orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

なぜ、田舎から文化が無くなっていくのか

 

私は九州の片隅の漁村で育ち、県庁所在地で寮生活をして、そこから関東に上京して今がある。だから、田舎から地方中枢都市、そして東京に至るまで全てを見て来たので、田舎と都会をきちんと語ることができる。

そして、田舎が何もない、というのは結構都会の人には伝わりにくい。

 

日本は戦後から、国鉄の民営化までは日本全体を一つのネットワークと設定し、津々浦々を結んで一つの国の形であろうというイメージが非常に強かった。

なぜ国鉄の民営化が出てくるかと言えば、国鉄の大赤字は全国に均一ネットワークを作ろうとした政治の失敗の結果だからだ。

象徴的な文章がある。田中角栄『日本列島改造論』の一節である。

 

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「もう一つ、ふれておかなければならないのは日本国有鉄道の再建と赤字線の撤去問題である。国鉄の累積赤字は47年3月末で8100億円に達し、採算悪化の一因である地方の赤字線を撤去せよという議論がますます強まっている。

しかし、単位会計でみて国鉄が赤字であったとしても、国鉄は採算と別に大きな使命をもっている。明治4年にわずか9万人にすぎなかった北海道の人口が現在、520万人と60倍近くにふえたのは、鉄道のおかげである。すべての鉄道が完全にもうかるならば、民間企業にまかせればよい。私企業と同じ物差しで国鉄の赤字を論じ、再建を語るべきではない。

都市集中を認めてきた時代においては、赤字の地方線を撤去せよという議論は、一応、説得力があった。しかし工業再配置をつうじて全国総合開発を行なう時代の地方鉄道については、新しい角度から改めて評価しなおすべきである。北海道開拓の歴史が示したように鉄道が地域開発に果す先導的な役割はきわめて大きい。赤字線の撤去によって地域の産業が衰え、人口が都市に流出すれば過密、過疎は一段と激しくなり、その鉄道の赤字額をはるかに越える国家的な損失を招く恐れがある。

豪雪地帯における赤字地方線を撤去し、すべてを道路に切り替えた場合、除雪費用は莫大な金額にのぼる。また猛吹雪のなかでは自動車輸送も途絶えることが多い。豪雪地帯の鉄道と道路を比較した場合、国民経済的にどちらの負担が大きいか。私たちはよく考えなくてはならない。しかも農山漁村を走る地方線で生じる赤字は、国鉄の総赤字の約1割にすぎないのである」

 

しかし、この考え方を途中で捨てた。

日本とは、全国均一化を政治が目指していたのに、国鉄の大赤字をきっかけとして、途中で止めたのである。国営が民営化された、ということは象徴的である。

結果、田舎は、ハシゴを外され採算が採れないイコール廃止が進められ、それまでの遺産で生きて行かざるを得なくなった。しかしあからさまに切り離すことも難しいので、地方交付金やふるさと納税などの仕組みで、都会から田舎へお金を還流させる仕組みを整えた。

しかし、お金だけあっても文化は、鉄道のようなインフラをどんどん縮小することによって、衰退する。

これが今の田舎の現状である。

基本的には、日本は全国均一化に対する撤退戦のさなかであり、少子化とはまさにその結果であると思っている。各地域が等しく栄える、と言うハシゴを外したのだから、田舎の人々は都会に集まりますます田舎の過疎化は進捗する。文化は衰退する。最後には誰もいなくなる。都会に集まるコストが少子化につながる。都会に集う田舎者には始めから資産も身よりもないからだ。それは私か。

JRも電力会社やガス会社も通信会社も地域ごとに分けられてから、日本の文化全体を見ると「日本の全国地図」を見ることが少なくなった。日本の子どもたちが、都道府県の位置のおぼえが悪くなったというのは、全国を俯瞰した政策が衰退したことが原因に思う。

また、東京都知事戦は特別なのである。東京を取れば日本のイニシアティブが取れてしまうのだ。

 

私の結論としては「国が日本全体をどうしていくかというグランドデザインを破棄して、都市集中戦略に走っていることを止めない限り、田舎は限りなく縮小し最終的には社会インフラすら維持できず、無くなる」である。

そんな田舎にいたら、きっと息が詰まる。去年あったものが今年無くなる。無くなるというより「空になる」。その様を田舎に住む人は向き合わないといけない。

国の政策を今一度、織田信長や豊臣秀吉が目指した通り「全国統一」を図り、日本の全国地図を書いてネットワークを結びなおすことを試みない限り、統一感を持った日本と言う国はバラバラになり、一部の大都市を除いては無くなる方向に向かうと考える。

 

これは、二日前に、鉄道博物館に行って思ったことである。

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冒頭のポスターはこの中に飾ってあったものだ。

今はない国鉄が何かメッセージを私に伝えてきているように見えた。