orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

無限パッチ地獄、巨大レガシーシステム日本

 

現在、定年は60歳に定義されているが、寿命は80歳や90歳くらいに設定されている。設計的には20~30年くらいは定年後、働かなくても生きていけるという前提を切られているはずだけど、その基礎となる退職金や年金だけでは到底無理だというのは誰しも知っているところだ。

だから60歳以降も働かないと生きていけない、というのがもっぱらの定説で、再雇用だの再就職だの、シニア活用だのいろいろパッチ適用でしのいでいるのがこの世の中だ。

過去は終身雇用で、定年までに貯蓄するハードルは低かったが、最近は実力社会の様相が強く、誰しも貯蓄できる前提は大きく崩れた。貯蓄でしのぐというのは、限られた人に与えられる特権であり、多数の人が貯蓄もできない。生活費も教育費も現役世代の大きな負担となっている。

つまり、まずは基本的な設計がおかしいのに、それに対していろいろなアドオンをインストールして、なんとか社会全体が異常終了しないようになっている。

しかし、ここ最近は「結婚しない」「子供を産まない」自体も視野に入れるようになっているので、いよいよ異常終了一歩手前となっているのも見逃せない。だから今度は、「結婚しやすい」「子供を産みやすい」というパッチを作るらしい。

ただ、今生きている人間たちも、どうせ自分だけが生き残れればいいので、設計がおかしくても、その場しのぎの仕組みでハリボテの社会であっても気に留めない。100年後に日本が滅亡したとしても、***全部の日本人にとって***関係がない、というのは特筆すべきである。

この期に及んで政府は防衛費を増額し、他国との戦争に備えようとしているが、この設計ミスで滅びゆく国を誰が欲しいのだろうか。ヘルメットにお金をかけるが、守る中身が朽ちようとしているのである。中長期的に見れば、この国は時間と共にしぼんでいくことが確定している。今、ピカピカの装備を手に入れても、30年後、50年後にはそれを維持する「人」がいなくなっているのに。そして、おそらく設備を更新するお金もないだろう。どうせ、今防衛費を増やすのにも、借金をするか、増税するしかないと言っているぐらいなんだから。

日本がこうなるということは30年くらい前から言われていたけど、残念ながら設計を大きく変えることは日本人自体が拒否した。社会の大枠は何も変わっていない。それは、日本が老人の国で、彼らのほとんどは少なくとも30年後にはこの世にいないので、変わってもらっては困るからである。その後日本がどうなったって知ったことではないのはそりゃそうだろう。それを、選挙で結論を決めるものだから、いくらいびつな世の中だろうが、変わらないものは変わらない。設計そのものに手を入れて変更し、根幹から老人が手に入れたものが覆っていくことだけは許せないということだ。

今後も「50万円に出産一時金を増額」とやりつつ「防衛費のために増税」しかし「国債は財源にせず」「所得税以外を増税」みたいな、パッチのためのパッチのためのパッチ、みたいなことを実施し、他国が攻める魅力をどんどん失くし自滅していく日本と言う国が、一時的に武器を増強して「あらあら大変ですね」みたいな風景を国民は見せられるんだろう。

それはそれで、とてもシニカルな意味で、防衛力強化なのかもしれない。