orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。



不景気がやってきたらクラウドサービスに何が起きるか

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クラウドサービスとコストの関係

最近は、クラウドサービスだからといって、コスト削減になるという発想のユーザーは減ってきたと思います。実際使ってみるとそんなに安くならない。OSの電源をオフにしたらお金がかからないと言ったって運用を考えると実際はそこまでオフにできません。CPUやメモリーなどのサーバーリソースを減らせばコストは下がるものの、結局はスペック不足に陥りスペックを上げるのがオチです。こういった事例を多くのユーザーは体験し賢くなっています。

クラウドサービスを一度運用に取り込み、安定期に入ると目に見えるコストよりその便利さに感動します。使いたいときにすぐ使える。使い終わったらすぐ捨てられる。その俊敏性によりこれまでオンプレミスの世界では時間がかっていたことが解決します。クラウドサービスを使うことで得られるものは、時間だと思います。

ここ数年は企業業績も緩やかに成長していて、そこにデジタルトランスフォーメーション、AI、IoTなどと言った新しいテーマが生まれたので各企業のIT投資も活発だったように思います。これまでのレガシーな資産をクラウドに移し、運用負荷を減らしていわゆる隠れたコストを減らそうという活動も盛んでした。昨今のクラウドの成長はこれに尽きると思います。

 

経費節減となったときに何が起こるか

しかし、現在の企業業績や将来の経済環境を見ていると、私はこの流れがそのまま続くと思うのは誤りではないかと考えています。日本企業はかなり中国の成長に助けられてきておりこのエンジンが止まると、一気に経費節減の方向に舵を取るのではないかと思うからです。

どんなにビジネスがデジタル化すると言ったって、目先の経費節減は初めに取り組むべきテーマです。初めに人員削減し、IT投資は緩めないなんてことはどの会社もできないだろうと思います。経費節減が先か、せめて両方同時にやらないとさすがに社内も納得しない。

企業がコンピューティングリソースをクラウドに持っていったことで何が実現できるようになったかと言うと、固定資産を減らし経費にできるようになったということです。サーバーを購入すると3年や5年の減価償却を行うためにどうしても使いづけないといけなくなりました。クラウドにすることによってサービスを購入して使っているということで使い続ける必要がなくなりました。

経費節減が必要となった時に、使っていたクラウドサービスを削減せよというコマンドが出るのは宿命だと思い、覚悟はしています。

具体的な対応を考えていきます。

 

冗長化をシングル構成に見直せ

本番サービスの王道として、冗長化の考え方があります。

・サーバーを複数台にし、ロードバランシングする
・アベイラビリティーゾーンの中のデータセンターを複数利用し、災害対策をする
・ミドルウェアを二重化し、アクティブ-スタンバイ構成を組む

ほかにもいろいろな考え方がありますが、何しろ冗長性というのは導入時に外せない機能として提案します。

このあたりの設計を小さくすることでコスト削減することは、技術的は可能だと思っています。ただ、シングルポイント(冗長化されていない場所)が生まれるので、障害が起こってサービスレベルが低下しても知らないよ、とリスクを説明しユーザーをおどかすことになります。

それでも、削減してくれ、そういうことが起こりえるのではないかと思うのです。せめて開発環境は小さくする、など、柔軟な話し合いが必要でしょう。

 

サーバーリソースを削減せよ

CPUやメモリーのスペックは過剰ではないのか。ディスクに空きがたくさんあり、小さなディスクに乗り換えられるのではないか。

同じ機能のサーバーがシステムによって別々になっているが、一緒にできないのか。

複数のサーバーを一つのサーバーで動かせないのか。

こういったリクエストは、当然のようにありそうだな・・と。

 

試験のためのリソースは撤廃、休止

ここ最近は、AIやIoTなどの新しい取り組みのためのクラウド利用というものも盛んでしたが、一旦凍結されるケースもあるかと思います。クラウドだと、バックアップを取って解約しておけばいいので楽ではあるのですが、なかなか寂しいものはあります。

 

オンプレミスに戻す検討

一番これが気持ち悪い。安定稼働しているのに、もっと見た目上のコストが安い環境へ移行するというものです。移行費用がもったいなくないのか?と思うのですが、やった感が大事というのは経営の現場であります。1年分の移行費用は5年で見れば十分ペイできる、と言った感覚です。よくも5年後の経済環境や経営環境がわかるねと思うのですが、あり得る話です。

人材で言うところの希望退職や早期退職とも似ていますね。構造改革費用を一時的に支払うが翌年以降は経費削減している・・と。

クラウドはインターネット回線代やら電気代やらサーバーラック代やら、データセンター代金コミコミであの値段ですから、オンプレミスで物理サーバー代金だけ見ればこっちが安くなって当然。短期的なコスト削減を考えると、あまり高いサービスレベルを要求しないシステムについて、オンプレミスに戻すといった議論もあるんじゃないかなと思います。

私は、中長期的には、オンプレミスのほうが見えないコスト(サーバー保守やら機器入れ替えやら・・)が高くつくと思うんですが・・ね。

 

クラウド成長期は、不景気に遭遇したことが無い

リーマンショック以降は緩やかな好景気が続いてきたので、具体的にこの10年ほどは本当に深刻な不景気は無かったと思います。

クラウドの成長はここ5年ほどなので、もし本当の不景気に当たったときにどんなことが起こるのか、誰もイメージができていません。

ちなみにリーマンショックの時は、常駐型の人月工数がばっさり減らされました。とりあえず契約は終わりだ、という経験は30代後半以上のIT業界の方はご存知ではないでしょうか。

SESや派遣のIT要員の人減らしというのはさすがに予見できるのですが、クラウドサービスに対してユーザー企業がどのような対応をするのか、未知数です。

ここ最近で言えば、クラウドサービスの成長を引っ張ったと言われるゲーム業界(特にソーシャル)の業績が急激に落ち込み始めていることから、クラウドサービス事業者の業績も大分影響を受けているのではないかと思います。随分とリソースも減らしているでしょう。

クラウドサービスというと成長のイメージしかない人も多いので、逆パターンがあることも頭に入れつつビジネスを進めていく必要があると思います。右肩上がりのイメージばかりでは危険です。