orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

ITの面倒を見切れず長い間放置して途方に暮れている会社が考えるべきこと

 

長い間業界にいないと体感できない話。例えば、業務用のWindows Serverで、とてもヒットしたのがWindows NT 4.0まで遡る。Windows 95/98/meなどのコンシューマー系OSと比べてとても堅牢だった。素晴らしい作品だったので、Windows 2000からはコンシューマー系もNTのアーキテクチャーに一本化された。

また、Wikipediaを見るとわかるが、Windows 10だって11だって、Windows Server 2016だって2019だって2022だって、全部「Windows NT 10.0」というのは興味深くないか。Windows 10は最後のWindowsとマイクロソフトが言ったか言ってないか・・

 

「Windows 10は最後のWindows」という話は何だったのか - CIOニュース:CIO Magazine

 実は、「Windows 10は最後のバージョンのWindows」という発言は、Microsoftの経営陣や広報担当者から出たものではない。MicrosoftのデベロッパーエバンジェリストだったJerry Nixon氏が、2015年5月の技術者向けイベント「Microsoft Ignite 2015」のセッションの中で、何気なく発した一言だ。

 

ま、言ってたんだけど、11が出てなーんそれ、となったところまでは有名。

ただ、Windows NT 10.0の話を聴くと合点がいくのではないか。実は、Windows 10が出た後にリリースされたWindowsはすべて「Windows NT 10.0」なのである。実は公約を守っている、気がする。

 

で、これだけ長い歴史を持つPCアーキテクチャーでのサーバー利用はもはやどの会社でも必需品となっているのだが、会社によって面白い特徴がある。

「更新されていない」システムが多数存在するということだ。

そして、古すぎる。古すぎて更新できない。アップグレードできない。

作り直すとして誰が作り直せる?。今動いているものを導入した担当者もベンダーも今や存在しない。でも動いている。動いていれば仕事はできる。

業務にDXもデジタルツールによる効率化も導入しておらず、でも仕事は回る。会社として成立する利益はあるから給料は配れる。でも、依然としてシステムは古いまま。

こうなっている会社、案外日本全国を見渡せばたくさんあるんじゃないかという気がしている。

 

なぜこうなるかというと、OSやミドルウェアのアップグレードが、動作している社内情報システムを良くしないからだ。ハードウェアを変えます。OSを変えます。ミドルウェアを変えます。それに合わせてアプリケーションを改変します。その結果これだけのお金がかかります。

で、何が変わるの?。

何も変わらなかったりする。それならば、今動いているんだしお金支払うの無駄だよね、何を生むの?。

という思考につながるわけである。ベンダーの都合でなんで、ユーザーはメリットの一つもないのに、毎日安定して動くのにお金を支払わないといけないの?という理屈である。

サポート期間が切れても同様で、そして、案外元気に動いてしまうというオチだ。それが、1年2年と経ち、だんだんと情報システム担当の方が気が滅入ってくる。だって、常識から考えたらおかしい。ソフトウェアが更新されないセキュリティーリスク。ハードウェアが壊れても保守がなく交換できない。作り直しはできるのかわからない。古いOSを新しいハードウェアにインストールできるのか。そもそも古いOSを理解できる人は社会からどんどんいなくなる。

でも、予算は下りない。

 

そう考えると、もう作り直すのではなく、ソフトウェアはSaaS型で利用し、SaaSベンダーにハードウェアやソフトウェアのライフサイクルの管理を委託し、ユーザーはいつまでも使い続けられるというのは、こういう企業にとっていいモデルのように思う。

もし目の前に、ダメな社内情報システムがあって、どうにかして入れ替えたい、と思うなら、そこで新しいハードウェアでオンプレでソフトウェアで、ではなく、SaaS利用を煮詰めたらいい。そうすれば、おそらく要件がハマってしまえば、業績が保たれる限りは永遠に使ってくれると思う。

もしやる気のある人がオンプレに刷新できたところで、その人がいなくなればまた、ゾンビみたいな古システムが出来上がるだけである。

社内情報システムをきちんと面倒見切れないことの現実がエビデンスになっている会社は、まさにSaaS向きだと思う。