orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

Windows Virtual Desktopの可能性をインフラエンジニアが検討する

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Windows Virtual Desktopの発表

Microsoftから発表された新サービス、Windows Virtual Desktopが話題です。

 

「Windows Virtual Desktop」発表--Azureベース、マルチユーザー対応の仮想化環境 - ZDNet Japan

Microsoft、「Windows 7」も安全に使える「Windows Virtual Desktop」発表 - ITmedia NEWS

MSが仮想デスクトップサービス「Windows Virtual Desktop」を発表 | 日経 xTECH(クロステック)

 

業界の転換点ともなりうるサービスであり、いろいろとニュースは出ているのですがわかりにくいと思いますので、インフラエンジニア・社内情シスっぽい立場から解説してみることにします。

 

まず、Microsoft 365というサービスを知ろう

Windows Virtual Desktopのことを知る前に、Microsoft 365というサービスを正しく知る必要があります。

 

 

www.otsuka-shokai.co.jp

Microsoft 365は、「Office 365」、「Enterprise Mobility + Security(EMS)」、「Windows 10 Enterprise」が統合されたクラウドサービスです。お客様が安心して導入できるように充実した支援サービスをご用意しています。

 

パソコンを買うとWindowsもOfficeも付属してるじゃないかというのはもう昔の話で、大企業となると何万台のパソコンを管理することとなります。しかも、1個人で、デスクトップPCだけではなくノートPCも取り扱いますし、タブレットやスマートフォンも使います。多数の社員が、Windows 10でデバイスに関わらずシームレスに仕事したいという場合、1つ1つのライセンスを管理するのがもはや破綻している状態となりました。

これを解決するのがMicrosoft 365です。会社のITシステム全体をこのサブスクリプションだけでカバーできますし、月額課金ですので利用者だけ押さえておけばよいのです。最近は上記の例の大塚商会しかりですが、PCだけ、OFFICEだけ、というような煩雑な販売方法から、(Microsoft 365 + Surface)×社員数、とし、付属の「Enterprise Mobility + Security(EMS)」で統合的に管理するというのが、最先端のマイクロソフト提案です。

今私が会社を作るなら断然これにします。PCも含めてリースにして全部月額の経費することで、ぐっと資産管理が楽になるはずです。

 

Microsoft 365ユーザーなら、追加料金なしでAzure上の仮想デスクトップが使えるということ

上記の話はあくまでも、個人のPCレベルの話で、管理機能だけAzureにあるという設計でした。しかしこのPCについて、マルチデバイスの延長でAzure上の仮想デスクトップまで料金の中で付いてくるようになるというのが今回の発表の目玉だと思います。

※まあ無尽蔵に仮想デスクトップのCPUやメモリ、ストレージのスペックを無料で提供するわけはないと思いますが・・、ベースは無料で、追加料金かなあ。

もともとOSのライセンスについては、PCを買えばついてくるので、Microsoft 365のOS部分が割高に感じられがちだったと思います。しかし今回、Microsoft 365に付属するというのですから話が180度変わります。仮想デスクトップが使えるのに、そのための費用が追加でかからないということです。

例えば、競合のAmazon Workspaceでは、月額3000円~12000円程度がかかっています。この中にはOS、仮想マシン、ストレージの費用まで入り込んでいます。

 

aws.amazon.com

 

今回、Microsoft 365ユーザー(Enterprise E3およびE5のユーザー)は無料でこれを使えるというアナウンスもあることから、Microsoft 365の価値が跳ね上がったことになると思います。

もちろん単体で使うユーザーはAzureに登録してOS、仮想マシン、ストレージの費用を支払うだけです。そうするとAmazon WorkSpacesの単なる競合にしかなりません。

AWSとの違いとすれば、Windows 10などのクライアントOSもサポートするということぐらいです。AWSでは純粋なWindows 10はサポートされず、WIndows Server上のデスクトップエクスペリエンス機能でWindows 10っぽいUIが提供されるのみです。純粋なWindows 10が欲しいユーザーにとっては、朗報かもしれません。

 

利用感や基盤技術はどうだろう

技術的にはわかりましたが、クラウド上にクライアントがあることでローカルPCと比べて何かボトルネックがあるのではないか、技術的にこなれているのかと勘繰る方もいるでしょう。この分野はVDI(バーチャルデスクトップインフラストラクチャー)と言われる部分で、歴史がありCitrixとVMwareが大きく先行していました。Microsoft単体で戦っていた時期もあったのですが、Citfixをパートナーとして選んだのは少し前の話になります。

 

japan.zdnet.com

 

それだけ、CitrixのXenApp/XenDesktopに市場優位性があったことに他ならないのですが、これを機にAzure上にVDIを構築しDaaS(デスクトップ as a Service)を進めよういていました。

CitrixはCitrix Cloudなるサービスも立ち上げ独力でVDIの市場をAzure上で伸ばそうとしたのですが、市場インパクト的には地味な印象でした。

 

cloud.watch.impress.co.jp

また、「日本においては、欧米に比べてCitrix Cloudのビジネスが遅れている」としたものの、「パートナーが同様のサービスを提供していることが、その背景にある。ただし、その多くは手動で行っているものであり、Citrix Cloudによってこの課題を解決できる。ここにきて、パートナーがCitrix Cloudの採用に向けた検討を始めている」とも述べている。

 

結局のところCitrixがDaaSの顧客を創造するより、Microsoft 365の付加価値として、CitrixがリードするVDIの仮想デスクトップをばらまいたほうが爆発力があるという解釈でよろしいかと思います。

とすると、Citrixが提供するVDI技術は上記のように歴史も実績も市場競争力も随一ですから、OSやOfficeのサブスクリプションとくっついてしまうとすれば、大きく市場における占有率がぐっと高まるものと想像します。かつCitrixのXenApp/XenDesktopのパフォーマンスは有名です。優位性については下記のCitrixの営業資料を紹介しておきます。

 

www.citrix.co.jp

 

 CitrixはVDIのトッププレイヤーですから、MicfosoftのRDPプロトコルよりパフォーマンスは全然上です。昨今はクラウドゲーミングなど画像をサーバー側で作り出してリアルタイムに圧縮し、低帯域・低レイテンシーでクライアントに届けるという技術が進んでいますので、このMicrosoftのWindows Virtual DesktopがCitfix製だとすると、かなり期待大と言ったところです。

 

まとめ

VDIと言えば構築に数千万かかったうえで、保守も大変なイメージなのですが、ぐっとこのサービスで身近なものになりそうです。

会社のデスクトップは全部このサービスに集約してAzureに閉じ込めて、データもファイルサーバーをAzureに置くことで外に出ないようにして、いろんなデバイスからインターネットで同じように、シングルサインオンでアクセスできる・・・そんなサービスが身近になるのです。

サービスインを待ちたいと思います。