若い頃に結婚して、あまり貯金をしてこなかった。お金があれば住居やらモノやらに変えてきた。私の時代はデフレまっただ中で、預貯金を預けても金利が全然なかったし、株を買っても上がらなかった。それならということで積極的にモノにした。
気づいてみたら、今やモノの物価は値上がりしていて、今持っているモノはきっと過去手に入れたときよりも高い価格になっている。ということは、お金で持っているよりも、モノにしておいてたほうが得だったということになる。
現金で貯めている方が安心するというのはわかるが、私はかねてから信用していない。それより価値のあるモノであれば、そのモノが失われることはない。お金なんて、コロナ禍のときに国民に10万円配られたときにも思ったが、人の意思で任意に増やせるものであるから、お金の価値なんてこの先ずっと保たれるかはわからない。それより、モノにしていれば使えるし、使ったぶんの価値もある。不動産のように将来値上がりしていくものもある。今まで家賃のように支払った住宅ローンが、じつは貯蓄的な意味もあって、中古で売りに出すと丸々帰ってきてお釣りまであるよと言う事まで事実となった。
だから、予定があるお金は置いておくとしても、それ以外のお金はできるだけ今自分の生活が潤うために積極的にモノにしたいし、むしろ人生を豊かになるためのサービスに使うべきだと思っている。別に棺にお金を入れたいわけでもないので、できるだけ価値を享受してお金を体験に変えていきたい。そうすれば人生が豊かになり、また新しい収入がやってくる。
株など、他者に投資する手段もあるが、私は自分への投資を優先したい。自分が働いたらお金を稼ぐ。それなら、稼ぐ自分に投資すると、もっと稼ぐんじゃないかなという予感もある。もっと素晴らしい体験をして人格的に成長すれば、それなりの仕事も舞い込んでくるんじゃないか、なんて思いもある。
子供への教育、というのも結局は投資だ。子供にお金をかけただけ、子供がお金を稼ぐようになるという構造を考えたとき、子供に投資できるのは誰か。親しかないのだ。見ず知らずの他人に投資するより、自分の子供に投資するほうがパフォーマンスがいいのは、自分しか投資できないからだ。もしうまく言ったら、全部リターンは自分に返ってくる。いや、子供に食べさせてもらうつもりはないけれど、子供が自活でき、自分で稼いで財産を得るようになってくれれば、こんな喜びはない。
20代で結婚し、そして貯金もほとんどせずに、モノにしたり教育にお金を使ったりする戦略、20年ほど経って総括すると、運良くも成功したと思う。早い結婚、早い子育て期間というのもあり、これからは稼ぐ一方で、収入も上がっているのでここから貯金すればいい。2000万貯めなきゃと言われているが、使う予定もないので貯まるんじゃないだろうか。今はまだスタート地点だけど。働くのだって、定年もどんどん先に伸びそうである。
ここから、できるだけ自己投資、遊びにお金を使いつつ、必要な資金を貯めていくのだが、それこそ子育て一段落までは、今の時代でもお金よりモノ重視でよいのではないかと思う。お金なんてジャブジャブ発行しそうな地球なので、絶対に裏切らないモノや体験に変えておくことを私としては勧めておきたい。今からの時代がどうなるかはわからないが、私は得できたよ、ということだ。