orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

システム運用、担当者がころころ変わる企業に未来はない

 

会社とは人から成り立っており、人が仕事をするので、その会社のプロダクトだから素晴らしいというのは錯覚だと思っている。もし、長年プロダクトの品質を保っているとすれば、それは素晴らしい組織を作り上げたから。つまりプロダクトの根本には人がいることはこれまでも、そしてこれからも変わらない。

システムの仕事をしているけれど、システムを作るのは人だ。コーディングをAIができるかもという話はあるものの、できたものを確認するのは人だ。確認しないでAIが作ったコードをそのまま使う人がいるとすれば愚か者である。誰も責任を取らないコードなど、利用価値はない。

システムは、作るものではない。利用して初めて価値があるものである。だからといって構築エンジニアの価値が下がるものではなく、むしろ運用フェーズに入って、そこでシステム目的がスムーズに達成されるか。それとも問題多発なのかで話が変わる。構築自体もビジネスでそこでお金のやりとりが起こるが、問題多発ならもう二度とそのベンダーに仕事を任せるものか。構築そのものの価値は運用フェーズで決まる。

だからこそ、運用フェーズにて、構築した人が居なくなる、退職してしまう、残った人で運用してね、という考え方によるシステムのライフサイクルは、とても良くないと思っている。作ったら、作った人がシステムの終わりまでフォローする。構築した価値を受領するのも構築した人であるべきだと私は思っている。作った人が運用までいてくれると非常に強い。何かが起こったら、すぐに影響範囲がわかる。対応策も思いつく。

 

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 もう1つが、担当者の離任である。「今回の事象の場合はそれ(家族名義の口座登録の照会)を受けた人がデジタル庁から離任していた」(河野デジタル相)ため、「(公金受取口座登録の総点検によって)情報を広く総ざらいする中で出てきた」(河野デジタル相)という。家族名義の口座の報告を受けた担当者がデジタル庁を離任したことが、情報共有の遅れにつながった一因という認識を示した。

 

これはもう、将来の教訓にして良い話だと思うが、担当者がころころ変わるベンダーに未来はない。むしろ、システムエンジニアを多く抱える会社こそ、終身雇用制にするべきじゃないか、とも思っている。

デジタル庁の雇用方法が、期限付き職員だったことについて、発足当時から大きな違和感を感じていた。民間から優秀な人材を期限雇用するという考え方、構築フェーズからリリースまでは見事な結果を生み出す。いろんなプロダクトができたのも知っている。問題はリリースした後。期限付きなだけにたくさんの職員は離れていくがシステムは残る。その残ったシステムを誰がめんどう見るのか。また、新しい期限付き職員がやってきて、あなたのシステムはこれです、と誰か知らない人が作ったシステムを押し付けられるのである。他の省庁からデジタルを押し付けられる運命のデジタル庁の中で、また押し付け合いが生まれる。新しいリリースには強いが、既存システムのトラブルや改修には、長期に勤める人の知見は絶対に必要に思う。

昨今のジョブ型に始まる、人材の流動性向上とともに、デジタル人材が語られてしまったせいで、システム運用に最適なフォーメーションの議論がうやむやになっている。普通に考えてほしい。システム担当者がいつまでも居てくれるって、とても価値があるのではないか。顧客をつなぎとめ、そしてシステムにも安定をもたらしてくれる。

それなら、なるべく転職させない工夫が必要だろう。一言で言えば終身雇用。優秀な人材を退職させない制度づくりと、システムの安定運用は一対なのではないか、そう思う。