orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

今後AIが助けてくれる仕事と、その実現への課題

 

私の仕事はITにおけるインフラ分野、と言っても伝わる人は限られると思う。技術的な仕事ばかりに従事できたらいいのだが、どんな職場でもあると思うが事務的な仕事もたくさんある。

例えば、課題管理ツールを使ってたくさんの課題を顧客ごとに管理し、日々対応している。この仕事自体は技術的な仕事だが、毎月どれだけの対応をしたのか報告書にまとめる必要がある。さすがにそこまではツールではやってくれないので、人力でとりまとめなければいけない。

単に、課題の一覧を引っこ抜くだけなら、ある程度自動化できる。というか自動化した。課題管理ツール側もそういうニーズがあることはわかっているのでデータベースにAPI経由で直接アクセスし、クエリーされたデータを入手することはできる。Excelも最近はAPI経由で取ってきたデーターを整形して表にするぐらいのことは簡単にできる。これは自動化の類である。

問題はこの次だ。課題というのは起票に始まり、問題提起、対応、結果確認、完了報告、確認、といったプロセスを経る。1つのストーリーを形成していて、簡単に終わるものもあれば長期化し記載が長くなるものもある。いろんな課題の形があり、非定形なテキストによって表現されている。

1つ1つの課題ごとに要約しなければいけないが、完全に人間がやらないとどうにもならない。リストアップされた課題に対して、誰がどうして今こうなってるだの、もう解決しただの、1個1個まとめていくことは、なかなか自動化することは難しい。

難しいのではあるが、最近はAI分野が伸びている。テキスト全体があって、これを3行に要約するというニーズはかなり強いので、AIを利用したサービスが既に開発されている。

 

ELYZA DIGEST

文章要約AI タンテキ

 

ELYZA DIGESTの方を試してみたがなかなかすごい品質で出してくる。こういう機能が課題管理ツール自体に実装してあると、たまらなく使うと思う。ツール自体とは別のSaaSに機密情報を教えて要約してもらうというのが少し気持ち悪い。

今後、いろいろな情報をAIに食べさせてアウトプットする、というサービスがどんどん増えていくことが予想される。最近は絵だって書けるようになった。自動音声もだんだん人と聞き分けがつかないところまで伸びた。テキスト分野でも自動翻訳はかなりの精度だし、今回の要約にしたって随分な品質まで来ている。

あとはやはり、セキュリティーだと思う。AIが人間だと仮定すると、いくら仕事ができるからといって、機密保持をしてくれるかまでは制御できない。信頼できない人間がいるのと同じように信頼できないAIが生まれる。信頼していたAIから裏切られる、なんてことも現実になるだろう。たくさん要約を頼んでいたら、原文を収集され、情報がそこから漏洩して不利益を被るということもありえる。

そうならないためには、AIをセキュリティーエリアに閉じ込めて、そこで学習させるしかないんだろう。人間なら契約で縛って、契約違反を罰することで、想定外の行動を抑止することができる。社会人なら誰だって機密情報の1つや2つ知っているだろうけど、ツイッターでつぶやかないのは抑止されているからだ。でもAIではそうはいかないだろう。だから、物理的に閉じ込めないといけない。AIが機密保持違反をしないと約束してくれるならいいが、AIにそれをやる義理がない、多分。

きっとAIの壁はセキュリティーだと思う。人間だってそうなのだから。法律とはその賜物だろう。そして、AIを統制できるようになったら、いよいよ手のひらにAIが本格的にやってきて私の仕事を手伝ってくれるんだろう。それまでは、人間がやるしかないかな、と思う。