一番付加価値の高い仕事をしている時とは考え事をしている時だが、それを「遊んでいる」「非効率」と見なされる恐れあり。
ちょっと納得いかないのがですね、これを言っているのが木村氏が「これまでSIerの人月ビジネスは滅びよ」と言い続けていていつも現場をわかってないと叩かれていたのに、今回は支持があふれていることですね。
全く同じことなんですよ。人月で雇った人が、考え事をしてると仕事しろと言われる。時給計算においてその時間内に多くの活動をさせないと損だという発想。荷物は二倍持て。休むな。使っていない時間は無駄だと申告せよ。そんな世界観です。
会社にいると「その時間何してた?」を管理したい信仰は強くて、会社によっては、働いた時間の中でどのプロジェクトにどれくらいの時間を使ったか入力させます。いつもその状況を冷ややかに見てました。プロジェクトAで5時間使い学んだことを、プロジェクトBに使い10分で終わらせることをしたときに、プロジェクトAは不採算だと平気で言ってたりしてましたから。それおかしいでしょ、と。
ある仕事があってその料金を見積もるときに、何時間かかるかを元に計算するのではなく、それが実現する価値を元に金額を出す。とてもものすごくエンドユーザーに対して価値があることをするのに、二日でできるから二日分の料金を頂きます、みたいな商売はしたらいけないと常々思っています。
技術料、ですから、その技術の価値自体に値段をつけるべきであり、その技術を使う時間で計算するのは変な話なのです。
その技術的価値が生み出す売上に対し、どれだけそのプロジェクト内で使える時間があるかを逆算し、その時間内で品質の高いものを生産するという考え方が良いと思っています。人件費自体はかかりますから、人件費が売上を超えてしまうようでは、商売が成り立ちません。
その時間枠の中に納まるのであれば、そりゃ、考え事をしたりコーヒーを飲んだり、休憩したり運動したりしても、良いんですよね。
ところが「あなたは月単価XX万円で雇っている。もし1時間無駄にしたらYY円の損だ。許せない。ずっと監視してやる。」という発想が存在するから、クライアントに監視ソフトを入れたり、オフィスに置いてずっと監視しないと気が済まない人が生まれてしまうのでしょうね。
いやいや、やっぱり結果に対してお支払いすべきで、プロセスなんて本来はどうでもいいはずなんですが・・。月単価の考え方が、数学的には時間単価、つまりアルバイトのように捉えてしまうとそうなっちゃいますよね。
私はそれが嫌で、人月単価の世界には近づきたくないと思っているのですが、上記の記事についてはうまくそれが表現できているなと思った次第です。
結果出せばいい世界というのは、結果を出せる人には楽園。そうではない人にとってはなかなか生きづらいところなのかもしれません。