンのように振る舞える。カメラは目についているのでパノラマ写真や動画撮影も自由自在だ。人間の目は大変高性能なので、暗くなっても鮮明に確認できる。また、もともと3Dに対応しており奥行きを再現することもできる。録音機能も優秀で、サラウンド対応となる。

チップにアプリケーションを入れれば、インターネット上のメディア、例えばSNSにチップ上の情報を投稿できるようになる。こうなると、もはや自分自身がスマートフォンになった感覚に囚われるだろう。

ここまでがフェーズ1となる。

 

フィクション2

さらに。脳に対してチップからインプットするのが難しいとは書いたが、実は別の分野の応用が可能だ。VRである。脳のチップの情報をもとにVRデバイスが動くようになればかなり精密に脳をだますことができる。現在の最新のVRは瞳の動きを見て人間がどこを見ているかを判断し、そこに情報処理を集めて緻密な表現を行っている。

news.nicovideo.jp

VRデバイスがアクセスできるのはまだ瞳の動きが精いっぱいで、中身の人間の情報がブラックボックスなので苦労している。これを脳の情報がデジタル化されたチップと連動させると一気にVRデバイス側で何を見せるかの変数が多様化する。チップにVR用のアプリをインストールしておき、そのアプリと連動してVRデバイスが動くようにすれば、もはやあとはアイデアの問題だけになる。

視覚や聴覚だけではなく、感情や人間の知識レベルまで判断し、コンテンツをコントロールできたらどうだろう。VRの可能性はブレインテックと深く関係しているといっても間違いないと思う。

 

フィクション3

技術の可能性を語り始めると明るい未来しかなさそうだが、ブレインテックが現実化すると、社会はこれをどう向き合うのか。もはやスマートフォンのレベルではない。近代史の中でテレビが現れテレビっ子なる言葉で揶揄されたが我々の世代は乗り越えた。そのうちテレビゲームが現れ、今度はゲーム脳という言葉まで生まれた。これは今の20~30代くらいか。そしてスマートフォンが現れ、スマートフォン依存とかそれにひもづくSNS依存のような言葉が生まれ、そして簡単に個人の発信が炎上するような社会となり今まさに、社会問題化している。

そしてこのブレインテック。これまでの技術進化の比ではない。

学生の脳にチップが生みこまれていたら、暗記とは何かが根底から揺らぐ。そのうちチップの内容を脳にフィードバックする技術が生まれたら、もはや人間は単なるクライアントとなる。そこにネットワークが存在したら、試験中にWikipediaにアクセスしその内容を脳にフィードバックし書き写すのか。そもそも、脳からデジタルデバイスに直接書き込めるのに、紙に文字を書くことがどれだけまどろっこしいか。

また、脳のインプットだけチップのストレージに書き込むだけではなく外部デバイスからも書き込みできるのであれば、あらゆる知識が脳に入ることとなる。単に情報を溜めこむだけなら誰でもできるようになる。あとは情報処理の差とはなるが、それさえもチップ上のプログラムが代替してくれる。例えば時刻表のデータがあるとして、そのデータだけでは、東京駅から新宿駅へ今から移動していつ到着するかは調べないとわからない。しかし乗換案内アプリをチップに埋め込めれば、ストレージ内のデータを情報処理してくれる。もっと言えば、ネットワークがつながっているのであればチップを通じてインターネットに問い合わせし返った情報を脳が受け取ればいい。

また、VRの世界が、ブレインテックによって大きく進化してしまえば、「ソード・アート・オンライン」のように脳の世界だけで別世界に囚われてしまうことだって大いにありうる。脳を100%だませてしまえば、それは現実と同じ意味に変わる。

 

まとめ

以上、私の気持ち悪さが共有できただろうか。

ハイリターンである技術は、ハイリスクを伴う。

原子力しかりだ。

ただ、人間は未知に対して探求する本能をもち、そこに課題があれば解決してしまうまで歩みを止めないだろう。

できるだけ想像力を発揮して、未知のリスクに準備をしておくことは重要だろう。それはゲノム編集の議論と同義だと思う。

www.shinmai.co.jp