orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

アメリカと中国がIT業界をハードフォークする日

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緊迫する米中両国、そして巻き込まれたカナダ

ファーウェイCFOの身柄をカナダが確保している件、もはや国同士の威厳をかけた案件となっています。

 

www.jiji.com

【北京時事】中国外務省の楽玉成次官は8日、カナダの駐中国大使を呼び、カナダ当局が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕したことに強く抗議し、即時釈放を要求した。米中間で激化する摩擦にカナダが巻き込まれる可能性が出てきた。

 

実刑30年などという大変な話まで出てきており、中国も絶対に引けない案件となりそうです。

 

jp.techcrunch.com

孟はHuaweiのファウンダー、 任正非(Ren Zhengfei)の娘だが、保釈審理をその場で取材したジャーナリストのツイートによれば、30年の実刑を言い渡される可能性がある。 アメリカ司法省は孟がHuaweiの秘密の子会社SkyComにアメリカの制裁措置に違反するイランとの取引を実行させた疑いを持っている。このとき、制裁を免れるためにアメリカの金融機関に虚偽の事実を告げたという。

 

米中貿易の不均衡に対してのらりくらりとかわし続ける中国に対して、アメリカが瀬戸際外交を仕掛けた感があります。この状況が打開できずこう着状態が続くようであれば、もはやアメリカとカナダ間の問題になってしまい、破局的な状況も現実的になってきたように思います。

 

www.chunichi.co.jp

 日本政府が中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を政府調達から事実上、排除する方針を固めたことについて、在日中国大使館(東京)は9日までにウェブサイトで「(事実であれば)両国の経済協力のためにならず、強烈な反対を表明する」と非難する報道担当者の声明を出した。

 

もちろん、日本も他人事ではありません。 

 

1枚岩のIT業界が分裂する日

 

世の中のパソコンやサーバーはかなりの割合で中国が製造しています。この中身はアメリカ企業の部品で作られています。アメリカの設計図で、製造は中国。

もしアメリカが中国に設計や部品を供給しないと決めたら何が起こるでしょう。アメリカ企業は製造拠点を大きく見直す必要があります。明らかに製品供給力が大きく落ちて短中期的には大きく部品不足になります。

次に、中国は自国で設計をし自国で製造することになります。ファーウェイの件も見てわかる通りもはや中国には自国で設計し製造する能力があります。中国のアメリカ互換製品については中国自体で利用し続けるのと、アメリカの非同盟国へ輸出することができます。

アメリカ、およびアメリカの同盟国・友好国のITと、それ以外のITが分裂する。仮想通貨の世界で言えばハードフォークが起こると考えるのは私の主観的な仮説です。また、ヨーロッパやロシアが独自色を出してくると分裂は二つではなくそれ以上になる可能性もあります。

オープンソースも成り立たなくなります。これまで公開してきたオープンソースがすでに中国にコピーされていることは仕方がないにしても、これから公開される技術は中国には決して使われたくないでしょう。そして中国も同じことを考えるはずです。アメリカ側に渡したくないオープンソースが出現します。オープンソースの世界もハードフォークされると考えます。

もっと地球規模で考えると、通信網すらアメリカと中国で分断される可能性があります。

私がハードフォークと言う根拠は、ハードウェアもソフトウェアもネットワークも、全て分断されることです。そうなったら、これまで安定した秩序を保ってきたITの世界も大混乱に陥るのは間違いありません。これまで使っていた技術は地球規模で分断されるのです。GDPRあたりからグローバルなアメリカ主導の単一ルールに黄信号が灯っていましたが、本件は決定打になりかねません。

 

日本はアメリカ側に付くだけだが・・

日米安保条約しかり、アメリカは日本側に付くだけです。しかし目の前には中国。海はありますが国境は接しています。

完全に中国とデジタル的なつながりを無くすと、大混乱でしょう。NECや富士通のパソコンは半分中国レノボが資本を持っています。東芝のパソコンはもはや台湾ホンハイ配下ですが、この台湾の扱いも大変センシティブで、中国はアメリカサイドに着くことを絶対に許さないでしょう。協業全てを見直す必要に迫られます。

中国のハイテク企業へ部品を提供している日本の中小企業もたくさんありますし、これをアメリカが許さないとするともう全く影響が読めないところです。

瀬戸際外交の破局が意味するところはIT業界のエンジニアにとって、非生産的な状況を意味します。今後本件にて発生するいろいろな状況の変化を敏感に察知しながら、なすべきことは何か主体的に考えて行動していかないと個人レベルでも大きく結果が変わってきそうに思います。