orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

厳しい評価制度が高品質を産むわけではないという話

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「のぞき見ドキュメント 100カメ」

先ほど、NHK総合の「のぞき見ドキュメント 100カメ」を視聴しました。週刊少年ジャンプの編集部のドキュメンタリーです。

  

www6.nhk.or.jp

ひとつの場所を、100台の固定カメラで観察する「のぞき見ドキュメント 100カメ」。撮影スタッフが誰ひとり現場にいない、固定カメラ100台を使った撮影手法により、言わば“素”の人間ドラマを描き出す新感覚のドキュメンタリー番組です。

その第一弾の舞台は、今年創刊50周年を迎えた「週刊少年ジャンプ」編集部。100個のレンズが“のぞき見”した、ジャンプ編集部の素顔とは……?

 

 

編集部の方の個人名や性格まで見えて面白かったのですが、基本的なフレームワークは名作「バクマン。」と同じです。

 

バクマン。 モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

私は「バクマン。」をアニメで全部見た経験があるのですが、編集部の中の様子とか机とか含めあらゆる風景がそのままで面白かったです。

 

アンケートからすべてを決めるというルール

週刊少年ジャンプは、読者アンケートで集計したランキングの結果を見て、連載継続/打ち切りの判断をすることが有名です。他の漫画雑誌よりもその判断は厳格で、戦略等よりランキングをシビアに優先する雑誌として知られています。

このランキング至上主義は、例えばJリーグなどでも同様かと思います。どんな人気チームでも年間順位で下位であれば、J1からJ2など下位リーグに降格してしまいます。ということは、一定数のチームの中で、必ず上位がいて下位がいることとなります。

話を単純化するため、連載漫画が10個あるとします。9位と10位は連載打ち切りとします。定期的に機械的に2作品は打ち切られることとなり編集部メンバーは緊張感を持って仕事に取り組むでしょう。この勝者と敗者を絶えず見える化することで緊張感が継続し品質が上がるという算段です。上記サッカーリーグの仕組みでも全く同じことが言えるでしょう。

とても厳しい弱肉強食といえるこのルールですが、客観的につきつめていくと疑問があります。この制度は、以下の弱点を持つと思います。

・9位と10位も十分面白い可能性がある。全部の連載が品質が高いのに、わざわざ下位を切り捨てることが悪い面に働く場合がある。次に入れた新連載が切り捨てた漫画より下であることがあるかもしれない。しかし切り捨てたものは戻ってこない。

・8位もつまらない可能性がある。もっと言えば1位から10位までつまらないかもしれない。漫画雑誌全体がつまらなくなっていることをこの制度は救えない。この制度を行えば相対的に面白いものが残っていくのだが、絶対的に面白いものが存在していることを保証していない。

少年ジャンプですら最近は発行部数の低下傾向に歯止めがかからず、アンケート制度が全てを救うわけではないのは事実かと思います。この制度の限界も認識し、違うアプローチで雑誌の品質を上げていく活動が必要と思っています。

いくら船を一生懸命に漕いでも、泥船だと沈んでいくしかないわけです。

 

組織運営のときに気を付けなければいけないこと

組織全体の中で順位をつけて、上位を優遇し下位を冷遇するようなマネジメントを取るのが正しいという誤解をしている人は少なくないと感じています。特に、若い人で管理職経験が浅いと、評価をきちんとしないと組織運営に支障が出ると思い、厳格に順位付けをしてしまいます。私も過去そういった時期がありました。しかし、このマネジメントは非常に危険をはらんでいます。スタッフ全員が素晴らしいとしても、必ず下位層を作り出してしまうのです。そうすると、一定の割合が離職していくことになります。できないのだから離職すべき、この考え方は氷河期を経験した団塊ジュニアに浸透していると思います。私もそうでしたから。人は吐いて捨てるほどいる。できないものは去るべき。こんな厳しい考えのもと生き残ってきた団塊ジュニアの体力はかなりのものがあるのですが、逆に言うと、時代は変わっておりこの考え方はもう通用しないと思います。人材不足の時代に突入しているためです。

まずは、個々のメンバーに順位をつけることよりも、個々のメンバーの能力を引き出すことを優先する必要があります。できないなら替えるのではなく、できるように促していくのです。せっかく参画してくれているスタッフに、足りない部分があればどうやれば足りるのかマネジメントも頭をひねる必要があります。

もしかすると、部下のプライベートにも踏み込んで、問題を整理しモチベーションを喚起し能力を向上させる必要すらあります。大変な時代になったと思います。できない、それならチェンジ、は禁句なのです。どんなメンバーであれ活かせる力がこれからの評価される管理職なのだと思います。体操協会のパワハラ問題の件もそうですが、恫喝や切り捨ては本当に現代にあいません。部下に9位と10位がいても、連載終了とはいかないのです。

ジャンプのアンケート至上主義を見て、過去のマネジメントの主流を思い出しつつ、今はそんな時代じゃなくなっているよな、と思い返した連休最終日の夜でした。

 

新版 はじめての課長の教科書