orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

「どんどん転職して行く若手」という感想はあなたの会社だけではない

 

若手ってすごく辞めやすいよな、というのは私の近くの状況。中途採用より新卒採用のほうがまともに人が来るので、会社は常に若い人が補充されてフレッシュな状態を保てているようだが、一方で結構な確率で辞める。次の三十代まで行かないケースが多い。あたりを見回すと、今や社内には二十代と四十代以上の二極化していて、三十代が空洞化している。そうなるとマネージャーやベテランと、若手の間にジェネレーションギャップが起きる。もはや親子くらいの差もあるので、当然のことながら一緒に机を並べて働くと、困るときもある。

若手が辞めなければいいのに。もったいないなと思うが、これは会社が何か問題を抱えていることの証左なのか。それとも別に問題があるのか。よくわからない。

 

日本全体ではどうなのかな、と思って、厚生労働省が出している直近のデータを調べてみた。令和3年雇用動向調査の結果である。根拠としては最も正しいだろう。

 

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/22-2/dl/gaikyou.pdf

 

この調査が惜しいのが、20~24歳をひとまとめにしているところ。大学卒業時の年齢が22歳なので、まあ、ここを新卒~第二新卒と捉えればいいか。

そう考えると、新入社員は二年目までは、どんな会社でも四人に一人は辞めていくんだということがわかる。この図を頭に入れておかないと、「ウチの会社はよく若手が辞める」という感想を持ってしまうことになる。

また、25~29歳もそのまま離職率は高い。

そしていったん辞めやすい20代を超えて30代に入るとどんどん離職率は下がっていくこととなる。「中途採用市場が枯れている」という感想を持ちがちだったが、この図の通り欲しい人材がシニアの方に向かえば向かうほど、人が動かなくなる。それより20代後半あたりを狙った方が取りやすいという実感がこの調査と一致している。

30代超えた辺りで結婚している人も多くなり、子どももできて背負うものもできるのでなかなか慎重になるんだろうね。

ちなみに私が一度切りの転職をしたのが35歳辺りだったので、最終便だったのかな。

世の中が不景気になると、ベテラン層でも人が動くということがあった。私もリーマンショックの直後辺りで動いた。企業自体が不振に陥ると転職するかというモチベーションは上がるから、不景気の際にはかえって人材採用を積極的に行うという逆張りも有効だろう。このところ、目に見えるはっきりした不景気がないので、そうなると人材の流動率ってどんどん減るんだな、という感想だ。

過去を振り返るために、15年前、平成20年の離職率を見てみよう。

 

厚生労働省:平成20年雇用動向調査結果の概況

 

男女両方が記載されているので少々わかりにくいが、25~29歳、30~34歳の部分が大きく違う。

 

◆20~24歳

平成20年(2008年):男性25.2% 、女性29.8%

令和3年(2022年):男性24.2% 、女性26.9%

◆25~29歳

平成20年(2008年):男性15.4% 、女性24.9%

令和3年(2022年):男性19.6% 、女性19.2%

◆30~34歳

平成20年(2008年):男性10.0% 、女性19.0%

令和3年(2022年):男性12.8% 、女性15.8%

 

面白い結果だな、と思う。

新卒、二年目あたりが辞めやすいのは昔から。今に始まったことじゃない。

ただ、25~29歳だけ見ると、昔と違って男女イーブンの離職率になっていて、男性の方が辞めやすくなっている。この頃は性差での機会均等が随分無くなったんじゃないかと思う。女性にでもチャレンジングな仕事を任せることは昔より増えている。一方で、男性の離職率は昔より上がっている。

30歳以降になると、女性の方が家庭の事情等で離職することは避けられずまた女性の方が男性より離職率が上回ることになる。ただ昔よりは辞めず、キャリアを継続する人が増えていることがわかる。30代以降の男性の離職率が低いのは昔からのようだ。

 

とりあえずこの辺りのデータを頭に入れておけば、自社が他社の平均と比べてどうかは冷静に対処できるようになる。若手の辞めやすさは、社会現象。

それに併せて、社会構造もこの15年ぐらいで大分変わったね、ということがわかった今回の話だった。