ニコニコ動画は崖っぷちだ
ニコニコ動画は、niconicoというサービスの中の1つの動画共有サイトのことをいう、ように2012年からなったらしいです。とりあえず主力はニコニコ動画なのは間違いない。このサービスが今、崖っぷちです。
具体的には、プレミアム会員と呼ばれる月額500円のユーザー数がポイントで、ピークで256万人(2016年9月)が、2017年9月末においては228万人と、1年で28万人の解約となっています。2017年12月末の数字はまだ公開されていませんが減少傾向に拍車がかかっていると言えます。
不満が爆発した新サービス発表会
2017年11月28日に行われた、4年ぶりとなる新バージョンの発表会が、大失敗に終わったのはかなり報道されているので多くは語りません。あまりにも大失敗だったので、抗議の意味を込めて解約した人も多かったと見られます。
同時に起こった「けものフレンズ問題」
2017年のアニメ界の代表作とも言える「けものフレンズ」。視聴者から熱烈な支持を獲ていた監督が外されるという問題が発覚しました。かつ理由がはっきりしないことから、ファンが炎上。しかも、この製作委員会にKADOKAWAが入っていたことで、KADOKAWAまで飛び火してしまいました。
※親会社はカドカワ株式会社。子会社が株式会社KADOKAWAと株式会社ドワンゴ。
親会社の代表取締役は川上量生氏で、当時は子会社ドワンゴの会長も兼務していたので、子会社KADOKAWAの経営には直接タッチしてないものの、ユーザーからは同じようなものと見られていたと思います。
おそらく、ニコニコ動画プレミアム会員の客層と、けものフレンズ等のアニメ視聴者の客層は相関性が高いと思われ、もともとのニコニコ動画の不満にこの件が拍車をかけてしまったように思われます。
ドワンゴの対応
ドワンゴの対応はとても素早かったように思います。2017年12月12日ですから、大失敗発表会の2週間後に体制の変更を行いました。
トップの川上氏は、niconicoの運営責任者を退任し新規サービスの開発に専念。運営責任者としては、栗田穣崇取締役が引き継ぐこととなりました。
栗田穣崇氏については、iモード立ち上げメンバーであり、そこから、ぴあ、バンダイナムコとキャリアを積み、2015年からドワンゴにいらっしゃるそうです。2017年10月から取締役を拝命されたばかりなので、急展開と言えると思います。
インタビュー記事が今日公開されました。
ユーザーの声をとにかく吸い上げ、今のギスギスした雰囲気を改め、居心地のいいコミュニティーを作っていきたいとの豊富です。コミュニティーと言えば、昨日書いたスターバックスの件でも、コーヒーを通じたコミュニティーの構築が大事だと書いたばかりでした。
ファイナルファンタジー14でも同じことがあった
愛されたブランドが、サービスレベルが低いことで批判が集まるというのは、私も過去ファイナルファンタジー14というオンラインゲームで体験したことがあります。
かなりの期待を集めてローンチしたファイナルファンタジー14でしたが、下記のような状況が1年近く続きました。
・高スペックなPCであってもカクついたり、異常終了したりする
・マップがコピー&ペーストとなっていて、無駄に拾い割には単調で、ストレスがたまる。
・フィールドを歩いていると急にアホみたいに強い敵が急に現れる。HPが100なのに、敵が58000とか。
・クラフター(作成する人)職があるが、売る手段が確立されておらず経済が回らない。
・レベル上げしかすることがなくなるが、だからと言ってシナリオは用意されていない。
という感じで、同じように批判が殺到していました。
ここで登場した救世主が吉田直樹氏です。彼が、プロデューサー・ディレクターを引き継ぐこととなったのですが、そこからのアクションは伝説となっています。
当初の講演記事があります。
現行サービスを維持しつつ、新しくもう1つサービスを一から作り切り替えました。
こちらが大成功しサービスを立て直した記事です。
【GDC 2014】「新生FFXIV」吉田Pが、「旧FFXIV」が失敗した理由を余さず語る - GAME Watch
かなり状況はよく似ていて、
・過去の成功体験が強かった
・グラフィッククォリティーに固執しすぎ、ユーザー体験をおろそかにしていた
・ブランド力があったので、ユーザーもなんとか許してくれるだろうという甘えがあった
という状況でした。
ここから、現行サービスを全否定し新サービスに切り替えるということを、ユーザーと対話しながら行うという大仕事をやり遂げてしまいました。
吉田直樹氏は本で詳細を語っています。
立て直しについての詳細が、本になっていますので紹介しておきます。
吉田の日々赤裸々。 『ファイナルファンタジーXIV』はなぜ新生できたのか (ファミ通の攻略本) Kindle版
2巻も出ています。
吉田の日々赤裸々。(2) 『プロデューサー兼ディレクターの頭の中』
Webのインタビュー記事より詳細ですので、組織運営等に興味がある方には貴重な情報になるかと思います。マイナスの状態をリカバリーしてプラスに持っていくというのは、相当にレベルの高い所業ですからね。
ニコニコ動画は復活するかもしれない
今回のniconicoにおいての栗田取締役の登場は、まるでファイナルファンタジー14の吉田氏とオーバーラップします。ユーザーの声を聴いているところから含めて似通っています。
栗田取締役が救世主となれるかどうかで、全ての運命が決まると思います。ぜひ、復活に期待したいと思います。
※私も、以前プレミアム会員でしたので・・。
追記(2018/1/20)
せっかくなので、今のニコニコ動画を2013年以来ほとんどアクセスしてなかった私が見学しに行きました。