これは書かざるをえない。
NECの中期経営計画発表
NECの2020中期経営計画が発表された。
NEC、国内間接部門・ハードウエア事業領域で3000人削減=中計 | ロイター
大きな目玉は、
希望退職などによる3000人の構造改革(削減)で、約300億円の人件費をカット。不動産の効率的な使用による費用圧縮、全社IT共通化などによるIT費用、マーケティング費用の削減で130億円の費用圧縮を見込む。
だと思う。前回の中期経営計画2018にはなかった。その上で、
2017年度の売上高(予想)2兆8300億円から20年度に3兆円へと拡大させ、営業利益は17年度の同600億円から1500億円へと上積み。営業利益率も17年度の2.1%から20年度に5.0%へと上昇させるとの目標を掲げている。
とある。
これは、相当な無茶だ。3000人減らすのに、売上が1700億円、営業利益が900億円上がるという話をしている。人件費が一人800万だとして、それでも240億円。しかも売り上げは上がるらしい。どうやったらこうなるのか。
2018は達成できなったのになぜ2020がこんなにハードルが高いのだろう。
さて、中期経営計画2015と、2018と、今回の2020を比べてみよう。
2015の目次がこちら。
2015中期経営計画
I V2012の振り返りと中期経営方針
II 社会ソリューション事業への注力
III アジアへの注力、現地主導型ビジネスの推進
IV 安定的な財務基盤の構築
V まとめ
2018の目次がこちら。
「2018中期経営計画」目次
I.「2015中期経営計画」の振返り
II.中期経営方針
III.収益構造の立て直し
IV.成長軌道への回帰
2020の目次がこちら。
「2020中期経営計画」目次
1.「2018中期経営計画」の振り返りと 新たな中期経営方針
2. 収益構造の改革
3. 成長の実現
4. 実行力の改革
5. まとめ
毎回未達の中期経営計画って、何か意味があるんですかね。
前々回の2012中期経営計画の反省は、
高い収益目標を目指すも、コアアセットを活かした拡大モデルを描けず(p3)
• 海外での高い成長目標に対し、経営資源の集中が進まず(p3)
• 東日本大震災、タイ洪水、欧州危機等の外部環境変化に適応できる財務体力が不足(p3)
描けず、進まず。不足。はい次。
前回の2015中期経営計画の反省は、
「市場への過度の期待と実行力不足により目標未達」(p5)
って書いてありました。かなりパワーのある言葉だと思います。期待に応えられず実行力がなく・・・。
今回の、2018中期経営計画の反省は、どうでしょう。
「改善目標は概ね順調も、想定以上に既存事業が落ち込む」(p7)
だそうです。改革したけど、ノーマークだった既存の仕事がはかどらなかった、ですか。
感想
正直、2020中期経営計画の反省も今のうちから作っておいた方が、当たると思います。保守的なビジョンでは保守的な結果しかありません。もう科学的に証明されていると思います。
間接部門をどんどんリストラして、現業部門には高い目標を課し、最終的に中期経営計画が未達に終わり経営者が反省する。
どれだけ、これを続けるのでしょうか。
今回、不採算事業から撤退し採算事業へ集中するような言葉が踊っていますが、2015経営計画では、注力という言葉が踊っていました。その結果、2015の反省として実行力不足で期待に応えられなかったとありました。無理に案件を取って不採算化してしまったのだと思います。そしてそれを反省して、実行力を付け新規事業に切り込んだら2018経営計画の反省として、新規事業は成果はあったが、既存事業が想定以上に落ち込んじゃったというわけです。
この、うまくいかない感は、何が生産してるんでしょうか。
2020を読めば読むほど、自分が社員だったらこれを見たらどうなるのかと身につまされてきます。成長、実行力、スピード感、やり抜く・・・、じゃあ他の企業は、成長、実行力、スピード感、やり抜くことはできないのでしょうか。
見直しとか最適化とか撤退とか・・・
技術の会社なんですかね?
現場の専門性と、経営が乖離していませんか。
他社と比べて、何に優位性があるのか、説明できるのでしょうか。
多分、成長、実行力、スピード感、やり抜くことは、NECの方もできていると思います。
でも、他社もできているんですよ。
しかも、NECより給料が低いです。外国で戦うならもっとです。中国等の新興国の人々もどんどん成長してますよ。そこで競争したら不利です。
だから、精神論は全部排除すべきです。
技術を磨きましょう。他社にできないことをたくさん持ちましょう。
NECの技術があればどんな夢を世界に見せられるんでしょう。それに対する投資はしてきましたか?
目次のどこに投資の項目がありましたか?
AIやIoTも、もはやどこでもやっているので、差別化にはなりません。
アメリカ勢は相当な投資をして、優秀なソフトウェアを作っています。小手先で真似しても勝てるわけがない。
マーケティングも削減するようですし、間接部門の人数も減らされ、そして稼がなければいけない現業部門。
経営コンサルは誰か入ってないんですかね・・。この中期経営計画だとここ数年、過去も未来もイノベーションは感じられないです・・。
現業は、どんどん追い詰められますよ。こんなニュースも今日でましたよね。
「日本郵便がハード保守契約を全面見直し」の内情を考える - orangeitems’s diary
というわけで、はてなブログの片隅で、さけんでみました。
ほんと、PC9801/8801で栄華を誇った企業とは思えません。
もっと夢を描きましょうよ!。激励の意味で辛辣に書かせていただきました。
追記:
SIビジネス全体の状況について総括してみました。