orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

未経験で新人で、二十五年前の初めての仕事の話

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昔、PHS(と言ってわかる?)のエミュレーターを作るプログラム構築のお手伝いをしたことがあります。ありますといっても私が新人になって一番はじめのお仕事であり、今をさかのぼること25年前のお話です。

言語はVisual C++、OSはWindows 3.1。そう、Windows 95でもなかったんです。よく覚えていませんが先輩の指示通り仕事して、初めの一か月は自社のオフィスで何か楽しく仕事していたような気がします。

二か月目、様子が変わります。遠くに行くのでついてきて、と先輩に連れられて、自社のオフィスから一時間半ほど電車でかかる郊外の都市へ向かいました。

そのときにに気になっていたのが、重いノートPCを持たされたこと。何に使うのだろうか。当時はバッテリーなんておまけで、重いACアダプターも持っていかないと使い物になりませんでした。

そして、ビルに到着し、先輩が私にこう言います。

「君には、デバッグ作業をやってもらうから、このオフィスに一週間ほど通ってくれるかな?。PHSを渡しておく。」

寝耳に水です。そもそもここまで来るのに、家から片道二時間半かかる。まあでも一週間の我慢ならいいか。それで私のほかに誰か一緒に来る他の先輩はいないんですか?。

「いないよ。ここはお客様の事業所があって、そこの空いている席で作業してほしいから。今からいこう。」

そのビルのエレベーターを使い中層の階に到着。そのころはセキュリティーも緩かったので、そのまま事務所に入りました。先輩と、偉いかもしれない取引先の方に挨拶をしました。

「ああ、あの件の。わかりました。」

記憶の限りだと取引先の方は目も合わせてくれなかったように思います。

その後、本当に雑然とした空いている席と、しょぼくれた椅子にご案内。そこから、私の一人・新人・他社常駐のお仕事ははじまります。

どんな仕事かというと、当時作っていたPHSのエミュレーターのプログラムは、お客様の設備をシリアルケーブルか何かで接続して初めて動きます。発信を受け取ったらプログラムが反応し、着信状態に推移・・みたいなことをやっていたんだろうと思います。この設備が、この場所しかなかったので、デバッガーとして任命されたという話です。場所も遠いし誰も行きたがらなかったのでしょう。

私は、事前に渡されたエクセルファイルの通り、そのプログラムを動かしていき、異常があったら記録する・・みたいな係でした。

当時はインターネットもまだ普及していなかったので、結果については電話で報告する、みたいなスタイルでした。

そしてこのPHSエミュレーター、全部が自社製ではなく、全体のプログラムのうち一部が自社の実装で、特に通信部分については他社のライブラリーでした。

で、このライブラリーがへぼで、テストをするどころか、テストをする前段階、いわゆる周辺機器の認識やら発信や着信やらといった、肝心なところでプログラムをフリーズさせてしまうのです。

ライブラリーを更新するためには、自社に一度帰り、フロッピーディスクを受け取ってプログラム更新をしなければいけない、みたいなこともありました。

困ったときは電話してね、と言われた割には、電話に出てくれない、とか。作業ストップで半日ぼーっとしてたり。

そして結局この仕事、二か月、この郊外の街に、知らない会社に、一人、長距離通勤させられ、サラリーマンって厳しいなあ、ってのと、先輩ひでえなあ、一週間ってなんだったんだよぉ、と思ったものです。

結構、昔の新人って扱いが雑で、そこからもいろいろとしんどい場面をかいくぐってここまで来ました。しかしまあ、未経験で、しかもまだ社会人になって半年も経たない新人を、知らない会社に二か月も放り出したなと思います。

そんで、その仕事が終わって、自社に戻ったと思ったら、今度は違う仕事にアサインするからって言って、その仕事場がまた他社。しかも前段の郊外の都市とは真逆の方向にこれまた通勤片道二時間。

結局自社で仕事することはそこから十年経たないとかないませんでした。

私の社会人のはじまりのころ。かなり忘れかけてた記憶を掘り出してみました。