最近思ったんだけど、「上司」という生き物って。
『オレはそんなこと、知らないぞ』
これが、大抵の地雷になる。
自分自身が何かやりたいと思ったときに即決して実施する。これがとても正しく、思慮にあふれた判断だったとする。成功もしたとする。
成功するならいじゃないか、と思うかもしれないがここに地雷が落ちていた。その実施について上司に一言言っていなかった、それだけだ。
たいてい、上司は「わかった」としか言わない。「わかった」上司なので、言わなくてもいいかと思って言わないと、何回かに1度、稀に地雷が爆発するのである。
だからといって、事前に報告しても、当人が何か判断するわけでもない。
判断しないんだったら知らなくてもいいでしょ、と。でもそういうわけじゃない。
上司は判断したいんじゃないんだな。上司は、知りたいだけだ。
何が起こるかを事前に知っておきたい、そうなんだろう。
この仕組み、偉くなる前、新人の時から理解しておいた方がいい。
特に上に行けば行くほど、こういう「知りたいだけ」上司は増える。
彼らは、情報は知りたがるが、細かい部分まで判断していると手が回らなくなる。いや、部下の自由にやってくれ、そうやって普段から吹聴する。部下の方が仕事を知っているから。そんな態度を取るのだけど、だからと言って知らせないと、たまにへそを曲げる。
上司が判断するときは、よほど大事な時だ。その大事な判断をするための情報の鮮度を保ちたいと思っているに違いない。細かい判断をたくさんしているとマイクロマネジメントになってしまうので、それはしたくない。いずれ来るだろう大事な判断のときに、古い情報から判断したくない。
この結果、「自由にやれ」と「知らせないとは何事だ」が両立してしまうのだ。
さて、自由にやれと言われた割に、知らせないと怒る上司。
しかも、何でもかんでも知らせていると、そんなに情報は要らないと言いだす。
よくある話じゃないだろうか。
どうすればいいのか。何を知らせればいいのか。
地道で堅実な手段として、優先度や緊急度の高いものを優先的に知らせるのがよい。一つの会議体で、多くて5つくらいだろう。
振り切って大事なことはリアルタイムに報告を入れるだろうが、それ以外の情報については思慮が必要だ。あんまり些細な内容をたくさんインプットしようとしても聞いてくれない。現場で判断しろと言われるのがオチだ。
そして、その上司が知りたいことを伝えるための定期的な会議体。私はあんまり好きじゃなかったが、必要だと思う。週に1度くらい。「リアルタイムに報告を入れるほどじゃないが、重要・緊急だと思う情報」をまとめて伝える場。ここで伝えたら、後からぐちぐち言わないでね、と釘を刺せる場所。これを確実に用意すること。
つまり上司は、たくさん判断をしたいんじゃなくて、重要な判断をするために知りたいということだ。自由にやるためにも、必要な情報を適切に伝える場を作り、知らせておく環境をぜひ、構築した方がいい。無駄な会議を減らせ的なことを言う上司にも、こういう会議を省略しないように進めた方がいい。
油断すると、
『オレはそんなこと、知らないぞ』
と、ヘソを曲げるから、要注意なのである。