最近、できる人が部下に付いたので、いちいち感心している。感心したことをまとめておこうと思う。
作業指示は、たいていA->B->Cのように、順番に進む。分岐するような指示をするとめんどいので、だいたい筋道を付けてから、指示をする。
指示をして、作業に入ったところで部下もいろいろ考えて、最終的に私に質問してくることは普通のことだと思う。今回のできる部下、彼もちゃんと質問してきた。
まず、質問してこない、というところはクリアする。長考して動かなかったり、突如違うことを始めたりなんてことはない。Twitterでマネージャーがグチるのはこういったタイプの人だが、まずはそんなことは起こり得なかった。この点はむしろ「できない人」と「普通の人」の差別ポイントであると思う。
さて、その質問内容である。
大抵の場合、A->Bについて、このBの部分の操作がわからない。やり方がわからない、というレベルの質問が来ると思っている。わかりやすい指示を心がけているものの、なぜAであり、なぜ次がBなのかみたいな話をしだすと長くなるから、まずはプロセス、手の動かし方を指示するのが主だ。
今回の彼も、そういう類の質問をしてくると思っていた。しかし、違ったのだ。
「A->B->Cという作業をすることは、この先どういうことをするんですか?、想像ではこういう動きを期待していると思ったのですが」
と言う、随分核心を付く質問をされてしまった。しかもまだ着任数日も立っていないのに。
プロセスより目的を把握しようとし、そしてその仕組みを理解して指示をこなしてくれているのだなと言うことが、彼の質問内容によって私も理解することができた。
きっと、今回の仕事全体のことを把握するための素材として、今回の指示を彼は利用しようとしたと思うし、慣れない私との会話であっても、できるだけ有意義にしようと務めてくれている。
ああ、そんな人っているんだな、というのが率直な感想である。
今回の話を踏まえると、上司やリーダーへの質問の内容自体で、個人の評価は積み上げられるということになる。質問自体がよく練り上げられていて、次の次を読むような戦略的な話題であり、かつ仕事の生産性を向上させるような内容かどうか。
なんと、高度なことか。
そう、高度なことなので、他人には要求していなかった。けど、今回の新しい部下の彼はこれを平気でやってきたという話である。
正直、何の知識も経験もなく、いきなりできることではないので簡単には真似ができないと思う。ただ「できる人」なんてラベリングをしたくなった今回、こういったことができるか否かで評価してるんだなということを体感できたのは大きい。
他人と働く時、どうしてもプログラミング的思考で、こういう仕組みで動いてください、というやり方のマネジメントをすることが多かった。
でも相手が「できる人」なら、彼に一通りのストーリーを理解して頂ければ、あとは彼が「A->B->C」の手順すら自ら作り対応するようになるだろう。そうなると、必要なのはプログラムではない。理解を進めるための情報提供と交通整理だけで、勝手に学んでくれる。プログラミングは必要ない。
「できる人」を身の回りにたくさん置けば、それこそ、ビジョンやミッションだけで事業はどんどん大きくなっていくということになる。だからこそ、人材は、人であればいいということはなく、それなりの経験と見識、そして理解力や先読み能力を持った人に限られるから、社会が年中人材不足と言っているのはそういうことなんだな、と思った次第である。