orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

現代の教育の基本が「失敗経験」から「成功体験」に移ったのを気づくべし

 

Twitterでつぶやいた件です。

 

 

とりあえず未熟者にやらせてみて、経験しないとわからないことを早く体験させ、主体的な精神を育み教育する、という方針で教育を行う企業のインタビューの話を読んだのです。

私も、そうだな、5年前くらいまではこれが正しいと思っていました。OJT(On Job Training)と呼ばれる手法です。やってみないとわからない。現場にしか正解はない。「言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という言葉は有名ですよね。

ところが、この考え方、現在地点ではとても古い、危ない考え方なのです。

未熟者が未熟な段階で、とにかくやってみろ、ということは本人にとってはとてもプレッシャーのかかる、ストレスが高い状況です。

しかも、未熟なので失敗しますよね。

昔の人は、小さな失敗を繰り返して、学び、そして大きな成功をせよと言いました。うん、私もこの方式で育ちました。きっと40代はこの手法での教育をしっかり受けてきたと思います。40台の方は自分の過去を振り返れば、たくさんの失敗経験があり、それらのおかげで自分の今があると思っている方、多いのではないですか?。

私は多いです。小さな失敗だけではなく、大きな失敗も。それは私を成長させてきたのは事実ですが。

今は、この前提が崩れています。

現代の教育トレンドでは、小さな成功を繰り返して自信を積み重ねていき、そして心理的安全性の高い状態で大きな問題に取り組む、というプロセスを経ています。一度の些細な失敗が本人の心に大きな傷を付け、パフォーマンスが出なくなったり辞めてしまったり、ということが平気で起きるのです。

つまり、ものすごく失敗に弱く、失敗しないためのフォロー体制が非常に重要になっていると断言します。やらせてみる、なんて言葉そのものがリスクです。以下に気をつける必要があるでしょう。

・やらせる前に、本人の上司と綿密に打ち合わせしておき、本人の適性がフィットしているか慎重に検討する

・やらせる内容を、本人が習熟しているかを事前に丁寧に確認する

・問題が発生した場合、上司に相談できるような関係性を築いておく

なぜここまで慎重に対処する必要があるかと言うと、もし本人が傷つき退職するようなことがあると、補充しづらくなっている世の中だからです。求人にもコストがかかる上に、なかなか人が採りづらくなっていますよね。

私達の世代全体が人口も多い世代だったのと、就職氷河期も重なって、優秀な人でもなかなか現場に入りづらかったです。したがって「あなたがいなくても、代わりはいくらでもいるんだよ」という言葉が普通に聞こえていたのが二十年前でした。

今は違うんです。彼がいなくなったら、彼の代わりはいないんです。

そして、教育の変化で、失敗経験を是とせず成功経験を是とする価値観が、当たり前となりました。したがって、少しづつ成功を与えなければいけないことを考えると、むやみやたらに「させてみせ」ると、見事に失敗するかもしれず、心を病み、そして伸びないという状況を呼び寄せてしまいます。

さあ、もう、気が付きましょう。大昔の教育論、今は通用しませんよ。