orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

気が付けるというのは特殊スキルなのかもしれない

 

仕事のスキルを表現するときに、開発言語やらOSの種類やら、プロジェクトマネジメントの経験などなど、言葉は色々ある。一方で、現場の仕事を見渡してみるとこの言葉だけではこぼれ落ちている意味があるように思う。人のスキルの表現は、技術要素を並べるだけでは不足する。

現場はいろんな理屈が散りばめて成り立っていて、これまで無事平穏にやってこれたのはその複雑さに全て対応したからである。こういうときはこうしよう、ああいうときはこうしよう、一つ一つのケースと対応をチームで共有しできるだけ標準化していく。チームの誰でも同じことができたら、そのチームは強くなる。品質が均一になり誰かが休んでもカバーできるようになるからである。

毎日思う。もうほとんどのことにチームで対応できるだろう。マネージャーである自分はほとんど「見ているだけ」で良いはずだ。稀に特殊なものが来ても頭をひねれば対応できるだろうし、それでもわからなければ私に聞いてくるだろう、と。

ところが、残念ながら毎日のように、予想を超えた問い合わせや事象が起こる。予想を超えているからマニュアルもない。私だって調べないとわからない。見ているだけでは済まされない。わかる人がいち早く確認し、調査の方向を決め、結論を出さなければいけない。教育のためにメンバーが自力で解決できるまで見守る、というのは顧客に迷惑をかけないように取り組まなければいけない。会社は学校ではないので、毎回顧客サービスにはベストを尽くさねばならない。だから、結果的に見ているだけにはなっていない。

なぜ、私が手を出さなければいけないのかというと「私にしか気が付けないことがある」からだ。知らなければ、一生気が付けない。知っていれば、5分で気が付く。そんなことが多すぎる。一生気が付けないものを待つ意味はない。だから、こんな時にはできるだけ、私の対応をメンバーにシェアする。私はこれを調べた。そしたらこれを見つけた。怪しいかなと思い調べたら、やっぱり他の場所でも同じことが起こっているらしい。だからこういう対応をしたら治った。・・・次回以降よろしくね、と言う具合だ。

対応時間を最小化しつつ、メンバーには育成の機会とする。これを積み重ねてある程度は、メンバー自身で出来ることが増えた。増えたが、もう一段足りない。問題の発見から分析、対応までを言語化してみる。

・大きな問題になることを、事前に察知できること(発見)

・何の問題かわからないが、ある程度の調査を行い目星をつけられること(分析)

・目星を付けたことに対し、対策を立て解決すること(対応)

これらは、「気が付くこと」のスキルに対する比重が殊更多い。

気が付けなければ問題であることすら発見できないから対応までは絶対に行けない。まずはその時点で、メンバーがあまりにも見逃していると感じている。マネージャーの私がどんどん気が付いてしまう。都度メンバーに指示をするものの、できれば・・目星を付けるところまでは行かなくても、気が付いてくれたらなあ・・と思うのである。

分析や対応に援助を惜しまないのだが、何せ初動(発見)の段階で遅い。

それは知識や経験の差ではあるのだが、そんなことを言っていたら年を取らないと身に付かないことになる。もっと工夫すれば、メンバーの気が付く能力を向上させる方法あるはず、である。

この「気が付くこと」は恐らく育てないといけない。何がキーになるのか。

・モチベーション

・責任感

・技術の基礎

・正常とは何か、についての知見

・違和感を言語化する能力

どれがどう関係しているのかは現時点ではまだわからないものの、間違いなく今後の私の関心とするところになりそうだと思っている。マネージャーの私ばかりが問題に気づいてしまうのは、組織にとって健全でない。少なくとも気が付けるというのは、特殊スキルなのかもしれない。