orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

SI営業部門に持っておいてほしい技術目線の視点

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実は減らないSI案件

SI案件が今減っているかと言われればそうとも言い切れません。

休業要請やテレワーク推奨があっても、コンピューターシステムは依然として動いていますし動いているからこそまだ世界はこの形を保ち続けていると言えます。もし、コンピューターが無ければテレワークは成立しません。生命維持に不可欠な生産や物流、小売りが動き続けているのもコンピュータありきです。それを動かしているのはデータセンターであり、データセンターを動かすための電力も、電力会社が電力を共有し続けてくれているため。そしてそのためにまだ、たくさんの人々が仕事として関わっています。それらの仕事は一部はテレワークに移行していますが、大半はまだ現場があり、現場に出勤し動かしてくれているからこそ、動いています。

コンピュータは人の手をかけず動いていると思ったら大間違いで、運用にはマンパワーが確実に必要です。保守です。そして保守は有効期限があります。ハードウェアに対し短くて5年~7年、長くて10年ぐらいで部品が無くなります。クラウドなら気にしなくていいかと言うと、実はクラウドを動かすハードウェアは裏で交換がされています。

また、ソフトウェアに注目しても、サポート期限は有限です。期限を無視して使い続けようとしても、それを動かすOSも古くなります。どこかの時点で新しくしていかないと、新しい技術を採用できなかったり、古いソフトウェアを動かすハードウェアがなくなったりします。

ということで、世の中がコンピューターに依存している以上、システムは新しくしていかなければならず、その時点でSI案件は生まれます。このまま、新型コロナ対策が長期化しようとも、それは必須です。従って、AIやIoT、5Gなどを採用する攻めのSI案件が減少しようとも、保守更新のための守りのSI案件は減ることはありません。

したがって、営業部門は、客先に訪問もできないにもかかわらず、Web会議やメールなどを駆使して顧客対応はやり続けている企業が多いと思います。

「コンピューターを使わない仕事」に移行できるなら、SI案件は減ります。でもそんなこと、不可能でしょう?

 

営業部門に思ってほしいこと

営業部門が仕事を受注して技術部門が実装するのは、どんな状況でも変わらないのですが今だからこそ、営業部門に持ってほしい視点があります。

技術部門は、テレワークに対応することに対して、思いのほか結果を短期的に出していると思います。意外といける。テレワーク配下でもウォーターフォール型であれば結果は出せる。実は普段やっていることをあまり変える必要は無く、変えなければいけないのは会議だけれども、もはや顧客のオフィスに行かずWeb会議で済むので生産性が上がる部分も、ある。そんな感想ではないでしょうか。

その一方で、SI案件の相談はこの状況だからこそ増える部分もあり、営業部門はある意味、ここがチャンスと、受注に前のめりになる姿が予想されます。この逆境で受注を増やせれば評価を上げることができます。

しかし私が営業部門に釘を刺しておきたいのは、中期的なプロジェクトを、テレワーク中心で完遂させた実績が、まだないことです。要件定義-外部設計-内部設計-実装-単体テスト-統合テストー運用テスト・・・のようなレガシーな開発工程の中で、どこに盲点があるのか誰もわかっていないことです。

この状況で、営業が普段通りのノリで受注していくと、開発リソースがどうなるか想像もつかないことです。もしかしたらできるかもしれませんが、もしかしたらできないかもしれません。SI案件でのリスクは、完成しないリスクです。

このテレワーク中心の非常事態において、懸念しているのは教育です。端的に言って有識者が近くにいない状況で、仕事を振られたスキルの低い技術者が、適切に指導を受けられるかどうかを懸念しています。長期化すればするほど状況は悪化し、これまでSI業界が有識者を増やしてきたエコシステムが崩壊する可能性があります。

また、長期的にこのようなテレワーク中心の場合に、有識者が肉体的にも精神的にも健康で居続けられる確率は、通常時より低下します。もともと感染リスクの高い状況で、オフィスのような仕事に最適化された環境で働けないのは精神的ストレスも大きいです。しかも、テレワーク下で適切にマンパワーを使えるかも未知数です。

このような状況下で、まず営業部門が考えるべきことは、「開発部門がプロジェクト1本を確実にクローズできるのかを見極めること」です。技術部門がすべての問題を洗い出し、新しいプロジェクト進行手法を確立する必要があります。それは顧客やパートナーの協力も必要です。いくら自社が努力をしても、顧客となるユーザーが非協力的ではまわるものもまわりません。これは受注前に顧客やパートナーが協力できるかも営業部門がチェックする必要があります。

まずは1本リリースできてみないとわからないことがたくさんある状況で、かつまだこの緊急事態は1か月ほどしか経っていません。従って、「未知数」です。せめて半年ほど経たないと確立できないのが本音です。

ぜひ、リスクのある状況下で、たくさんの案件を受注せず、石橋を叩いて先に進むことをお勧めしたいです。技術部門は「大丈夫」と言いがちですから・・。

 

ナレッジは半年後にたまっている

私の感覚では、9月ごろになったら、たくさんの企業のノウハウが出てきて、これをIPAあたりがまとめだすと思います。

開発案件のいろんなフェーズがあり、細かく標準化がなされていくと想像しています。

今は、パッチ的にzoomやらTeamsやらで何とかしようとしているご時世ですが、その中でもいろんな対策や手順があることがわかってきています。技術者の自宅に用意すべき環境やら、顧客側も何らかの設備も必要だし、コミュニケーション作法も大きく変わります。

これらを全て把握し、「受注前に顧客と自社間で合意」すべきだと思っています。今はもちろんそんなことはできませんよね。

技術部門が今困っていることを、営業部門に事細かに伝えられたらいいんですが、なにぶん、まとまっていません。また技術者はオンラインでおしゃべりな人ばかりではなく、黙って我慢している人もたくさんいます。大規模プロジェクトになればなるほどそういったことが後々リスクになりますから、そういった状況であることを理解してほしいです。

 

なお余談になりますが、昔、リモートで私が技術者と一緒に仕事していたら、急に応答がなくなり、電話しても出ず、途方に暮れたことがありました。数時間後にコールバックがあり、「寝落ちしてました」っていう事例もありました。

オフィスに出ていたらあり得ないですよね(笑)。