orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

完全に潮目が変わったIT業界

 

ここしばらく、IT業界をひっくり返すような新技術を見ないな、聴こえてくる話は値上げの話ばっかりだ、と思っていたけど長期化しそうだね。

 

www3.nhk.or.jp

メタが1万1000人以上、アマゾンもおよそ1万人。ツイッターも社員と契約社員あわせておよそ8000人。世界を席けんしてきたアメリカの大手IT企業、GAFAはいま、次々と大規模な人員削減を明らかにしています。いったい何が起きているのでしょうか。ロサンゼルス支局の山田奈々記者に聞きます。

 

www.sbbit.jp

米国のIT業界でリストラの嵐が吹き荒れている。各社が大規模な人員整理に踏み切ったのは、米国で景気悪化懸念が台頭したことだが、それだけが原因ではない。過去20年、ネット業界は社会のIT化と歩調を合わせ、破竹の勢いで業容を拡大してきた。ここに来て、一連の進化に陰りが見えてきたことも各社の判断に大きく影響している。

 

二つの記事を並べたが、言っていることは同じである。牽引してきたアメリカITは広告費を収入源としていたが、景気減退とともに広告収入が減少し、そのためにこれまで通り投資できなくなっているということだ。

何せ、日本のIT関連はアメリカIT企業の「下請け」として、彼らが次から次へと繰り出す新技術に乗っかって国内でドヤるのがお仕事であるので、ここから数年は非常に困惑すると思う。クラウドファーストなんて、アメリカ企業が勝手にイノベーションする波に乗るだけの話だった。その潮目が変わったのだから、もうその波はしばらく来ないよ。

言ってみれば「停滞」である。アメリカ企業が投資を止めるのだから、日本は自分で投資しない限り一緒に止まることになる。とは言え今のテクノロジーすら使いこなせているかと言われると怪しいので、ここ数年はいったんこれまでの選択肢を整理する時間になるのだろう。あまりにも日進月歩で変わっていったので落ち着く時間があるのは個人的にはうれしい。

一方で、アメリカ企業が次にやりだすのは、不採算サービスの停止である。儲からないものを続ける余力がない。今はまだ、「ま、止まるのは仕方ないか」と利用者の理解を得られやすいものから止めていっているけれど、そのうち次が来る。え、それ止めるの、困るよ。でもそんなこと聴く耳なんて持たないから、大混乱になるのが見える。

それが、クラウドファーストの怖いところでもある。

新機能に簡単に乗るな、枯れた技術で組み合わせて作り、いざとなったらオンプレに載せ替えられるくらいの覚悟で設計せよ、とは以前に書いたものだが、だんだんとリスクは顕在化しつつある。

将来投資の赤字部分は、儲かっている黒字部門で帳消しにし、節税して会社を大きくするモデルが通用しなくなった。ということは、赤字部分の事業をリストアップし、優先順位をつけ、そしてどんどん止めていく。今はまだ、それが始まったばかりだ。値上げで済んでいる部分はよいが、そのうちそれだけでは済まなくなる。

きっと、きっと日本の各社、当たり前のようにクラウドサービスを使っているのだろうから既存システムの設計棚卸が必要になる。日々のアメリカのビッグITの動向を気にしないといけない。今からはどんどん拡張していく時代じゃない。整理・統合・廃止が2023年たくさん起こるだろう。便利だからといって簡単に採用してはいけない。サステナブル、持続可能性という言葉が人々に重くのしかかり始めている。

今回の記事はまだ予言レベルだけど、きっと現実化する。クラウドファーストにはそんな意味もあったとは、と途方にくれる日本企業もあるだろう。この激変に巻き込まれないように、特にこれからは技術の選択には日々気をつけていかなければいけない。