orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

試行錯誤を楽しめないのではなく、試行錯誤をする時間が与えられていないだけだ

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ちょっと思ったこと。

 

anond.hatelabo.jp

増えてない?

いま、多くの人がやってることって、ググれば大抵のことはヒットする

ゲームの攻略法、カードゲームのデッキの組み方、儲かる転売商材、もう何でも


でもさー、本当は考えてそこに到達するのが楽しいんじゃん?

ゲームクリアできない、なんでだ?どこだ?ここか?こうすればいいのか?あっうまくいった!ってのがいいのでは?

最初から正解見て、その通りやって、俺は失敗しませんでした、って威張るの、時間の無駄じゃない?

いや、対戦ゲームとかで全国優勝とか目指してるなら常に最先端に身を置くのもいいと思うけどさ

友人との対戦とか、田舎のカードショップでの野良試合で、全国大会優勝者と同じもの使うってのは、それ楽しいのか?

借りてきた戦略で遊んで楽しいのか?


しかし、最近は借りてきた戦略でプレイすることすら億劫で、なんなら、人が遊んでるところ見るだけで自分も遊んで自分も勝った気になれる人が増えてるよね

まじで何が楽しいんだろう

 

今日、仕事してて、どんな技術を持っていれば大丈夫と言える状態なんだろうか、と整理してみた。そしたら、出てくること出てくること。身に付けなければいけないことが。インフラと言えばOS、WindowsじゃなくてLinuxもね、みたいな世界は昔にはあったけど、それでも全く不十分だ。たいてい仮想化はしているのでその知識も必要だし、インフラは、ネットワークとストレージが周辺に必ずある。ルーティングなどの低いレイヤーの話から、ファイアウォールにVPNに。そしてOSの上には必ずソフトウェアを入れるし、そのソフトウェアもたくさん種類がある。データベース、Webサーバー、諸々。セキュリティーの知識も必要で・・と、もうもりだくさん。それに、ハードウェアの知識も絡む。

いろいろ書き出すときりがないのだけど、とにかくたくさんある。それをね、私は試行錯誤してきたんだ、二十五年間。でも今業界に入って来た人たちは、全部を未体験なわけ。情報工学を卒業してきたとしても上記を全部把握している人間などいないだろう。情報技術と現場の仕事はいくらか乖離していて、理解する頭を学校で身に着け現場で腕を磨く、と言ったところだろうか。

この状況で、さあ試行錯誤しなさい、時間を与えよう、なんて言われて今日、明日頑張るのだけど、大きな山の一つの木くらいしか切り倒せない。多分に途方に暮れるだろう。勉強しようにも何から手を付けて行けばいいか。資格はそれを忘れさせてくれるけど、全てを網羅する資格なんて実はない。そして資格の勉強と「身につく」もどこか離れている。やっぱり試行錯誤してこそ身につくことは多い。

こうなってしまった原因の一つに、IT業界が2000年以降、地道に努力をしてソフトウェア資産と実績を積み上げて来たことがあるだろう。そしてベストプラクティスと呼ばれる「こういうときこうすればいいよ」もたくさんある。だから、何かをするときに、一から積み上げることなどほとんどない。今までの積み上げをいかに入手し最適化し、実装するかがポイントとなっている。

もう一つに、働き方改革であったりブラック企業廃絶であったりといった、残業時間の削減がある。問題に対して時間を徹底的にかけて解決するというアプローチが昔のものになってしまった。時間を使えない。最近では人手不足もあり、何しろ効率的に物事を運ばないといけない。使える時間が徹底的に減っている。

知識量は増大したのに、時間は減少、人手も減少。これでは、試行錯誤して問題を見つけることでスキルアップしたい、なんていうアプローチ自体がもう平成や昭和なのだ。今や全てを効率化しカリキュラムに落とし、効率よく身に付けさせるよう会社も考えなければいけない。技術者たるもの自分で勉強せい、なんて昔の経営者はよく言ったものだけど、こんな膨大な情報量で何を勉強するのか。これを適切に技術者に提供し、優先順位をつけ、そして必要な教材や費用も出す。これぐらいやらないときっと、今の若い人は何をやっていいかわからんのではないかなあ。

 

以上、ちょっと思ったことでした。