orangeitems’s diary

クラウドで働くエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

NTT米屋退職エントリーに見るホワイト企業のつらみ

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今日の退職エントリーはこちらです

ロスジェネでIT業界を何とか生き残ってきた私にとって、最近の退職エントリーは教材です。一字一句漏らさず読んで、人の気持ちがわかる業界人になろうかと思っています。今日の課題はこちらとなっております。

 

gold-kou.hatenablog.com

 

情報系の院卒というプロパティーもあり、情報が丁寧に整理され著者の思考がスムーズに理解できました。人が転職するというのは並大抵のエネルギーではなく、かつ退職する人は往々にして全てを語らずに去っていきます。したがって、退職エントリーというものは有意義に把握していくことが万人にとって重要だと思います。

ちなみに、私も一度だけ転職を経験したことがあるのですが、最終日に本社の人事部にお伺いした時が思い出です。新卒で入社し15年弱務めたのですが、人事部の社員から、こともあろうに名前を間違えられました(!)。管理職待遇だったのにな。そのときに、ああ辞めて正解だったなというコンセンサスを「私の心の中会議」で全会一致で承諾したのですが、その会社はまだしぶとく生き残っており、私もその会社も生命力あるなという感じです。

私の話はまたいつかどこかでまとめるとして、本題に入ります。

 

考察

NTTグループはIT業界にいるものの特別な企業連合です。

2018年12月31日現在のNTTグループ株式保有状況です。

 

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株式の概要:株式・債券情報:株主・投資家情報:NTT HOME

 

あまり会社の中にいると株主が誰かなんて気にしないのですが、政府系が35%を握っている巨大企業グループなんてIT業界に、NTTグループ以外では存在しません。

したがってNTTグループは国の取り決めについてとても忠実で、IT業界であるにもかかわらず、盤石のホワイト環境が構築されているというロジックになっていると思います。

ただし、ホワイト企業はIT業界であっても昨今の働き方改革法施行により各段に増えつつあります。NTTグループじゃないとホワイトじゃないというのはもうずいぶん大昔の話となっています。

私も含めて民間の人、とくに中小企業やベンチャー所属の方からみれば、

・NTTグループの中で仕事を廻せるのは強いなあ
・ホワイトいいなあ、どこの平行世界だよそれ
・その家賃補助って実質給与増だよね
・うちの課長クラスの年収はそれに比べて
・大手であっても45歳リストラのこのご時世に

なんて声も聞こえてきそうです。

 

さて、この「ホワイトさ」ですが自分の経験をふまえて考えると、特に若手にとってみると「厳しい」環境になるのかもしれないです。

なぜ厳しいのか。余暇も十分にあるのなら自分で好きな勉強ができるから恵まれているのではないか。これは、一面的な見方にしか過ぎないです。

私が成長してきたタイミングを見ると、残念ながら「ブラック労働環境で修羅場をたくさんくぐったとき」でした。いや、もう一生あの経験をするのは御免なのですが、人間の脳って、皮肉にも何とか修羅場を切り抜けたいと思ったときに活性化するんですね。生きるか死ぬかみたいなときに身に着けたいろいろな知識は、今では宝物のようになっています。だから「わたし、定時で帰ります。」でシシドカフカさんが「最近の若い人は本気さが足りない」とか言わされているわけですね。ホワイト環境しか知らない環境でどうやったら本気さが出せるのかは、私にもわからないです。

結構ブラック環境って、勉強するという意味では「楽」な面があります。何かをクリアするまで帰れない、ということは強制的に勉強させられているのと同じです。この強制力がなければ、私のような怠け者は勉強しなかっただろうな・・という。全くブラック企業が良いとは思いませんが、楽して勉強できたという面では効果はありました。じゃあ復帰しますか、というお誘いについては・・・いやもう身に着けたし若くないので要りません帰ってください。

ホワイト環境の中でどうやって研鑽し、余暇も含めて人生をプランニングするか、という目線だとNTTグループの環境は理想的です。一方で、「修羅場で戦ってみたい」という衝動を持つロールプレイングゲームで言うところの勇者タイプの人は、この退職エントリーのように不満を持つはずです。

 

これが、「ホワイト企業のつらみ」でしょうね。

例えるなら、王家の城の護衛を行う聖騎士と、戦場を渡り歩き名声を得ようとする傭兵ぐらい環境が違います。民は聖騎士に憧れ尊敬する一方、戦場で最も輝く強者もいるのが世の中です。それぞれ自分の個性に合わせて人生を送らないといけません。戦場で血と血を交換する日々に憧れる聖騎士もいれば、早く傭兵稼業を卒業して平和な日々を送りたいと思う戦士がいても不思議ではありません。

まあ、歴戦の傭兵が聖騎士集団で何ともならなかった魔王を倒して勇者になることなんて、良くある話です。IT業界でもね。でも基本的には聖騎士集団に民衆は憧れるわけで。

また、ちょっと引っ掛かる文章があって・・。

 

せっかく金かけて育ててやったのに裏切りやがってという声に対して
今時、転職も珍しくはないので、このような考えを持っている人は少ないと思いますが、ベテラン層にはこの考えの人は一定数いると思います

 

いるんですかねそういう人。

会社の中の「仲間意識」って、社長とその周りの役員、事業部長ぐらいまでしか有効ではないと思うんですよね。企業における利益の責任を負うところまでくれば、一蓮托生であり信頼や裏切りのドラマがあると思います。

でも、課長以下従業員レベルで、在籍するの転職するのっていうのは、会社と社員が「Win-Win」であるから成り立つ話であり、社員がWinじゃないなと思ったら辞めるのは裏切りでもなんでもないと思いますね。

育てるのに金を使うのは投資であって、お金をあげているわけではありませんから。投資するのは会社の自由で、それに対して投資を回収できず転職してしまうのも会社の責任だと思います。社員に未来を見せられなかったからどこかいっちゃうわけですし・・。

会社は会社で薄情なので、裏切りとかいう概念はないですよ。堂々と戦場で活躍頂きたいと願います。

 

余談

中国のテック分野の急成長は、実は996労働というブラック環境が支えているという話を最近聞きます。先月もこんな報道が。

 

www.cnn.co.jp

中国有数の資産家として知られるアリババ集団創業者のジャック・マー氏(54)が、1日12時間労働が当たり前とされるハイテク業界の働き方について、「懸命に働いた見返りが得られる」として容認する見解を示した。

マー氏は14日、中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」に掲載した投稿の中で、中国のハイテク業界や新興企業では当たり前といわれる「996(午前9時~午後9時まで、週6日労働の意味)」の労働慣行を支持する見解を示し、「自分の好きなことが見つかれば、996は問題ではない」と述べた。ただし「(自分の仕事が)好きでなければ全ての時間が拷問だ」とも付け加えている。

 

日本では長時間労働を罰する環境が整いつつあり、一つの会社で昔のような馬車馬のように仕事して成長するというモデルは、すでに過去の物になりつつあるのかもしれません。

自分の成長に時間を費やしたい人は、むしろ副業や起業など、違った考え方が必要となってくるのでしょうね。