orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

相談する人の特徴

 

相談したいことがあって。

このセンテンスを去年何回もどなたかから頂くことがあった。ご相談いただくというのは光栄なことだ。どこの誰にでも相談する人はいない。

相談を受けるために、いろいろな情報についてご質問する。悩みのポイントはたいてい明確である。相談者は、相談したいことを事前にまとめていて、相談内容を教えてくれる。

人に相談するまでに、相談者はいろいろと頭の中で自分自身に問いかける。こちらの方がいいのか、それともあちらか。あいまいな状態ではそもそも他人に相談できないので、目的や選択肢を大まかには整理してある。

そうやって、相談者の話を私は聴くのである。ふむふむ、なるほど。こういうことなんですね、とお伺いしたことについて理解しているのか、確認してみる。そう、そうなんです、それでこんなことを思っています、と心情までお話し頂ける。

じゃあ、私のターン?、と思っていろいろと頂いた情報の中で感想を申し上げる。

このときに、いつも思う「相談する人の特徴」が現れる。たいてい、私が思っていることなど、相談者が事前に調べ、考察済みなのである。9割は却下されている気がする。悩みの中心地点にいて煮詰まった相談者にしてみれば、目の前の相談者が10分で考えたことなどきっと、浅いのである。わかる。

そうやって却下された後にもたいてい、相談は続く。いやもっと考えていることがあって、こういうのはどうだろうか、こうは・・。いろいろと相談者は、相談する前に考えていたいろいろな情報を繰り出してくる。

その結果わかることは、相談する人は、きっと私に答えを言ってほしいのではないのだ。きっと私との会話をきっかけに、「相談者自分自身が何を思っているかを知りたい」のではないだろうか。

その証拠に、たいていの相談者が「後は自分で考えてみます」という結論を出していく。やはり決めるのは相談者自身である。所詮私はその場で話を聴いてあれこれ浅い思考を繰り出したに過ぎないので、情報はほとんど相談者側にある。そして、他人に話してもたいていは思った通りの反応しかないため、新しい情報はほとんど降りない。それより、相談者自身が思っている選択肢の優先順位や重要度に多少刺激があるくらいである。

そういえば、私の卒業した大学の学科は心理学科で、カウンセリングを学んだんだけど、そこで学んだことが「受容」「傾聴」「共感」であった。当時の私は、なんてまどろっこしい、ロジカルに分析して結果を出すみたいな、強力な解決法はないのかと思ったものだ。

しかし、こうやって相談を受ける立場になって、何度も繰り返していると、ああ、やっぱりそのポイントにたどり着いてしまうなと思う。そしてきっと相談者も、それを求めて話をしたいんだと思う。受容せず・傾聴せず・共感せず、の相手とは話したくもないだろう。そして私に答えを出してほしいとも思っていない。

 

毎回、相談を受けるたびに思うのである。これで良かったのかな、と。相談者の決定プロセスに少しでも影響を与えられたのかな、微妙だな、と。そしてその後どうなったかを相談者に聴いて見ると、ちゃんと決断をしているが、結構相談そっちのけの決定をしているケースも多い。ま、それでいいのである。悩みの主体は相談者にある。私は思考のお手伝いをしたに過ぎない。大事なのは相談者自身が自分で決断し責任を負っていくことだろう。これからも、そのお手伝いができるくらいの自分でありたいな、と思う。光栄なことだから。