orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

全ての依頼にYESと言う勇者スタイルの危うさ

 

こうしてもらえませんか?、と誰かから依頼を頂いたときに、できますできますと全部YESで返していれば成り上がれると思った時代も私にはありました。

あの人にお願いすれば何でも叶えてくれる、それを繰り返すことで信頼を得ていくというプロセスは一見正しいです。しかし、この思考には大きな罠があります。

依頼には報酬があります。そしてかかる時間や手間、達成するために必要な経費があります。国を脅かすドラゴンを倒してほしい、という王様の依頼に対し、勇者は自身のレベル上げが必要で、装備一式を揃えることも必要で、そして移動時間や住民への情報収集も必要です。

それを、王様、依頼の後120ギルしか頂けず、城のスタッフも仲間としてアサインされず、あとは持ち出しでやれって、ひどい依頼だと思いますけどね。なんで勇者は王様の依頼を受けてしまったのでしょうか。よくよく考えたら、依頼を受けないと外に出れなかった気もするので、あれは依頼というより命令だったのかもしれませんが。

前段はドラゴンクエスト1の話でしたけど、現実の世界でも依頼を請けるときは、自分が差し出す提供価値と、相手の報酬を見定めた方がいいですよ。さんざんがんばった挙句、「そなたは真の勇者だ」と呼ばれるも「で?」となることは、世の中でも結構多いです。やりがい搾取か、と。

全ての依頼は取引です。その依頼について「成果報酬」を見る人は多いです。わかりやすいですからね。ただ、細かく見ていくとそれだけで判断するとかえって損をするときがあります。気にするべきポイントを挙げてみます。

 

・その依頼を実施することで、知名度が上がりたくさんの依頼を頂けるかもしれない。広告・宣伝効果が見込めるならば、報酬が低くてもやるべきかもしれない。

・目に見える利益は少額だが、その依頼を達成した経験を得ることで知識が得られ、他の人に売り込めるかもしれない。また、自信が得られる。

・依頼主の資金力や、社会的責任が大きいので、一度小さな依頼を受けて満足頂けると、次の仕事で大きく回収できる見込みがある。

・その依頼主と一緒にビジネスをやったことそのものが、価値となる場合。あの依頼主に信頼されているなら、信頼されるべき人だとみなされることは多い。

 

目に見える報酬以外にも上記のような思惑をはらむので、それを逆手にとる依頼主が、法外に安い値段をふっかけてくる場合もあるので、取引は慎重を期すべきです。

だから、脊髄反射的にYESというのはダメです。

逆に、何でもかんでもNOというスタイルも、これはせっかくのチャンスをフイにします。

為すべきは「こういう条件であればYESだよ」と依頼主に率直に伝えるスタイルです。それが、今度は法外に自身に有利な内容であれば、依頼主が難色を示します。この調整こそが、日々を生きる上で必要になる判断力だと私は思います。

というのも、いざ契約が成立すると、他のことができなくなるからです。もっと有利な取引が舞い込むかも知れないのに、勇者よろしく安請け合いしてしまったばっかりに、時間を浪費しチャンスを逃し、むしろ成長できないという状況に陥ってしまうのです。

私もありますよ。あの案件は会社の指示だったので拒否もできなかったのですが、その案件を受け入れたばっかりに部下の時間が全部その案件に取られ、全部私一人でそれ以外の業務をやるはめに・・。その案件はもうお断りしましたけどね。無駄な時間となってしまいました。

勇者スタイルの怖さは伝わったと思いますが、逆に「ケチ」というのも損をしますよね。報酬だけ見てやらないやらないって言っていたら、ずっと依頼は来ず待ちぼうけで、ちっとも待遇は上がらないのですから。

取引は、慎重かつ、大胆、が基本です。