orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。



パイオニアの経営危機をなぜ香港ファンドが救うのか

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パイオニア株式会社

 

パイオニアの経営危機

20年前は優良企業の一社であったパイオニアが経営危機を迎えています。

 

web.fisco.jp

パイオニア---急落、上場廃止予定を発表で株式買い取り額にサヤ寄せ

売り気配から急落。投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアと、同社への770億円の出資、既存株主からの約250億円での株式買い取りによる「パイオニア再生プラン」に合意と先週末に発表している。

 

1990年に上場来高値である6,880円まで上り詰めた株価は、本日2018年12月10日の終値で64円をつけ終値ベースでの上場来安値をつけています。

原因はこの「パイオニア再生プラン」の中で、既存株主から買い上げる価格が一株66.1円であること、また投資ファンドの増資の一株50円であることが要因です。

なぜ、優良企業であったパイオニアがここまで香港の投資ファンドに買いたたかれなければいけなかったのでしょうか。また、香港の投資ファンドの狙いは何でしょうか。

個人の見解として、考察します。

 

なぜ770億円が必要だったのか

パイオニアの財務諸表を見ると意外な事実がわかります。

まず、自己資本比率は2018年9月末現在で28.5%もあります。債務超過まではまだまだ余裕がある数字で純資産を切り崩せばまだ延命できると一見見えます。

また、現金等も275億円あります。

これだけではわからないので、財務分析をしている記事を探したどり着きました。

 

biz-journal.jp

19年3月期の連結営業損失は、50億円の赤字を見込んでいる。18年度中に返済期限が到来する長短借入金は343億円ある。だが、現金預金は3月末より66億円減り、6月末には290億円しかない。このままでは借入金を全額返済するのは不可能だ。9月末が期限の借入金の返済もあり、待ったなしの状況だ。

 経営改善計画を主力の三菱UFJ銀行など銀行団に提示し、借入金の借り換えを予定していた。ところが、作業の遅れから経営改善計画を銀行団に提示できず、借り換えの合意が得られなかった。銀行団が借り換えに応じなければ、その時点で資金が底をつき、経営が破綻する。そこで、経営破綻を回避するためにスポンサーを探している。まさに時間との勝負なのだ。

 

つまり、三菱UFJ銀行などの銀行団が、343億円の借り換えを認めなかったということです。また、2018年9月現在でのパイオニアの負債を除く純資産は780億円です。

この事実が大事です。見た目上、銀行団としては、立て直しのきかないパイオニアに借り換えを認めるより、会社を解散して清算したほうがよっぽど安全だということです。それぐらい銀行側から見て経営再建の道筋が見えなかったことの裏返しと言えます。2009年3月期以来無配が続いていることからも、さじを投げたということでしょうか。

 

香港ファンドのねらいとは

あとは算数の問題だと思います。

下記は私の個人的な計算なので、気にしないでください。

 

増資後で銀行団に借金を返した後のバランスシートを予想してみます。

資産合計=3200億円
負債合計=1600億円
純資産合計=1600億円
自己資本比率=50%

なんともリバイバル。優良企業の誕生です。

 

2018年9月起点で根拠を考えます。

負債は1960億円です。このうち短期借入金の343億円がなくなります。概算で1600億円としました。

純資産は785億円。これに増資する770億円を足します。概算で1600億円です。

資産としては、上記の合計で3200億円となります。

 

また、株数ですが、現在3.8億株あります(66.1円でかけると250億)。これに香港ファンドが15億株(50円でかけると750億)を増資しますので、合計19億株となります。3200億円を19億株で割ると理論株価(PBR=1.0)では168円になり有利な条件のように見えます。

 

予想される買収後の動き

香港ファンドとしては、買収後はかなり厳しいリストラや資産の売却、子会社の清算を行うことも予想されます。もっと言えば短期で(赤字が生まれないうちに)切り売りしてしまえば、1000億あまり出した結果3200億円手に入るわけです。このまま赤字体質が続くのであればせっかく増資したのに資産を食いつぶすだけの結果となってしまいます。これは絶対に許されません。

もちろん、パイオニアグループ全体の再建プランが香港ファンドにあれば、再建後に再上場するということもできます。

下記にパイオニアの見解が発表されていますが、構造改革の本当の意味はわかりません。

パイオニアとベアリング・プライベート・エクイティ・アジアとのパートナーシップによる「パイオニア再生プラン」(PDFファイル)

 

感想

記事を書き始めた時は、経営ビジョンや商品開発、マーケティングのことを書こうかと思いましたが数字を追っていくうちに事実がわかってきました。

昨今の売上は縮小傾向ではありましたが、それでも3654億円という巨大な数字でありますし、連結で17000名弱を抱える大企業です。

確かに厳しいリストラや構造改革を行えば再建できなくもない、といった感触なのですが、香港ファンドがどこまで再建路線を本気で考えているかは全く不明です。少なくとも日本の銀行はそれを強いることはできなかったということでしょうね。