orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

新人研修で本当に教えるべきこと

 

新人研修の教材がたまにネットで話題になるけれど、いつもそれは違うだろうと思っていることがある。

かなりアカデミックな、高度なことを教えるスライドをよく見るのだけど、そんな狭くて深いことをいきなり教えてどうしたいんだろうか、と思う事が多い。

どういう新人を取るかにはよるが、バリバリの情報系でほぼ即戦力と、未経験だけど高学歴でこれから、という人が新人研修で一緒の場所にいることはよくある光景である。

即戦力レベルであれば釈迦に説法。未経験ならちんぷんかんぷん。

 

新人研修で行うべきことというのは、本来、以下のように思う。

・社会人としてのマナー、常識

・会社のルール(社則)

・会社で共通に使っているシステムと、その使い方

・会社における仕事の進め方と、ビジネスモデル

・部署紹介

・それぞれの部署で、学んでおいた方がいい学習内容

で、この最後の単元で、特定の部署の張り切りSEが、かなりの応用寄りの資料を作ってしまう。ところが、これがいくらうまくできていても、新人たちの役に立つことがないという流れとなる。

なぜなら、現場に配属されてからは、基本的に雑務に追われるからだ。はじめの1年は、まず仕事の流れをおぼえるために、現場の下積み仕事を手伝うのが一般的だ。

全体の仕事をおぼえたら、その一部分について責任を与えられ、徐々に高度なことに挑戦していくと言う流れが一般的だろう。

応用部分のアカデミックな内容なんて、ここしばらくは出てこないのであるから、新人研修で数時間使うだけ無駄だと思う。

そんなことより、現場で仕事をするにあたって必要な学習を、網羅的、かつ基礎的に流しておいたほうがいい。

新人は、自分が何を身に付ける必要があるか。全体を見通すような指導を始めに受けた方がいいに決まっている。いきなり森に深く入りこんで木を眺めたところで、どんな場所に自分がいるかさっぱりわからない。まずは、この大きな森にどんな地域があり、道がどうなっていて、そしてどんなチームが制御しているか。入る前に聴く必要がある。

そもそも、社会人における勉強とは、学校のように時間を取って逐一教わりテストで状況確認されるようなものではない。あくまでも自習するのが基本だ。だが、何を勉強したら効果的なのかは会社によって違うため、新人研修で指導する、という話なのである。

したがって、技術コアの部分をやるのは、新人研修では決してない。

だから、たまに外に出てくる企業の新人研修資料は、「ほとんど人集めのための広告」として理解している。この会社に入れば技術がつけられそう、という期待感を外部に醸し出すためのツールにしか過ぎないのではないか。

本当に必要な新人研修であれば、社外秘であってしかるべきだ。それこそ、会社のバリューを再現するために必要な知識項目なのであるから、おいそれと社外に出せない。

仮にアカデミックな、技術者が興味をそそるようなものであるとしたら、そんなことを新人研修でやっている会社ってどうなんだろうと、私は逆に懐疑的に思う。お金が余っていて、新人に何かわかったような気にさせることを、コストをかけてやりたいのなら勝手にすればいいと思うが、ああそういう会社なのね、と斜に構えてしまう。それは私だけなのだろうか。

実際なところ、新人研修資料を外部委託して作成している会社もありそうで、なんとも世間は化かし合いだなと思う次第である。

 

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《狐も狸も人を化かすといわれるところから》悪賢い者どうしが互いにだまし合うことのたとえ。

 

2022年は、タヌキやキツネがどんどん社会で暴露される年になったのもあり、まあわかってたけど、実際そうだよな、と言うことばかりだった気がする。新人研修ですら、そういう目で見てしまうのである。