orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

就職氷河期世代に、育成された記憶なし

 

就職氷河期世代って言っても色んなケースがあって一概には言えないけど、私の経験では、あまり人を育てようという現場は一つもなかった。まあ他社常駐でSES、であったし、そもそもできる人がいなかったよIT業界。業界自体が若かったから、何かわけのわからない状態をみんなで何とかしよう、という雰囲気だったんだ。誰かわかる人、いる?きょろきょろ、となるのが日常茶飯事だったし我先にと調べて手を動かし始め、そうやって実績を残した人が詳しい人扱いされる、という今では考えられない時代だった。

今は、何を学習するべきかについて、書籍もたくさんあるし、学んでいくプロセスや環境もかなり整備された。昔は学習環境を手に入れるところから高いハードルがあった。パソコン自体は所有できても、例えばWindows 98などに業務用ソフトウェアなんて入らなかったわけで。今ではかなりのプロダクトがローカルの仮想環境やクラウドで試せるし、勉強するの本当に楽になったと思う。昔は、出勤してオフィスに来ないと何もできなかったし、資料も全然無くて、試行錯誤で業界は課題と戦っていった。計画したことがうまくいかなくて会社ごと失敗するケースもあったし、そこにはベテランもルーキーもなく、だからこそ面白い時代だったんじゃないかと思うんだ。教えられる人もいないから自分で学ぶしかなくって、先に学んだら先輩方を差し置いてタスクを任せてもらえるって、最高じゃない?。

そうやって学んで生き残った人が今の40代であり、自分たちは育成されていないって言うわけ。そりゃそうだ。むしろ業界から退場していった人も多いし、生存バイアスを発想しやすいのは認める。でも今とは全く条件が違うんだから、そうなって当然でしょ、とは思う。

じゃあ今の若手に同じことを求められるかと言うと絶対そうはならない。なぜなら、もう随分技術の基礎は確立しちゃっていてそれを体感で把握している40代以上が要職についてるから、若手たちがそのタスクを奪うロジックがない。どんなに若手ががんばったって、40代は20年やってるんだよね。そりゃかなわない。技術がドンガラガッシャンで全くゼロベースで積み上げていかなきゃいけない状態が今後おこったとしても、それって今までの積み上げの上だろうから、それすらもベテランの習得が早いわけ。

で、「最近の若手はギラついてない」とかベテランがぼやいてもね、戦う条件が違いすぎて話にならない。そりゃそうだ、勝ち目がないのになぜ戦いを挑まねばならない?。それより言うことを聴いて、指示通りやっとけばいいじゃん、ってなる。

この件、私の中では答えが出ていて、ベテランが育成について力むこと自体がおかしいの。だって、ベテラン連中は育成された経験がないんだから。育成については素人同然。だからマイクロマネジメント気味に、あれはやったかこれはやったか、みたいなことを若手に示し、若手も「うるせーな」となっちゃうわけである。

ここは一つ、若手に丸投げしてはどうか。もうこの範囲はあなたに任せる。やりかたは自分で考えて。わからなかったら相談にのる。頑張れ。これぐらいでいい。任せた以上は細かいことは見に行かず、報告だけを聞くようにする。自分だったらもっと・・と思うかもしれないけど、彼らが彼らなりに自分で考えて行くこと自体が重要なんだ。育成には。わからん、という状態そのものが必要で、就職氷河期世代は、幸か不幸かその状態が与えられてきたから。自分と同じような状態に、かつマイルドに、放り出してやればいいんだと思ってる。