orangeitems’s diary

クラウド専任の40代インフラエンジニアが書くブログ。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。

なめられているIT業務

 

IT業界で仕事をするに当たって、特定の資格は不要である。だからこそ、未経験です、仕事をしながら仕事をおぼえますと言って入社する人々もいる。

私も文系で新卒、という類だったので入口は同じ条件だった。ただ、入社前に告げられた「基本情報処理技術者試験は勉強しておいて」を真に受けて、入社した4月に受験したら40人くらいの同期の中で私を含めて二人しか受からず、なんだよそれ、と思った記憶はある。

ただ、私はそのときに勉強した基本情報処理技術者の前提知識があったから、相当に仕事をしながら、いろんな仕事内容に対して理解を深めることができた。資格試験の範囲そのものが仕事になることはない。しかし、ものの考え方というものがある。IT業界もかなり幅広いが、どんな分野に行っても生きてくるのがこの資格の良いところである。基本、とはよく言ったものだ。

ついこの前までのアメリカにおけるGAFAの快進撃や外資系の羽振りの良さで、IT業界に入れば、何かわからないけれど高収入や安定が得られるという風説がかなり広まっていたと思う。それでこの業界に優秀な人も入ってきたので何も悪いことはないのだが、しかし、そんなに甘い話はないと思う。仮に、なんとなく儲かっていたというだけで雇われた大量の人たちが、アメリカ中心にレイオフされている現実がある。

あなたは、会社の役に立っている人なの?、と問われたときに、答えを出せるほどの仕事をできるようになっていないといけない。だが、ちょっとばかり基本情報処理技術者試験を合格したぐらいでは、仕事はできない。そこから業務経験を3年くらいこなして初めて仕事できるレベルに到達すると思うが、その上でお客様からお金をいただくレベルになるまではまた数年かかるという感覚である。

なぜ、「ITはちょろい」となめられてしまうのだろうか。

パソコンを見て、そこに何か入力するだけでお金になる、という雰囲気はあると思う。外見的にはそのとおりで、特に今はクラウド全盛なのでパソコンで全て済んでしまう。人とのコミュニケーションすらその範疇である。肉体的には楽な側面はある。

しかし、今日、午前中にちょっと集中力が必要な高度なトラブルシューティングをやっていて思った。ちょっとしたVRというか、サーバーやネットワーク、ソフトウェアから構成される複雑な世界に、ダイブし入り込む能力が必要だ。何らかの課題がありそれに対して短時間かつ最適な答えを、間違えることなく出さなければいけない仕事がとても多い。あまりにも高度な場合は外部ベンダーに頼ることで解決に持っていく手法もあるが、そればかりやっていると単なる業者調整だけになり、かつ問題の解決に時間がかかる。最悪問い合わせるとしても問い合わせる側の技術力が備わっていれば、サポートの対応も速く済むことが多い。

傍から見たらパソコンをカチカチやっているかもしれないけど、精神はサイバー空間へ旅に行っている。何を言っているかわからない、と思われるかもしれないけれど集中しているときはそんな具合である。

これも、25年近くこの業界にいるからこその境地なのだが、にわかに入った人の仕事を見ると手が止まって見える。それでも、やっていただくことで実力は付いていく。自分だってそうだったはずだ。目の前の仕事に、それが高度なのかそうではないのか、雑用なのかと言った判定はせず、食らいついていく。資格試験にて基礎を身につけた上で、目の前の仕事を大事にこなしていく。それを数年数十年と続けた結果到れる世界はあるのだが、IT業界の仕事は多分そんな話だとは誰も思っていないと思う。もっとキラキラした世界と絶対に思われているはず。

この、IT業界に必要なメンタリティー、きっと業界の外には伝わらない。そして伝わらないまま中に入ってきて、それでも仕事にならない人たちが今、詮索されて外に出されようとしているが、まあ、そうなるよな、なんてちょっと冷ややかに見ている。