orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

現場で誰が最もおぼえているかってだけ システム運用の現場より

 

同じ場所で長らくシステム運用をしていると、お客様と一緒に年を取る。私も年を重ねましたけど、お客様も一緒にお年を召しました。お客様側の担当者もずっと同じ人の場合もいれば、変わったこともある。

一方で周りには、新しく加わったメンバー、具体的には若手やミドルがいる。彼らはここ最近入ってきたばかりなので、ここにあるシステム達のことを日々勉強だろう。なぜシステムが今こんな風になっているのか。長い歴史があるのだが話してやれるのは概要だけだ。個別に聴かれれば思い出せるが、全部しゃべって!とお願いされても思い出せない。

結局のところ、私自身は現場で博識のように扱われているけど、単に初めからいただけだ。初めから目の前で全部見た。システムが生まれ日々変化し、そして健康でい続けられるように工夫し続けただけだ。

これまでの経緯もドキュメントも、ちゃんとそろえられているが、途中から入った人がどこまでそこから過去を読み解けるか。よほど能力がある人でモチベーションが高ければ把握してくれるだろうが、そんなことをやる時間もなく日々の仕事もこなしていかねばならない。

つまり、こういうことが言える。

・同じ現場に長く居たもん勝ち
・長い歴史の間、日々起こることをきちんと見て全てを把握する姿勢を持ち続ける
・その現場で行われているビジネス(システム運用)は、顧客から厚く信頼されて中長期に継続し、そして新規顧客も引き込み成長していること
・長期にサービスするので、リプレースを度々行い、過去の経緯が複雑になっていること
・運用面は日々最新の技術を取り込み、最適化し、最新の状態でいること

こんな現場に長く居続けると、「困ったら彼に聞けばいい」という人材に自動的になる。だって見てきた人なのだから。生き字引。全体をリードすることは当然だが、後進を育てることも期待される。見てきたことを後進に少しづつ伝え、現場の文化を伝承していく。

そんな人材になれれば会社で重宝される。

さて、そうなるために才覚はいるのかなと考える。

・いい現場を求めてフラフラ飛び回っている人は決してなれない。なぜなら、いい時もあれば悪い時もある。多少悪くなったとしてすぐに飛び立つ人は、長い歴史と一緒にいられない。
・そのビジネスが今後成長するという確信が必要。衰退するなら長居無用だから。
・いくら長居しても貢献してないと意味はない。ただ見ているだけの人に価値はない。日々何か現場に噛んでいこうという意識が必要。

かなり戦略的にキャリアを考えていく必要がある、ということだ。

別の考え方で、しんどい現場をフリーランス的に飛び回り、実力を上げていくというやり方もあろう。その場合、現場のことを良く知っているということではなく、普遍的な対応力・場数をこなすというやり方だ。

個人の適性に基づいてどちらかを選択すると良い。私は前者の、長く現場にいて全てを見た存在になれた、という話である。まぁ、もしあまりにもビジネス自体に違和感があれば後者に衣替えする可能性もあった。しかし運良く、私の目の前にあったビジネスは成長した。

この業界、やたら技術だスキルだがチラチラするが、このような「長く居た人が得する世界」ってのもある。でも、長く居続けたから失敗と言う例ももちろんあるので、こればかりは、自分の社会を客観的に見る目、それが重要だ。転職するのが面倒だからって、盲目的に今の現場を過剰評価してもいけない。

どうしたいのか、日々を自分自身と相談しておく必要がある。