orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。



人手不足が叫ばれているのに東証一部企業が45歳以上をリストラする理由が見えてきた

f:id:orangeitems:20190328164905j:plain

 

人手不足なのに一方でリストラの謎

45歳以上に対し、早期退職・希望退職者募集の嵐が吹き荒れているということという記事については本当にたくさんの方に読んでいただくこととなりました。できるかぎり全ての反応に目を通しています。

さて、その反応の中でも最も大かったのは「外国人を大量に受け入れてまで人手不足に対応しようとしているのに、一方でなぜリストラを行うのか」というご質問でした。

この問いに対して様々な情報収集を行っていたのですが、今日目にした2つの記事が的確に答えてくれたのでご紹介します。

 

2つの記事

ぜひ、全文にお目通し頂きたい2つの記事です。

2つ読むと、わかることがあります。

 

日経ビジネス

business.nikkei.com

「低い最低賃金が人手不足を助長している」。静岡県立大学の中澤秀一准教授はそう主張する。生産性を高めるための企業努力よりも、安い人件費の労働者を活用する方が利益を得やすいため、多くの人材を浪費する非効率な仕事が減らないのだという。

 

DIAMOND online

diamond.jp

 

 売り上げの状況と人員の状況は、以下のように密接に関連していたと考えられる。
(1)「小企業」では、売り上げが伸びず、他方で人手不足にも直面する。そこで、人員を削減して縮小均衡を図った。このために、従業員数が減少したのだ。

(2)「小企業」から放出された労働力は、「大中企業」に移動したと考えられる。

「大中企業」では売り上げが増大したので、従業員数を増やした。「小企業」から放出された労働力が、その供給源となった。

「大中企業」は、これ以外に、主婦のパート労働者や外国人労働も採用したと考えられる。

 これによって、「大中企業」では、増大した売り上げに対応して事業を拡大できた。

 ところが、低賃金労働が流入したので、従来から就業している労働者の賃金を下げなくても(あるいは上げても)、大企業の平均賃金は低く抑えられることになる。この結果、利益が増大した。

 このように、利益は人件費圧迫で実現したのであり、イノベーションや新事業によってもたらされたのではない。

 

考察

早期退職・希望退職の嵐が吹き荒れている企業が急増した件、これらは全て東証一部に所属する大企業です。横ぐしで調べて抜き出して初めて気が付きました。なぜ大企業がそろって給与が高い45歳以上にフィルタリングして退職を促そうとしたのか。これは明らかに、人手不足によって低賃金労働力の獲得ができなくなってきているために、身内の高賃金労働力を整理することで成長の原資を確保しようとしているためだと思います。

大企業が利益を維持できているのは、低賃金の労働力を確保できていたためで、これが確保できない、もしくはできなくなる状況では利益水準がぐっと下がり、ようやく身内、特に給与が単純に高い45歳から上を狙い撃ちにした、という理屈です。

二本目のDiamond Onlineの記事に、興味深い段落があります。

したがって、現在の統計を表面的に見ても、労働市場で生じている変化を的確に捉えることはできない。有効求人倍率や失業率に現れているのは、小・零細企業の状況である。ここでは確かに人手不足が生じている。
ただし、大企業などでは、ここで描いたような状況が正しいとすれば、それほど深刻な人手不足が生じていない可能性がある(現実、事務系職員については、人が余っている)。
ところが、こうした状況は、有効求人倍率や失業率には、あまりはっきりとは現れない。

低賃金労働力の供給が止まってしまった、これにより大企業が利益を保つためには自らの構造改革に手を付けざるを得なくなってしまった。

RPAなどによる間接部門業務の省力化から始まり、今度は45歳以上のリストラ。すべてはつながっているのです。

なぜ株価は高止まりし、戦後最長の好景気と言いながら、国民の実感がこれだけ薄いのか。大企業中心の日経平均株価や各種統計でモノを見るから、歪んでいたということです。

そんなことを考えていたら、こんな記事も。

 

www.nikkei.com

政府は27日、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で生産性向上や所得格差の是正に向けた取り組みを議論した。国全体が成長する力を養うには、一人ひとりの生産性を上げる必要があるとの認識を共有した。不況期に就職し、正社員になっていない「氷河期世代」などが取り残されないような教育促進策の推進も確認した。

 

氷河期世代の私が言うのもなんですが、20年間も放っておいて今更これを言い出すのは、「低賃金労働力の生産」としか見えません。私の世代などは、団塊ジュニアとも呼ばれ同じ世代の人数が多かったので、受験戦争も激しかったです。かなり優秀な人もいたのに氷河期や派遣労働の拡大に巻き込まれて満足な就職活動ができず、今活躍していない人も少なからずいらっしゃいます。

その方たちを再教育すれば、かなりの優秀な労働力にはなろうと思いますが、「低賃金労働力」としても期待されてしまうのではないでしょうか。

 

最近のひとつひとつのニュースがつながって見えませんか?