なぜ、パソコンが必要か
私の周りにはたくさんのパソコンがあるんですが、
「今はスマホがあるのになぜパソコンなんでしょうね。スマホでだいたいのことは済みますよね、なんでわざわざパソコンなんですか。」
こうやって子どもがパソコンを使うことに拒否感があった場合、どうやってこっちの沼に連れて来ればいいんでしょうか。そりゃあ小学生が、AMD RyzenとDDR4メモリー、M.2 SSDにGPUを積んで、4Kディスプレイつないでベンチマーク動かしてほくそ笑むことはないんでしょうけど。
もちろん、私は社会人だしパソコンに投資するお金があってかつ趣味なので傾倒しているに過ぎないのですけど、一方で全くパソコンに触らない生活なんてもう考えられないのです。
自宅の自分用だけで3台のパソコンがあるぐらいです。クラウドにも1つデスクトップがあって、それでiPhoneからそれらのデスクトップに外出先からChromeリモートデスクトップでアクセスする。最近だとFire HD 10でも。そんなアクロバティックな生活をしていると、パソコンに触らないで生活するということが何を表しているかさっぱりわからなくなります。パソコンを物理的に触らなくてももう電車の中から見られるので、どこにいてもパソコンが触れることを前提として生活するのが当たり前になっています。
・・と、そんなキワモノに子どもたちになってほしいわけではなくって、どうすればその手前の、普通にパソコン触れますし知ってますぐらいのところまで近寄ってくれるのかということです。
自分自身がずぶずぶにパソコン沼に入りすぎて、説明不可能なことに気が付きました。
文科省の試み
パソコン沼にハマるところまでは行かなくても、全国民、基礎知識は必要だみたいな話にはもうすでになっていて、下記の試みが話題になっています。
当時ですら2万円程度で売られていたものと大差ない性能のWindowsタブレットが1台あたり27万8000円で導入された背景には、このような事情があったようです。
つまり、お金をかけたのはハードウェアではなく、ソフトウェアやコンテンツなんだよという記事です。
私から言わせればこんなのパソコンじゃない、タブレットとパソコンの間で中途半端な機械、なんです。でも使うのは私じゃない。子どもたち。
そしてこのARROWS Tabで情報処理技術をマスターするわけでもないんですよね。これらのソフトウェアが動けばいい。そのテストはもちろん富士通もしているでしょう。この端末で仕事するってわけでもないです。
パソコンって、いろいろできるんだよ、っていうデモ機です。
小中学生が使う端末です。プログラミングって言ったって、スクラッチを筆頭とするノンコーディングのビジュアル型のものでしょう。
天才プログラマーを育てようという目的では全然ない。むしろワードやエクセルを普通に使えて、パソコンで用事ができるぐらいのことは分かってもらおうよ。
そんなことなはずです。かつ用途外なことには使わせないようにしている。
全ての生徒に上記のビジョンを持って対応すれば、この端末、意外と意図には合っているのかもしれません。
パソコン沼の魅力
なぜパソコンが好きか。それはいろんな仕事が「無パソコン」な状態と比べて考えられないほど速く処理できるから、ですね。
やりたいことに合わせて無数のアプリケーションをつなぎ合わせ、データを結び付ければ、いろんなことができる。できそう。やってきた。
この万能感を、どうやって子どもたちに伝えればいいんだろう。
いやぁ、そんなの教えなくても勝手に始めるでしょ、と言う感覚って古いんだと思うんです。例えば車だって、都会を中心に運転しない人が増えている。車を運転して楽しいと言う感覚って、どうやって車を運転したことのない人に伝えるんでしょうか。
自分が当たり前で、魅力的だと思っていることについて、他人がそれを理解し共感してくれる保障なんてどこにもないということです。
しかも今はスマートフォンがそのイメージにかぶってきてしまった。パソコンの万能感のうち、ユーザーインターフェースの秀逸さによって本当に必要な機能だけはスマホの中に入ってしまった気がします。
いやいやでもでも、パソコンしかできないことって、スマホと比べてごまんとある。「パソコン-スマホ」のこの部分。これが問題。
都会にいて、車いらないよね、バスやタクシー・電車で十分という意見について、ええ車あるといいよ、なぜなら・・・、しかも・・・。この議論とすごく似ているところです。
この部分が趣味とか、気持ちよさみたいな議論になると、「そんなのに金かけるのってバカじゃん」みたいな話になりかねない。
まぁ、将来仕事で使うから。そう言っちゃうなら、とりあえず小中学生に与える端末って、Arrows Tabでいいと思います。
でもパソコン沼の人たちからすれば、そんな端末触ってもなんの魅力も伝わらんよ。これも然りです。
沼に来るために、まず基礎知識をつけてもらって、後は手ぐすね引いて誘導すればなんとかなるんじゃないかな、なんて少し希望的観測を持っています。
富士通のみなさん、がんばってください。