orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

システムエンジニアリングサービス(SES)に透けるIT業界の現実

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SES?

ZDNetというと本場がアメリカで、グローバルなIT業界のニュースをキャッチでき、私も周回ルートに入っているメディアです。記事を見ていたら異色の内容を発見しました。

 

japan.zdnet.com

直近の分科会では、第1部でメンバーから発議のあった「トラブル発生時の穏便な処理方法」について議論しました。センシティブな内容のため具体的には記載できないのですが、ハラスメントに関連する問題が目立っていました。今回は、第2部で議論された「稼働中エンジニアの条件交渉の進め方と注意点」について取り上げます。

 

SESって、あのSESだよな・・、ということで、ZDnetらしからぬ日本のIT業界の現状が濃縮されているので取り上げます。

 

考察

大胆な表現が散りばめられています。

 

システムエンジニアリングサービス(SES)は人海戦術を中心とした労働集約型の業界です。

 

この一文を読んだだけで、くらくらしました。IT自体は、進化したハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク等を用いた、知識集約型の業界、という建前で成り立っているのではないでしょうか。

しかし、いざ働いてみると、問題のあるプロジェクトほど人数が投入され、工数で物理的な時間を短縮し解決しようという雰囲気があることがわかります。

ITなのになぜ、人海戦術なのか。それは情報システムの成り立ちを考えればわかることです。もともと整理されていない何らかのワークフローを人間が整理し、ドキュメント化し、それをコンピュータのパワーを使って自動化するまでがIT業界、特にSIと呼ばれる仕事です。SIだけではなく、自社で何らかのWebサービスを構築し運用するにしても、同じ手順を踏みます。何しろ初めの段階は「無」でありそれをシステム化します。

特にシステム化したい、という欲求が生まれるぐらいの手順なので、生産性が低い話がほとんどです。無駄が多く面倒で、それであって一定のルールがあるという話を、プログラミングという理路整然した世界に持ち込むには人間の脳と時間が必要、ということです。

そのシステムエンジニアリング自体を省略し、ソフトウェアを導入するだけで課題解決できるSaaSのようなサービスも現れていますが、日本の企業はSaaSの仕様に合わせて自社の仕事を変えることは極力せず、システムの方をカスタマイズする性質にあるため、人海戦術で臨むシステム化というのは今後も無くならないのではないかと思っています。

そんなバックボーンがあって、このSESの存在があるということを理解するべきです。

 

エンジニアの人事評価や能力向上、目標設定、給与交渉など、さまざまな業務が発生しています。SESの契約はプロジェクトごとに期間を定めて業務を遂行するため、参画するメンバーや派遣先企業も一定ではありません。

 

SES契約と、派遣契約は法的には全く別物です。しかしこの文章では「派遣」という言葉を使ってしまっているため、SESに携わるシステムエンジニアも「自分は派遣されているんだ」と思い込み、その結果常駐先の社員に部下のように扱われ偽装請負のような問題がいつまでも残っていると思います。

 

エンジニアの能力向上などにより、開発だけでなく設計にも携われるようになったり、当初の業務以上のことをするようになったり、プロジェクトに必要な資格を取得したりなど、その時々で求められる明確な材料を持って、報酬や増員などを交渉するのが望ましいでしょう。分科会メンバーの過半数がこの意見に賛同していました。

 

もともと「人海戦術」と言いきってしまっているので、顧客は人の成長など気にもかけず単価が上がることだけを渋るだけだと思います。

本来は、提供するサービスに対して見積を出し、成果物に対して報酬を得られる請負でやれば、サービスの内容が変わった段階で再見積とし単価を上げるのが筋です。しかし月精算でおいくら、と決まってしまっていて長い間常駐すると、プロジェクトインしたときの条件が長期間引き継がれてもごくごく自然と言えます(顧客サイドの視点では)。

人海戦術、派遣、と言った時点で勝負は決まっているのではないか・・と思います。むしろ派遣契約にして、3年以内にスタッフを交代させていったほうが単価は上がっていくのではないかと思いました。

同一労働同一賃金の流れが派遣契約から来ていますから。

 

メールなどの証拠を残しておくことも重要です。その上で、例えば、稼働しているエンジニアが要件整理などの作業に携われるようになったら、報酬額を引き上げるといった条件を事前に取り決めておくという意見もありました。

 

業務内容が変わったら後付けで請求額を変えるのは、少しグレーな条件を感じます。本来は契約を変更してから、業務内容を変えるべきでしょう。

 

SES分科会とは?

この記事も、突然「SES分科会」と言う言葉が出てきているので、興味本位でその出自を調べました。

 

 

www.pr-table.com

システムエンジニアリングサービス(以下、SES)は、システム開発で必要なエンジニアの能力を企業に対して提供するもの。エンジニアの需要が高まり、営業活動をしなくても受注できるため、SESを行う企業の営業職にはスキルへの不安があります。そこで結成されたのが、New Generations Meet up(SES推進組合)です。

 

私がSESから足を洗った2010年ごろはリーマンショック後で景気が落ち込み、35歳定年説が流れ、SESももう尻すぼみだなと思ったものですが、そんな予想は全く当てはまらなくて、営業しなくてもSES案件が飛び交うような世の中になっているみたいですね。

  

今後、私たちは、SESのビジネスモデルを世界へ広げていきたいと考えています。

SESビジネスは、IT業界未経験の営業職が最初に通るビジネスモデルといわれています。エンジニアをさまざまな企業に派遣することから、他の業界とのシナジーが生まれ、成長に繋がるビジネスなのです。

しかし、多く見受けられるのは、会社での“独自ルール”に縛られているケース。そのようななか、SES業界の成長のためには何が必要なのかを追求し、業界を引っ張っていける団体を目指しています。

また、私たちが望むのは、地方にも活動を広げること。2017年現在、システムやソフトウェアなどの開発を国内の遠隔地で対応する「ニアショア開発サービス」の影響で、地方都市でもSESが行われはじめています。そのような人たちに対し、地域活性化も含めて、貢献していきたいです。

さらにシステム開発を海外の企業や法人に委託する「オフショア開発サービス」も、広がりを見せています。特に目立つのは、東南アジア地域へ進出している企業での取り組みです。日本だけにとどまらない、SESのビジネスモデルには多くの可能性があります。

アメリカをはじめとする主要国へも、この活動を広げていきたいーー。それが、私たちの目指す未来です。

 

私は、SES否定派なのですが、まぁこれで食べている人に取っては、どうにかポジティブにしていかないとという話なんでしょうね。

これが現実かなあ。