転職する時の機能ってなんだろう。
・企業の財務健全度
・給与条件
・仕事内容
・将来の希望と、会社のキャリアパス
・勤務地
・福利厚生
・本人の経歴(学歴や経験)
これぐらいだろうか。少なくとも上記の5つを押さえておけば、大きく困ることはないだろう。案外流されて募集してみたら受かって転職したという人も多いだろうが。
最近は履歴書や職務経歴書をびっしり書く人もいれば、ほとんど真っ白の経歴書でも応募してくる人もいて、じゃあ前者しか受からないかといえばそうでもないので、転職の世界も結構カオスである。
さて、これまでの話を「機能要件」とすれば、意識に上がりにくい「非機能要件」もある。お仕事とは一見関係なさそうだけど、実際仕事するとものすごく関係してくる要件。これについて、表現するために、各社リクルートサイトを工夫するのだ。社長のインタービューとか先輩社員の声とか、職場環境のレポートとか。いわゆる社風、である。社風は数値化しにくいので、デザインを使って「感じがいい」を演出しようとする。
転職の世界も随分DXが進んで、個人も企業もパラメータはデジタル化し、情報交換もやりやすくなった。そしてマッチングもデジタル化されおかげでスカウトメールが大量に乱れ飛び、でも実際会ってみると「すんません、違いました」って企業の方から言ってくる始末である。スカウトしたのはそっちなのになぜに書類で落とす・・みたいな。
つまるところ、採用が成就するためには、単に機能要件のマッチングだけでは足りないのである。
「この人と、一緒の職場で働き、信頼関係を築き、幾多の未来に起こる問題や課題を一緒に乗り越えたいかどうか。乗り越えることができるか。」
という話が、全く漏れているのだ。だから、必ず採用前には企業側は会おうとする。特に、解雇規制が厳しい日本においては、一度採用してしまったら取り返しがつかない。
さて、非機能要件を言語化してみよう。
・経営層と気が合うか
・現場の雰囲気とマッチするキャラクターか
・細かい約束を守れる人か/会社か
・見た目・清潔感
・話し方
・攻撃性
・転職回数
・何をストレスと思うか
こうやって見ると、内面性や、人格教育のような側面が強い。何が正しいというわけでもない。会社によって、馴染めない人もいればフィットする人もいて、組み合わせが様々ではあるが、なかなかデジタル上で読み解けない。しかも人は、いい顔をしようとするではないか。いい顔をした顔を企業が気に入って採用したら、裏にとんでもない人格が隠れていた、みたいなことがあるから、転職の世界は魑魅魍魎(ちみもうりょう)なのである。
システム構築の際も、実際、機能要件を散々打ち合わせしても、非機能要件を軽視するとえらい目に合うということは業界の常識ではあるが、転職も同様である。
まぁ、よくよく考えると結婚とも似ていて、年収や経歴などでドライに判断して結婚したものの、実際に生活を初めたらとんでもない性格だったりギャンブル好きとか酒好きとか、浮気しまくるとか。それでも離婚するのは中々エネルギーがいる、だからこそ軽々には判断できない。また、若いうちは花が咲かず、多少の経験が付いてから飛躍するというタイプも居て、中長期目線も必要になる。似ているね。
カジュアル面談もそのためのはずだったのに、いつの間にか企業側が一次面接の扱いと同じにしだして、求職者側も失望しつつある。
もうデジタル化も行くところまで行った感じなので、後はこの非機能要件の言語化のようなものがデジタル上でできやすくなったら、もっと転職も便利になるだろうなと思った次第。