orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

ぐるなびの決算説明会資料からわかること

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ぐるなびを知る

ぐるなびの来期予想(2019年度3月度)がかなり控えめだということで話題になっています。

minkabu.jp

ぐるなび <2440> が5月9日大引け後(15:10)に決算を発表。18年3月期の連結経常利益は前の期比29.4%減の48億円になり、19年3月期も前期比73.0%減の13億円に大きく落ち込む見通しとなった。

 

調査

今期の計画未達はともかく、来期予想の落ち込みが大きいので調べました。

下記の決算説明会資料はかなり練られた資料なので必見です。どんなビジネスモデルでどんなキャッシュフローなのか読めば短時間に理解できます。また現在どんな問題をかかえていてどのように対処しようとするかまでわかりやすいです。

2018年3月期 決算説明会資料

こちらの資料をもとに、わかったことをまとめたいと思います。

 

ぐるなびのビジネスモデル

さて、一般消費者から見てぐるなびが何をしているかと言えば、WEBサイトでの集客のイメージが強いと思います。WEBブラウザからぐるなびを開いて、駅名調べればお店を紹介してくれてクーポンが使えるというところでしょうか。古参のWEBサービスのイメージが強く、会社沿革を見ると1996年から始まっているんですね。日本のインターネットの始まりからあって今も生き残っている稀なサービスだと思います。

一方で、一般消費者から見えないもう一本のビジネスをしています。1000人の従業員が飲食店のプロモーションを行っているのです。販売促進のためのコンサルタント、質問に答えるコールセンター、スタッフ教育サービスなど、加盟店に対する支援を行なっています。ここのビジネス領域は私にとって発見でした。

ぐるなびでは下記の図のように、2つのビジネスとして説明しています。

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(2018年3月期 決算説明会資料24ページより抜粋)

 

かつ原価構造を見ても、①ITを用いた事業基盤(オンラインのインフラ)に対する売上原価と、②1,000人の人的サポート体制(オフラインのインフラ)がほぼ同額なのがわかります。ビジネスモデルとしては目に見える①だけではなく、②、つまり人によるサポートを付加価値として提供し利益を出していく会社だということがわかります。

 

なぜ来期落ち込むのか

来期、売上原価や経費を同額に据え置きつつ売り上げが32億円下がるからです。その分丸々営業利益が落ちて前年比34億円マイナスとなっています。

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(2018年3月期 決算説明会資料8ページより抜粋)

 

この売上減の意味するところですが、会員数が減少したのではなく一会員あたりの単価が下がったのが原因だそうです。3つの理由を提示しています。

・要因① 人手不足の深刻化等を背景とした減額
・要因② 送客力価値の低下による減額
・要因③ 価値が経営者に伝わっていないことによる減額

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(2018年3月期 決算説明会資料11ページより抜粋)

 

今後どうするか

まず「要因① 人手不足の深刻化等を背景とした減額」についてです。飲食店の生産性向上のために様々な業務システムを導入しローコストオペレーションを推進するそうです。なんとそこまで足を突っ込んでいたとは知りませんでした。コンサルの領域です。確かに店長らしき人と、コンサルっぽい人が話し込んでいる場面を見たことがあります。

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(2018年3月期 決算説明会資料12ページより抜粋)

 

次に「要因② 送客力価値の低下による減額」です。こちらはぐるなびを使わなくても、いろいろなメディアが集客できるようになり、ぐるなび見なくてもいい店探せるよね、という認識への対策となります。最近はInstergramで写真を検索し、楽しそうな人がいたら行ってみる、みたいなSNS経由の集客もあるそうですね。この対策として、外部のサービスと積極的に連携していくそうです。

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(2018年3月期 決算説明会資料13ページより抜粋)

 

最後に「要因③ 価値が経営者に伝わっていないことによる減額」です。こちらは少し人間的な対策になっています。伝わってないことを1,000人が再認識(マインドリセット)。体制変更。経営者とよく話すこと。提案活動を強めること。BIツールを持っていくこととなります。

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(2018年3月期 決算説明会資料14ページより抜粋)

 

スケジュール

この3つの重点施策を、今年度に実施するというスケジュールが掲載されています。つまり原価構造は縮小せず最大活用し、ビジネス価値を最大化すれば、V字回復するというシナリオとなっています。

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(2018年3月期 決算説明会資料17ページより抜粋)

 

以下のようにスケジュールを予定通りこなすことにより、V字回復を目論んでいます。第二四半期にはボトムアウトし成長に向かうとあります。

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(2018年3月期 決算説明会資料19ページより抜粋)

 

考察

右肩上がりの経営を続けてきてこの勢いが止まったときこそ、経営者がこれをどう対処するか手腕が大きく問われる場面だと思います。ぐるなびに限ったことではなく、他のサービスでも同じような場面に遭遇した際、何もせずに窮地に陥っているケースもあります。俊敏に原価を減らして安定経営を目指すというのも立派な方法だと思います。しかし、今回ぐるなびは、自身のビジネス価値を「信じて」短期間にマネタイズしV字回復させる方法を取りました。これを資料化したのが今回の決算説明会資料だと思います。

まさに、1,000人のマインドリセットが必要だという叫びがパッケージされているこの対策において、現場ではかなりの危機感を持ってスタッフが四苦八苦しているのではないかと思います。しかも、2Qをボトムアウトと位置付けている以上、結果をすぐに出さなければいけないということになります。各管理職はかなり数字のプレッシャーと共に、現場の末端社員まで意識改革を達成せねばならず結構な責任を背負わされていると思います。

今現在において、飲食店の人手不足を考えると加盟店が右肩上がりで増えることは考えにくいので、どうしても単価の上昇、価値の最大化をテーマにしなければいけないのは明らかです。ここで「新規事業」を出さなかったのは潔いと思います。大体の失敗ケースはありもしない新規事業を計画に組み入れることです。自身のコアビジネスの強みを信じ周辺ビジネスでマネタイズできるするという強い意志を持つことは、まず第一手だと思います。じゃないと、既存事業をやっている大多数のスタッフが自分の仕事に疑問を持ってしまいます。

今回のこの資料は、既存事業の成長が止まったときに取りうる一つの方策として、よくできた資料だと思います。あとは「実行できるかどうか」「大きな外部要因の変化がないかどうか(人手不足がもっと加速するなど)」「本当に既存事業に価値があるのか」というところが問題となってこようと思います。

今後の進捗を、自身の勉強のために研究していきたいと思います。