Twitterなりブログなりをやっていると気づくことがあって、人間はキレイすぎるものを見ると興味を持たないということです。
二つの物体があって、きれいな三角形と、いびつな三角形があるなら、ロジカルには、きれいな三角形を手に入れるだろうと思われるのですが、実際は、いびつな三角形の方を「はじめに見る」。
この「はじめに見る」というのが大事で、これがないと誰も手に取らないし買わないのです。ということは、デザインとしてきれいなものを突き詰めると、目に触れなくなるという面白さです。
日本人って完璧が好きですよね。電車は一分単位で正確に走らせようとする。金型の正確さは世界一。几帳面で整っているものを好む。これが世界で好まれて、メイドインジャパンが世界を席巻したこともありました。彼らは安い割にきちんと作るので、高級品より日本製がいいぞ、的な。
この路線で日本は成長を続けると思いましたが、今や先進国からこぼれ落ちようとしている。何で日本は選ばれなくなっちゃったのかなと思ったのですが、今回の話で少しピンと来てしまいました。
品質さえ上げていけばビジネスは成功する、のワナです。品質だけ上げていくと、きれいすぎて誰も見てくれなくなる。何かいびつであることに価値があることを認めないと、日本のプロダクトはどんどん世界から置かれていくことになります。なぜかというと、品質はいいけれど、誰も見てくれないからです。
例えばです。
× 私は愛媛のミカンが大好きだ
○ 私の大好きな愛媛のミカン
これ、「の」という助詞を1フレーズに2回使っているので、「おや?」って思うんです。赤ペン先生なら赤線付けちゃうところです。教科書的には良くない。良くないけど、目を引く方は下だったりします。
× このブログのタイトルを考える
○ このブログのタイトルを考える
極端な例ですが、上の文だと誰も読まないのに、下だとなんでここ大きくなってるの?、となります。
この下に記事があるとして、すっごく面白い文を用意していたとしても、まず目を引かないと手に取ってくれない。
× 美しき大地と自然
○ 美しき大地と自然
これもいかがでしょう。
下の方が読みにくい。大地で茶色、自然で緑色ならわかる。ずれてる!。ほかの字の色も薄くて読みにくい!。
つまり、書いてある内容以前に、目を引くことの大事さです。
基本的に癖がないと人は寄り付かない。ところが日本のプロダクトデザインは、どんどん癖のない方向に寄りがちだということを指摘させていただきたいです。
日本でも海外製品を使うことは今や当たり前になりましたが、日本人は気づいていると思います。品質についての適当さに。そして後から修正をかけていく。修正も全てに対して行うのではなく、怒られたところ、不満が強いところにフォーカスしていく。日本人好みの、全方向にキレキレに品質を上げていくアプローチは取らないのです。
本来のものづくりのロジックであれば、品質にこだわる姿勢は悪い事ではありません。ただしそれだけでは足りない。手に取ってもらえない。なのに、まだ精神論で品質第一主義の呪いから逃げ出せないのは、高度成長期の成功体験から脱却できないんじゃないかな、って思います。
テレビが年々つまらなくなったのだって、コンプラをガチガチに固めて、クレームを非常に恐れ、良いとされる方法ばかりを取り入れた結果でしょう?。
YouTubeだって著作権違反の巣窟だって言われたし、Amazonだって粗悪品やレビュー偽造の問題もあった。それらを置いといてもとりあえずリリースし、必ず改善していく。
デザインに不安定を持ち込み、とりあえず人目を引いたあとに固めていくというプランをもっと把握しないといけないのですが、学校教育も含めて、まだまだ課題山積といったところですね。
※今日のタイトルもこの記事を参考にしてみたのですが、バズるとは限らない(苦笑