orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

スペシャリストは「教える」べきではない

 

すごく技術を磨いて、知識を蓄えたとして。スペシャリストと呼ばれるような、他人から認められる信頼を集められた立場であるとしたならば。

未経験者を教える、というような立場にいるのはもったいない、と言える。

未経験、ロースキルと言われるゾーンをスペシャリストが指導するのは、時間の浪費である。スペシャリストがわかりきっていることを、未熟者に教えたとして、スペシャリスト本人には何の知的快感もない。

それより、高いレベルの仕事にまい進する方が、どれだけ会社に、社会に貢献するか。

だからこそ、未熟者に対する教育は、アウトソーシングするべきだと思った。

外部の教育会社は、専門だけあって、生産性の高い指導方法を持っているのは間違いない。スペシャリストと言ったって、教えるのは素人なんだから。また、ロースキルの外部研修は、市場が大きいので優秀な教材、指導法、先生が揃っている。そして案外値段も安価だ。餅は餅屋。教えることに特化した組織に、お金を支払ってでも指導をお願いしよう。それで余った時間で、スペシャリストは最先端の仕事ができるようになる。こういう体制が実際に機能すると、スペシャリストの手を借りずとも、未熟者は時間と共に成長する。

そして、未熟者自体も、外部機関に学びに行った方が勉強に集中できる。会社は勉強する場所ではないし、スペシャリストにこんな質問していいのかな、って思うからね、どうしても。

 

そう言えば今から1年前は全く違った意見を持っていたな。人材不足で中級者以上が見当たらないから、ポテンシャルのある若い人材を採用して、よし、自分で育ててみるか、なんて思っていた。

でも教育。自分でやってみたら、時間が取られる割に、なかなか思い通り育たない。教えることが未熟者に取って高度過ぎるのだと思う。若手がついてこれない。スペシャリストの悩み、感情が若手にも伝染して、なんだか気まずい状態になったことがある。

むしろ、仕事のやり方を含め、若手は若手たちだけで集まって自治的に物事を決めさせる。その中に教育システムも組み入れ、本人たちの志向を組み入れて外部に勉強しに行かせる、ってやった方が何倍も効果的なんだよね、結論としては。

業務はスペシャリストに助けてもらいながらも、自分たちでチームを運営し、自分たちで成長していくんだ、って図式で若手を動かす方が、結果、彼らも成長したんだ。

若手って言っても、大学生から見たら大人だし、彼らも社会で、いち早く主体的に活躍したいと思っている。でも、上の世代がしゃしゃり出てああせいこうせいってやってたら、彼らも委縮してしまう。意見も言えず、言われた通りにしか動けず、そして成長しない。

ああわかった、スペシャリストは、できるだけ黒子に徹するのがむしろ、よっぽどいいんだな、と。

 

若手に直接教えるのを止めた途端に、若手が成長し出すのは皮肉としか言いようがない。で、それで、外部機関にアウトソーシングするならお金が無くなるのかと言うと、今のところ真逆のことが起こっている。

私に仕事がたくさん増えて教育どころではなくなっている。

組織を整えると途端に仕事が増えるのは、何か世の中がうまくできている証拠なのかもしれない。

とりあえず・・目の前の仕事がんばるか、若手は自律的に成長しているようだし。