orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

AIの出現で奪われた仕事を見た話

 

ChatGPTと言えば、かなり知名度も上がり私のブログの読者ならば認知度100%だと思うが、周辺から情報が入ってきているのでそのお話。

ChatGPTで仕事が奪われるなんて先の話でしょ、とお思いの方がほとんどだと思うが、もう実際に仕事がなくなっている。どんな仕事か。いやいや言い過ぎでしょ、人間の仕事が急に無くなるはずないじゃない、そう思うよね。ところがどっこい。あるのだ、もう無くなってしまった仕事が。

それは「AIを作る仕事」だ。いわゆる機械学習を勉強し実装しようとしていた集団がいた。研究内容は統計学や微分、線形代数など・・私は高校で文系に行ってしまったので縁遠かった数学を、AIの基礎として勉強していた。随分長い時間をかけて基本から積み上げていたが、残念ながらなかなか結果は出なかった。

そんな中、ChatGPTが出た。

彼らは、自分たちでAIを作るより、ChatGPTとつないでサービスを強化した方がいいとの結論を出したようだ。苦労してAIそのものを研究したり実装したりするより、AIそのものがそこにあるんだから、その使い方を考えるほうがいいんじゃないか、というストーリーに傾き始めている、という。

それって、それってもうここ数年やってきたことを捨てる、という意味だよね。彼らは失業してしまったのだ。例えるなら自動車の制作は止めて、自動車ドライバーになると宣言したようなものだ。自分たちで自動車を作るのは無駄が多すぎて、自動車屋から購入して乗り回した方がいいという結論だ。

ま、自動車を作る専門家もいれば、自動車に乗る専門家もいるわけで、そりゃ自由なんだけど、せつない。今まで学んだことは無駄にはならないだろうが、学んだことそのもので実績を出しお金を得て仕事をする道は、潰えてしまった。

 

そういえば、クラウドが出現した時も、インフラエンジニアは無くなるとよく言われたものだ。

 

type.jp

大手SIerには、インフラエンジニアとアプリエンジニアがいます。でも、クラウドの世界では、そもそも専門のインフラエンジニアはいらなくなるんです。だから、アプリを作るプログラマーがインフラの知識を身に付けたり、逆にインフラエンジニアがアプリの作り方を覚えている。幅が広がっていますね。

 

こちらは2012年の記事だが、2023年現在、インフラエンジニアの仕事は無くなっていない。だが、前項のAIの出現と同じようなことは起こった。今までのインフラエンジニアとしての知識を流用して、クラウドを使いこなし顧客に提供しようという発想が生まれた。これがインフラエンジニアの仕事の一部に変化していった。

一方、オンプレミスと言われる、クラウドではない、機器を所有するインフラの形もしぶとく残っている。デジタル隆盛の時代で、利用要件に対しての適材適所にて、オンプレもクラウドも成長し続けている。両方やらなければいけないので、むしろインフラエンジニア単体で見ても人が足りないくらいである。

だから、細かく見れば私も、クラウドの出現でオンプレミスでの仕事は奪われたが、代わりにクラウドにて新しい仕事をしている。奪われたけれども、新しく現れたものもある。

現状のAIだって同様で、AIエンジニアはChatGPTなり、他のAIモデルなりの汎用化で、モデル自身を作る機会は減る。その一方で、優秀なモデルがたくさん現れそれらをどう使いこなすかという社会的課題が大きくなってきた。その課題に対して取り組めるのは、もちろんAI自体をこれまで勉強してきた方がやったほうが、効率がいいに決まっているのである。仕組みを知り抜いているのだから。仕事は奪われたが、新しい仕事が現れた。

ちょっと昔にクラウドが出現した頃、たくさんのインフラエンジニアが将来に不安をおぼえていた。その際、私はむしろクラウドに執着すれば、それだけで生きられるのではないかと思ったら当たっていた。今はクラウド専任である。

ピンチとチャンスは裏表。状況の変化に、頭を柔軟にして利用していく側に廻りたいものである。

 

追記

この記事がアップされた直後に同じようなテーマのマンガを発見。

 

 

こうやって、作品として伝えたいことを伝えられることって、すごいな、と思う。