orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

「機械室で働いて心と体がぶっ壊れた一年後の話」から連想したデータセンターのサーバールーム環境の話

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データセンターのサーバールームの話

こちらの著者には、ゆっくりお休み頂き心も体も回復していただきたいと思います。

anond.hatelabo.jp

 

機械室というワードから、データセンターのサーバールームを連想しました。

最近はクラウド専任になって、めっきりデータセンターには行かなくなりましたが、数年は毎日のように通っていました。上記の機械室の状況には到底及びません(エアコンがない、照明がないなど)が、かなりの非人間的スペースだったのでまとめておきます。今もたくさんの人がサーバールームで仕事しているはずで、その方々たちのおかげでクラウドなりホスティングなりのサービスが維持されています。IT業界でも、アプリケーション開発者はデータセンターに入ることも少ないと思いますので紹介したいと思います。

 

ファンの音がうるさい

データセンターの主な役割は「冷やすこと」です。機械は熱を持ち熱は障害の原因となります。どれだけ冷やせるかが安定運用のポイントです。冷やすためにはほとんどのデータセンターが「空冷」です。風の流れで熱を追い出します。ごく一部のセンターでは水冷もありますが極々一部です。サーバー機器にもファンが取り付けられていてクライアントPCとは比にならない音を出します。うるさくても冷えればいいのです。サーバールームに入れるので騒音より冷えることを優先します。なので、サーバー機器をオフィスでセットアップすると、うるさいと苦情が出ます。そんな機械が数千台ある部屋ですから、ゴーーーーーーっという音がうるさいです。隣に人がいても会話すらままならない音です。長時間いると耳がきついです。

 

乾燥していて空気が悪い

基本的に水は厳禁です。機械の故障の原因となります。したがって常に乾燥しています。お肌に悪いです。しかも冷却のために風の流れが常にあって見えないホコリも舞っています。乾燥した風を肌が受け続けるとダメージになります。なので薄着では行かないほうが良いです。

 

寒い

機械にとってみれば、だいたい20度くらいがベストです。乾燥した部屋で風が常時吹いていて、20度の冷房がかかっていてうるさいのですから、どんなに夏場であっても上着を持っていくのがポイントです。人によっては冬物のコートを持ち込む人もいました。

 

暗い

暗いと言っても作業はしますので、蛍光灯が天井にあり、十分な明るさはあります。ただし、窓は一切ありません。窓のあるデータセンターも一部あると思いますが、機密性の高いデータセンターには窓がないのが基本です。窓がない場所に長時間いると、人間の体内時間が狂ってきます。

一度障害に巻き込まれたときは、朝の9時に入って、翌朝7時までほぼぶっ通しでサーバールームにいたことがありました。データセンターを出たとき、恐ろしい疲れに襲われましたが、あれは時間間隔がマヒしたからだなと今更ながら思います。

 

外の情報と切り離される

スマホの発する電波が機械に悪影響を与えるという説や、機密情報の持ち出し厳禁の観点から、スマホは持っていけません。サーバー機器がインターネットとつながっていればそこから外部とやり取りはできるのですが、そういう設計になっていないシステムも多いですし、linuxだとコマンドオンリーなので、外と連絡が取れないと思って差し支えないと思います。

データセンターによっては内線電話を貸し出したりするところもあったりして、このあたりの対応はまちまちです。

 

独特のにおい

私は嫌いじゃないですが、サーバールームの独特のにおいというものがあります。最先端の世界に触れるような気になっていました。たまにデータセンターに行くと、故郷に帰ってきたような気持になるのは、私がもうオンプレミスからクラウドに移って時間が流れたからかもしれません。

 

イスがない

意外と困るのが、広いサーバールームで椅子があまりないことです。何個かデータセンター側の気配りで用意されている場合もありますが、人が多い場合は不足します。持ち込みも基本しないので、立ちっぱなしで作業する場合も多いです。

 

精神状態

ゴーっと言う音に囲まれて、寒くて、人との会話もままならず、暗くて外部の社会と断絶され、立ちっぱなしで長い時間いると、「ああオレなにやってんのかなあ」とテンションが下がります。自分の立ち上げたサービスで作業するのならいいのですが、ビジネスと切り離され、SESなどで指示されて入り作業の終わりが見えないまま常駐していると心がやられやすいのかもしれないと思います。そういえば私が過去、一度だけの転職活動しようと思ったきっかけも、データセンターの中でした。

 

まとめ

今回は、データセンターのサーバールームがかなり非人間的な空間であることをまとめました。しかも、保守を担当すると、元旦の夜10時とかに平気でアラートが出て向かわないといけない場面もあります。休みの日にデータセンターに行くとすごく生きていくテンションが下がりますが、プロ意識で何とかしている人がほとんどだと思います。

クラウドの素晴らしいところはそういった心配をアウトソースできることなのですが、結局はアウトソースされた側には保守を頑張っている人たちがいるわけで、世の中の質量保存の法則というものを考えてしまいます。インターネット通販が盛んになれば、流通の人が疲弊したり、そういうことです。

あまり一般の人々は知らない場所だと思いますので、記事にしました。なお、データセンターにもピンキリありますので、上記が当てはまらない場合もあります。あしからず。