orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

国内SIerの悲鳴、NEC、富士通3Q決算を見ての感想

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SIerの話をする前に、ことばの定義や、現在のビジネス環境について話します。

 

SIとは何か。SIerとは何か。

SIというのは、システムインテグレーションの略語です。インテグレーションとは統合という意味なんですね。これを行う企業のことを、SIer(えすあいやー)といい、日本でよく使われるわけですが、システム統合屋さんというと何か変な感じがしませんか?

もともとの意味をたどっていくと、
「システムの構成要素を順次結合して行って、一つのシステムに統合すること」
という意味を示すようです。よくよく考えるとそうなのですが、何か違和感はないですか?。現在の共通認識としては、
「企業の情報システムの構築を請け負う情報サービス」
という感じがピンときますよね。

 

日本の例

SIビジネスにおいて、日本のユーザー企業(発注側)は基本的にSIerに丸投げです。コンペ時には提案をよく吟味しますが、決まってしまえばあとは、レビューだけを行い、そのほかはSIerが担当します。ユーザーは運用試験を行い、ビジネスに利用できることを確認して検収し、そのあとの保守費用をSIerに支払い続けるという流れです。

このビジネスにおいては、伝統的なケースの場合以下がセットになっています。

・要件定義費用
・設計費用(外部・内部)
・実装、試験費用
・データ移行費用
・サービスイン後のシステム保守費用
・システムを動かすハードウェア等の初期費用、保守費用
・システムを動かすミドルウェア、パッケージソフトウェア等の初期費用、保守費用
・データセンター等の費用

もっと細かく書けますがこのぐらいにします。とにかくまるっと受けて、ハードウェアやソフトウェアの利ザヤ、保守を含めて採算が取れるかSIerは確認し、受注するのです。もちろん、難しいことを無理して受けると、採算割れ案件となるのは自明の理です。

まとめると、日本においては結構長い間、このようにユーザー企業とSIerの蜜月関係が続いてきたということです。

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アメリカの例

アメリカにおいては事情が異なります。

アメリカはまずパッケージソフトウェアが中心です。また現在では、クラウド上でソフトウェアを動かし提供するSaaS(サーズ)という形も普及しています。このパッケージソフトウェアの仕様通りに、ビジネスを変革します。日本のように、自分のビジネスにソフトウェアを合わせるのではないのです。

したがって、ソフトウェアを変えることとビジネスプロセス(どういうふうに仕事するか)の変革を同時に進めます。例えばセールスフォースを使うなら、営業手法の変更まで同時に行います。

アメリカは、プラグマティズムの国です。効果が出るならスパッと変えられるのが強海です。私はあるクラウドのセミナーで、厚切りジェイソンの講演を聞いたのですが、彼はこう言ってました。

「何で生産性の高いパッケージがあってその通り仕事すれば効率良いのに、日本はあれこれカスタマイズしちゃうの??。オカシイヨ!」

私もそう思いました。ただ、日本においては日本独自の商習慣が根深いので、アメリカのパッケージ通りには仕事できんよ、というのもありそこが障壁になっていたように思えます。

※プラグマティズムについてはこちら

アメリカという国に根ざすプラグマティズムという思想(やわらかい話) - orangeitems’s diary

 

状況が変わってきた

日本でも2017年あたりから、クラウドが基幹システムでも使われるようになり、ユーザー側の志向がぐっと変わってきたように思います。かつ、古豪SIerではない足の軽いITベンダーが、アメリカのパッケージをうまく日本で活用する方法を考え、SIerの巨大提案とコンペで競り合うようになってきました。これができるのは、クラウドが大きなファクターです。

オンプレミスと呼ばれる旧来のシステム構築では、何千万というハードウェアをはじめに初期投資の形で購入しなければいけません。したがって、システム提案において、開発がうまくいかない場合、事前に仕入れたハードウェアがユーザーに売れなくなってしまうリスクがありました。例えば、1億のハードウェアを買って、開発して、お客様に納めると。もし開発が途中で不調に終わり終了となった場合、1億は納められないので不良資産となり損失になってしまうのです。

クラウドだと、使った分だけですから、開発中も最低限のリソースでよいですし、かつ開発途中で終わったらかかった分だけ請求する契約を結んでおけばよいわけです。

小さな会社でも、大きな会社と同じ提案ができ、またクラウド利用によってコストも小さくなります。また、小さな会社はある分野に特化していることが多く、大きなSIerの「何でもできます」よりユーザー企業の経営者に刺さりやすいです。小さな会社は営業や技術トップがコンペに乗り出しますので、結構侮れないです。

また、ユーザー企業も既存のSIのやり方に危機感を持っていて、変わろうとしています。ユーザー部門の内製化とよばれる活動です。ITシステムそのものが経営そのものとなりつつあり、これを外部の会社に握られていることが経営者の悩みになっています。アメリカを見習い、自社でシステム企画をし、それを実装できるパッケージを自ら探し、パッケージのコンサルティングができる会社と組んでシステム開発をするようなケースも増えてきていると感じます。これもクラウドの力が大きいです。

 

NEC、富士通の現在の状況

この状況が数字に表れたのが、NEC、富士通の現在の状況です。

 

toyokeizai.net

 

jp.reuters.com

 

NECと富士通に共通なのが、自社でサーバー等のハードウェアをプロダクトに持っていることです。自社のサーバーとSIをセットで売る提案が伝統的です。かつクラウドに危機感をもち、自社でクラウド環境も構築したのも全く同じです。ところが、ハードウェアはどんどん値下がりしています。海外の製品も同じように動きますしハードウェアビジネス自体は利潤が取れなくなっていっています。IBMが早めにPCサーバー事業を中国レノボ社に2013年に売却しました。一方でNECと富士通はまだこれを続けています。ハードウェアでビジネスできなくなっているのが要因としてあります。かつ、昨今のクラウド化で、需要自体も下がる一方です。

かつ、クラウドについても、グローバルなクラウド(AWS, Microsoft, Google, IBMなど)と比べると大きく見劣りします。したがって、「富士通のSIだから、富士通のサーバー買うよね」というノリが通用しなくなったのが非常に大きいと思います。

そして開発手法についても、従来のスクラッチからのシステム構築より、日本にも当てはめられる柔軟性をもったパッケージソフトウェアメーカーを選ぶシーンが増えています。SIer側もパッケージソフトウェアを持っているのですが、そもそも専業の方が小回りが良かったりして昔のようにコンペに勝つのが、どの分野でも難しくなっている感がます。

 

最後は技術力

少なくとも「何でもできます」では生き残れません。何ができるかを絞り込み、そこに投資を集中させ、他社と差別化していくことが必要です。

そして、先ほど小さな会社が勝負をしていると書きましたが、大きな組織の中に小さな会社をいくつも作れると思います。そこで意思決定を早くして小さな会社と技術力で勝負していけば、社内のナレッジや関係性があるのですから、小さな会社は脅威です。

そういう発想が必要で、どうも1兆円やるためにはこの分野で1000億、この分野で2000億、みたいなマクロの計画ばかり頭がいっていると思います。

「この分野」が大きすぎて、小さな会社にやり込められている雰囲気です。

 

 

 

以上が、的外れであればいいですが・・。いかがでしょうか。

 

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