orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

昔から見た未来をながめていると楽しい

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昔から見た未来

インターネットの世界って日本ではだいたい20年くらいの歴史ですよね。そこから前はググっても記事が出ません。したがって昔と言えばたかだか20年以内の話です。それでも20年前の方向をながめてみるといろいろと面白い話が出てきます。昔から近未来を想像した記事を集めてみました。

 

富士通の記事

まずは2004年の記事。今から14年前です。

 

大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

富士通が、未来のPCの姿を提案するという試みを行なった。
NPO法人である東京デザイナーズウィークが、東京のお台場で開催している「TOKYO DESIGNER'S WEEK 2004」の「CONTAINER GROUND(コンテナ展)」で、富士通の総合デザインセンターがデザインした未来のPCや携帯電話など14機種が展示された。

 

14個もあるのに、的中したと言えるのは1個だけです。今の2 in 1 PCの発想に近いですよね。

●Flex-type PC

 さまざまな利用シーンにあわせ、モジュール化された各種ユニットとフレキシブルフレームを組み合わせて使うIT端末。
 デスクトップPCとしての利用から、液晶部分を取り外して、キーボードと接続することでノートPCに変形。さらに、キーボード部にディスプレイを乗せることでタブレットPCのような形状にもなる。ディスプレイ部とキーボード部、本体の間はワイヤレスで接続する。

 

意外と今のデザインシンキングに近いことを行っていて感心します。

 富士通の総合デザインセンタープロダクトデザイン部 上田義弘部長は、「早ければいまから3年後、あるいは2010年頃のPCの姿はどうなっているのか、ということを想定し、デザイナーに自由にデザインをしてもらった。個人でデザインしたものもあれば、2~3人のチームでデザインしたものもある。今年7月から、このイベントに向けたデザインを開始し、完成した36点のなかから14点を展示した」と話す。

昔は余裕があったんだなあ・・、時代を感じます。最近は没個性的なデザインばかりになりましたし、中国の資本も入ってしまいましたし・・。

 

ちなみに、

●Home Server

 その名の通りのホームサーバーだが、家庭の中心となる大黒柱をイメージ。柱のなかには、ホームネットワークを司るサーバー機能、ネットワーク機能などが内蔵される。柱の真ん中部分の台には、身につけていた情報機器を置くためのトレイが設置され、ここに置くだけで携帯機器の充電や最新データのダウンロードが可能になる。

 こちらは、似たような取り組みは実際に2010年くらいに流行ったものの、結局はインターネットスピードの劇的な進化によってクラウド側に情報が吸いあがるようになっちゃいましたね。

 

2018年の今のパソコンを見ると、まだタワー型のデスクトップパソコンも現役です。相変わらずキーボードとマウスもくっついてますし、物事って変わらないものですね。まだ固定電話もFAXもありますし。

 

日本共産党の記事

これも2004年の記事。

ニート、2015年に100万人突破/第一生命経済研究所が予測/経済成長の下押し圧力に

「NEET(ニート)人口の将来予測とマクロ経済への影響」と題する同リポートによると、「ニート」は二〇〇〇年の七十五万一千人から、一〇年に九十八万四千人、一五年に一〇九万人、二〇年には百二十万二千人に到達する見込みだとしています。

(中略)同リポートでは、あと数年もすれば「労働力不足の問題が表面化してくる恐れがある」として、「ニート」の増加は「現実の経済成長率の抑制要因になる」と警告。政府に早急な対応を望んでいます。

 

実際には、100万人は突破せず、むしろ少子化により縮小傾向にあるとの分析です。

2017年時点で71万人…「ニート」数の推移と現状をさぐる(不破雷蔵) - 個人 - Yahoo!ニュース

・ニートの概念に近い若年無業者の数は2017年時点で71万人。前年比でマイナス6万人。

・若年無業者の中でもより若い年齢階層の15~29歳層は2002年や2004年の47万人を最大値とし、それ以降は減少する傾向に。より上の年齢階層の30~39歳は漸増傾向にあったが、ここ数年で減少の兆し。

・若年無業者となった理由は病気やけがによるものがトップ。

 

こちら、からくりがあって、ニートの概念が現在では39際までに限られているのですが、実は40歳以上にも無就労の人口が隠れているという話です。

 

「中年ニート」120万人、統計に表れない無業者 :日本経済新聞

120万人という予測数字が、ニート対象ではなくそれより高齢の層で一致してくるところが現在の高齢化社会を強く暗示していると思われます。なかなか考えさせられる結果です。

 

cnet japanの記事

これ、ぞくっとしますよ。2003年の記事です。

グーグル、インテル、MSが注目するベイズ理論 - CNET Japan

サーチエンジン超大手のGoogleと情報検索ツールを販売するAutonomyの両社もベイズの原理を採用し、百発百中ではないにしろ高い確率で適当なデータを探し当てる検索サービスを提供している。様々な分野の研究者も、特定の症状と病気の関連付けや個人用ロボットの創造、過去のデータや経験に基づく指示に沿って行動し「考える」ことができる人工知能デバイスの開発などにベイズモデルを使っている。

 また、Microsoftも積極的にベイズモデルを支持している。同社は確率論(または確率論的原則)に基づく考えを同社のNotification Platformに採用している。このテクノロジーは将来的に同社のソフトウェアに組み込まれる予定で、それによりコンピュータや携帯電話がメッセージや会議予定に自動フィルタをかけたり、コンピュータなどの持ち主が他人と連絡を取りあうための最善策を考えたりすることができるようになる。

 うまくいけばこのテクノロジーは、人間の日課となっている行動を判断し、常に変化する状況下で人間の生活を管理する電子執事のようなものを生み出すだろう。

 

ちょっと長めに引用しましたが・・・、このベイズ理論というのは現在の人工知能を語るうえで欠かせない理論なのです。

 

これは2015年の記事・・。

あのマイクロソフトも注目! 人工知能などの最先端技術に欠かせないベイズ統計学 | 完全独習ベイズ統計学入門 | ダイヤモンド・オンライン

要するに、ネットに仕込まれたベイズ統計学の推定機能は、学習によってどんどん賢くなる、という性向を持っている、ということだ。これは、ネット上に人工知能を潜ませることが可能であることを意味している。マイクロソフトもグーグルもアマゾンも、ベイズ統計学を人工知能として利用していることは疑いない。

 

一朝一夕に今の人工知能ブームが生まれたわけではなく、2000年あたりの機械工学が既に今の人工知能を活用したビジネスを予見しているのだから、基礎研究は本当に大事だと思います。あまり応用研究ばかりやっていると、食いぶちが無くなっていくんでしょうね・・。

 

IBMの記事

これも2004年の記事。2004年には未来を予測することが流行ったんだろうか、たまたまか?

@IT:IBMフェロー、「いまはアーキテクチャ・パターンに興味がある」

というのもブーチ氏は7月に米国で行われた「Rational Software User Development Conference」の基調講演で話したように「OSはさらに汎用化が進み、オープンソース化し、さまざまな機器に組み込まれていくだろう。ミドルウェアも同様だ。ネットワークこそがコンピュータそのものになる」といった大胆な予測でソフトウェア開発の未来を見ており、IBMのソフトウェア事業もそのような未来に適合するあり方をいまのうちに模索し始めなければいけない、と考えているからだ。

 

これはすごいでしょう!。14年前に完全に現在を予見していて、今はネットワークにつながっていないコンピュータは文鎮化してしまいました。スマホもパソコンも全部インターネットに直接的、あるいは間接的に接続されています。

 

ちなみに、グラディ・ブーチ氏は今でもご健在です。貫禄は上がりましたが。

UMLの生みの親が語る、AI時代に求められる開発者になるために必要な「学び」と「考え方」:IBM Think Japan 2018 Code Day - @IT

「現在は『Imagined Reality』の時代だ。物理学者は、この宇宙で現実に起こっていることをイメージしながら、それをシンプルなモデルに還元して説明しようとする。開発者は、それとは逆に、シンプルなモデルを組み合わせたり、拡張したりしていくことで、自分がイメージする世界を実現しようとする。コードを書いてソフトウェアを作るということが、経済的価値となり、社会的な意味を持つ時代において、開発者には新たに倫理的・道徳的な課題が立ち上がってくる」(ブーチ氏)

 

今後、倫理的・道徳的な課題が立ち上がってくる、と。もはやFacebookの個人情報の件など倫理的な問題は顕在化していて、技術の進歩のサイクルもスピードアップしているのではないかとも思いました。

 

まとめ

未来に向けて革新的なことをやりたい、と思う時一度過去を振り返るのは意味があると思います。過去にも革新的な予想や思想があったのに、それが具現化しなかった場合はそれはなぜなのか。逆にピッタリ当たったのはなぜなのか。インターネットの歴史も20年近くになったことで、このあたりの調査も簡単になりました。

自分の業界や周辺などで、過去はどんな予想をしていたのか、調べてみるのも今後の参考になると思います。

 

 

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