Office 365、二日連続で障害
Office 365の障害が二日連続で発生し、ニュースになっていますね。
米Microsoftは11月19日午後9時35分(日本時間)、同日昼頃から障害が起きていた「Office 365」のメール機能が復旧したと発表した。
米Microsoftは20日、「Microsoft Intune」「Microsoft Teams」など複数のサービスにアクセスしづらい障害が発生していることを明らかにした。
影響を受けるサービスは以下の通り。最近行ったネットワークアップデートにより、ユーザーからのアクセスが途切れる可能性があるとしている。このアップデートを元に戻すことで回復の傾向が見られているそうだ。
昨日はメールだけだったのが、Teamsなど別のサービスに問題が波及しました。一日目の「スパム対策システムの更新」と言っていた原因的なものが実は違う可能性があると思います。偶然に二日連続で違う場所で障害が起きることは普通考えにくいです。
ネットワークアップデートの戻しをやっているとありますので、レイヤーが低い(物理層に近い)部分での問題がアプリケーションに波及している可能性が高いのではないかと思っています。
パブリッククラウドに置いてきたもの
私も10年前は、企業のメールサーバーやファイルサーバーを預かったこともありました。メールサーバーが定期的にハングアップして、「あれ、メールが来ないよ」って声が聞こえてきたら走ってデータセンターまで行って電源ポチリなんてやってました。
メールサーバーが止まったら、企業の偉い人まで影響が及ぶので、「どうなってるのかねチミ」みたいな人から怒られたりもした記憶があります。原因はいろいろありますがメールサーバーはストレージが肥大化する方向にあって、ユーザーも古いメールを思い出のように取っておくので収拾がつかなくなる。しまいにはコンプライアンス強化で昔のメールを全部別の場所にアーカイブしておくように。とか、迷惑メールやウイルスチェックをするのは当然だとか、要件がどんどん肥大化して・・。
そして、「そうだ!クラウドに追いやろう!」というので、パブリッククラウドのメールサービスに半ば強引に進めました。その時はデータセンターのトラブルが発生したときに、メールも一緒にホストされているとお客様にメールで連絡できない。なんて課題を盾にして強気に進めた次第です。
さて、おそらくそんな情シスが世の中に大量にあって、Gmailのシェアが初めは大きかったのですが、企業のOffice製品にインターネットメール(OUTLOOK)が付いてくるOffice 365が次第にシェアを伸ばしていったと把握しています。
クラウドが社内メールの運用を肩代わりしてくれるようになったことは非常に大きくて、これでお守りをしなくてよくなりました。しかもメールソフトウェアはWeb化され操作は統一化されるし、機能も日が経つごとによくなっていきます。
メールサーバーの成功を皮切りに、それではファイルサーバーもActive Directoryも、では社内のサーバーも・・・と最近はAzureのシェアがAWSを猛追しているという話も聞こえてきます。いや、Office 365のサービス全体をクラウドとみた場合は、AWSを抜いたという話まで出てきます。
そして現在。クラウドに多くのものが置かれ日常を我々は過ごしており、永遠の平和が訪れたと多くの情シスは思っていたと思います。
そして、障害は急に起こります。
クラウドが平和をもたらしたのだ・・と悟りを開いた情シスたちは会社をまたいで気づかされることになるのです。そうだ。あのナイトメア(悪夢)は無くなったのではなく、雲に置いてきただけなのだ、と。
パブリッククラウドには10年前にあった、あんなことやこんなことが同じように起きていて雲の中でメンテナンスされているのです。だから想定外のことも起きるし、起きたら起きたで手放してしまったのですから、もう、待つしかないのです。待つだけです。
クラウドからの出戻り
こちらは今日の記事です。
Nutanixが発表した企業のクラウド導入動向に関する調査「Nutanix Enterprise Cloud Index 2019」によると、一部のアプリケーションをパブリッククラウドから再度オンプレミスに移行させていた回答者が73%に上った。
まさにOffice365がトラブっている今日、この記事が出るとはなんと皮肉な。
オンプレミスに出戻りするシステムが増加しているそうです。
結局は、問題は無くなったのではない、置いてきただけだ、ということです。
「クラウドで無くなったわけではないのか、それがまだあるのなら手元であなたがやりなさい」、というミッションを命じられた情シスが世界中にたくさんいるんだろうなあ・・・。
(もしかして、あなたですか?)。