成功した人は、ちょっとつまづいただけで話題になる
日本に限った話ではないのかもしれませんが、すごく成功した人が少し失敗しただけで大きく取り上げられることがあります。
例えば、将棋の羽生さんが今年、27年ぶりに無冠に終わった件をたくさんのメディアが取り上げています。
将棋の第31期竜王戦七番勝負の第7局が20、21の両日、山口県下関市で指され、後手の羽生善治(はぶ・よしはる)竜王(48)が挑戦者の広瀬章人(あきひと)八段(31)に敗れ、対戦成績3勝4敗で竜王を失冠した。27年ぶりに無冠となり、今回はタイトル獲得通算100期の大記録達成はならなかった。勝った広瀬八段は初の竜王を獲得した。
一方、昨日から始まったフィギュアスケート全日本選手権。あのロシアのザギトワ選手をグランプリファイナルで破り世界一に輝いた紀平選手が、ショートで5位に出遅れました。トリプルアクセルの転倒が響きました。あれだけ紀平選手のことを持ち上げていたメディアが静かになってしまいました。
フィギュアスケート・全日本選手権第1日(21日、東和薬品ラクタブドーム)来年3月の世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)代表選考会を兼ねた大会が開幕。女子ショートプログラム(SP)で、日本勢として2005年の浅田真央以来となるグランプリ(GP)ファイナルで初出場優勝を成し遂げた紀平梨花(16)=関大KFSC=は68・75点で5位と出遅れた。
このように、ものすごく強いとされていた人はちょっとつまづいただけでニュースになりがちです。
罠
成功し続けなければいけない人の心理を考えてみます。だんだんと「失敗しないこと」が目標になりがちであると思います。少し失敗しただけでメディアに露出しますから、失敗し続けないことイコール成功者として継続すること、という発想が生まれます。
しかし、この図式が罠だと思います。
周りの競争相手も成長しますし、自分自身も変化しますし、競技の傾向も変わっていきますので、自分自身も変化していかなければいけません。変化すればいいということではなく、変化した結果を自身にフィードバックしながら、小さな失敗を分析して大きな成功への変化につなげていかなければいけません。したがって、失敗しないと成長しないのは、成功者であってもその通りだと思います。しかし、少し変えて結果がしばらくうまくいかないと、調子が悪いだの、試練だのと周りに言われて、失敗を前向きにとらえることが難しくなっていきます。そうすると、だんだん失敗そのものを恐れるようになり、成長が止まってしまう、という方程式にハマってしまいます。これが罠です。
きっと、どんどん失敗を重ね、そこから学んでいくことこそ成長し続ける鍵であり、失敗への外野のブーイングは全く聞かないように努力しなければいけないのではないでしょうか。むしろ、失敗しないようにすることばかり考える思考をしてしまうことのほうが危険、なのだと思います。
ビジネスもそうです。スタートアップの時の方が、小さな失敗をすることが簡単です。成功を続けある程度の売上・利益をはじき出せるようになると、だんだん失敗することが怖くなります。周りも数字を期待しますし、少しでも陰りがあると「何か調子が悪いのか?」「方法が悪いのじゃないか?」など言われます。それが煩わしくなり、だんだん方法が保守的なものばかりになり、売上を向上させるような大胆な施策を嫌い、原価を下げて利益を確保するような保守的な方法ばかり取りがちになります。そうなると原価を最小限に押し下げた時点で、ビジネスの成長は止まります。
ブログの更新もそうです。評判のいい記事の傾向を知っていくと、どうしてもそのジャンルに内容が偏っていきます。でも、そんなふうに評判ばかりを気にしていると、似通った記事が量産されて、ブログの面白さは衰退していきます。
成功した人、もしくは成功を続けている人が、今後も成長し続けるためには、周りの評判を気にせず信念を持って変化を楽しみ、失敗を繰り返していくことが重要なのだと思います。
少しわたしも2018年を振り返る中で、保守的になりつつある気持ちを感じます。開き直って、周りを気にしないで失敗を恐れず、大胆な施策をいろいろ試していこうと思います。
がんばれ、紀平選手
話は戻って、日曜日にフィギュアスケートの女子フリーがありますが、紀平さんには結果を気にせず、攻めの演技を披露してほしいと思います。今年グランプリファイナルを制しただけでも腰が抜けるくらいすごい実績なのですから、のびのびと競技を楽しみここから成長していってほしいなあと思います。完璧にできるかもしれませんし、何か課題を残すかもしれませんが、この先もっと長い選手生活が待っていますのでひと時の成功より、立ち向かった経験のほうが重要かと思います。
がんばれ、紀平選手。