IT業界における採用の考え方について書いておこうかなと思います。個人の経験が前提ですので、参考程度にお読みください。
まず、採用時には希望者のプロフィールや人格的な部分の確認を中心に行います。いろいろな会社はありますが、これはどこもやることだと思います。
・学歴が会社で経験上決めた一定程度を上回っているか。
・反社会的な思想の持ち主ではないか。
・攻撃性が高い・社会性が低い・健康上の理由、など、仕事をする上で過度にボトルネックとなる部分がないか。
こう言う採用において基本的となるチェック機構は、業務を行う現場ではなく、人事部門的な組織が行うことが一般です。私はこの部分については素人なので特に口を挟むことはありません。
最近どこかの人事で、「採ってはいけない人を見極める」という表現をして炎上しましたが、私はここのプロセスを言っているのだと思いました。ごくごく普通の採用過程の前段階を言っているだけだと思いましたが、語弊を生む表現であり、かつ人材採用の現場は人生をかけて勝負する場でもあるだけに、表現に気を付けないといけないのは私にとっても学びではありました。
その後、人事レベルで採用可能性があった場合に、現場のマネージャーレベルとの面接に進みます。私が今日伝えたいのはこの部分です。
私が採用側にいるときに考えていることはこういうことです。
①一緒の空間で長時間働ける仲間として波長が合うかどうか
まず、生理的な部分です。最近はテレワーク強化期間で微妙ですが、オフィスで基本は一緒に働くことになります。一つのビジネスを通じて同じ空間で、利益を一つにしてあれこれ悩みながら進んでいく仲間となるかどうか、の瀬戸際が採用の場です。
見た目とか話し方とか、こちらの言うことを聞いてくれるか。言葉のキャッチボールがうまくいくか。感覚があまりにも違っている場合はお互い不幸です。自分も相手を選ぶ権利があり、かつ相手も自分を選ぶ権利があります。お互いざっくばらんに話をし、まず違和感がないことは非常に重要だと私は思っています。
だから、変に作って面接に来られると困ってしまうんですよね。そのキャラでずっと仕事するの?と。お互い不幸なことにならないために、まずは人と人として、信頼関係を作っていくにあたり生理的な違和感がないかどうかを大事にしたいと思うし、相手にもそう思ってほしいです。
②(未経験の場合)基礎の基礎に対する学びの主体性
IT未経験で業界に入ってくる人は多いのですが、決定的な差として、基礎に対する本人の考え方があります。もし会社に入ってから基礎を学ぼうとしている姿勢が見えたら、これはお断りになると思った方が良いと思います。
だって、基礎って資格以前の問題で、本屋に行けばたくさん教材が今あります。勉強することもパソコンがあればそれだけでできる。これから入る業界があって、その基礎は自分で勉強できる環境が十分整っているとして、自習しないとすれば理屈が成り立ちません。仕事するからには基礎的な知識は必ず必要であり、どんな会社に入るにしても絶対使えるので、さっさと自習して身に着けてしまおうと言う人と働きたいです。
仮に、未経験で、基礎も身に着けず、採用の場で「入ったら精一杯がんばります!」と言ったうえで仮に入ったとして、多分私はこの人、仕事以外では勉強しないと思うんです。で、仕事で基礎が身に着くかって、会社は学校じゃないんでカリキュラムも無ければテストもないんだよ、と。そして、降ってくるまま仕事をこなし伸びないままになっちゃうんじゃないか・・・まで想像するのです。それだとお互い不幸なのでお断りするかな。
③(経験者の場合)経験が重要
私も一度しか転職をしたことがないのですが、そのときにも「自分の経験なんて他社で通用するのか」という思いでいっぱいでした。
それより、資格のほうが公平で、有効性のある情報なんじゃないか、と思いました。
でも、実際採用側に廻ってみると考え方は反対で、「他社における経験」って宝物のようなものだと思うんですね。
経験って、仕事内容 x 時間、ですよね。時間がないと経験は得られない。その時間を採用が成功すればお金で入手できるということです。資格も勉強には時間はかかるだろうと言う話もありますが、資格は仕事ではないですからね。
ITやってる人、続けてる人は、なんか地味な作業の繰り返しで、面白みも微妙で、人間系の調整も多くて、作文もしなきゃいけないし会話も必要だし、何の役に立つのかなこれと思う人は多い。
— orangeitems🍊 (@orangeitems_) January 15, 2022
でもその続けた経験、転職市場では宝物になる。いくら本読んでも経験はつかないから。
そう、仕事という単位には、IT以外の、ITにまつわる人間系のたくさん重要な機能が存在し、それを時間をかけてこなしたというのは、現場が大変大切にします。
だから、高度な資格を取得し、そのあと転職して高度な仕事をしたいという人は私はずれていると思っていて、高度な仕事をしたいと思うなら、さっさと高度な仕事ができるフィールドに飛び込んでほしいと思うのです。
なぜなら、高度な仕事は高度な職場にしかないからです。資格で代用できるものではない。資格を勉強する時間を費やすなら、その時間で新しい仕事ができる現場に飛び込んでほしい。その結果実力がついたら、それを資格にして認めてもらえばいいじゃない、と思うのです。
まずは、自分のやってきたことを過小評価しがちなのが人間なので、とりあえず自分の評価はさておき、転職活動にて相手にそのまま話してみることをお勧めします。意外な高評価を受けることはありますから。逆になければ、そんな会社に行く意味は生まれないと思います。経験者で、今までの経験の評価が低いのに、なぜに採用する?と思いますから。
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ということで、私の感覚を書き連ねてみました。
このところIT業界は人材不足です。未経験でも構いませんし、IT業界経験者というだけで「おっ」と思うくらいです。経験者は胸張って自分の経験を財産としてほしいものです。