orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

システム変更依頼、最近止めたほうがいいですよ、という場面が増えた

 

システム運用を顧客から預かる仕事をしていて、いろいろと相談されることがある。基本的な対応としては「喜んで!」なのだが、喜んでばかりはいられないこともある。こういうふうにしたいので提案が欲しい、と相談されたときに、いやそういうふうにしたらいかんのじゃないか、という瞬間がある。そしてそれが増えた。

顧客も自分でその要望を考えたわけじゃなく、いろんなしがらみの中でご要望頂いているわけだし、むげに断るわけにもいかない。あんまりにも杓子定規にできません、なんて言おうものなら、「貴社は技術力がないね。柔軟性がない。できないじゃなく、どうやったらできるかを考えるのが貴社の使命なんじゃないかね。」なんて言われないけれど思われたりするんだろう。それは悲しい。

しかしだ、やはり、額面通りに応えてはいけない要件というのはある。それをやったばかりに後々大変なことになることが目に見えることもある。しかし顧客にはいろいろな原因でそれが見えていない。ということは、顧客にわかるように、顧客が言っていることがとても危険なんだよ、ということを理解頂かないといけない。

「技術的にはできます」と言う言葉はそういうときに、技術者が発しやすい言葉なんだろうと思うけれど、これでは伝わらない。私のポリシーとしては、ちゃんと「止めたほうがいいです」と冒頭に言うことにしている。それで誤解されても構わない。長い目で見れば顧客も私もWIN-WINになれる。

まずは、状況を理解頂いたうえでそれで話は終わりにせず、目的をよく伺う。ほかに方法はないのだろうか。目的ができて、方法が生まれ、その方法があさっての方向なのでこんなことになる。そもそもなぜ、これをやらなければいけないんですか。何が満たせるといいんですか。そこからが本番になることが多い。実際のところ困っているはずで、困っていることというのは仕事のタネみたいなもの。この議論に素早く移行することがポイントとなる。目的さえつかめれば対案が出せる。

ただ、なぜ、最近無茶な要件が増えているのか。なんとなく、裏に人手不足が存在しているような気がする。私がつながっている顧客はみんな一人の担当者に調整が集中している。私の職場も、どうすれば組織化できるか悩む一方で、人手不足に悩む。顧客も私も人手不足がベースにあり、しかもシステムは日々老朽化するし、デジタル案件も増えるしで、案外、詰み始めている気もしないでもない。そんな余裕がない状態が、無茶な要件を生んでしまうのか。いろんな企業で同じことが起こっている気がしている。

なんとなく個々の日本の企業も経済成長をあきらめてないくせに、今後少子化や超高齢化社会の到来で、一人に対する責任はますます増えていくのは間違いない。こんなことでいいのだろうか。もっと、コンピューターの存在は人の仕事をもっと楽にしてくれるんじゃなかったのか。おかしいな。どんどんシステムは増えていき、そして人はどんどん減って行くのだが、これがこの国のビジョンなんだろうか。

この国の現在進行形を、間近で見ているような気がしてならない。