2000年から2010年あたりのIT業界のメディア記事を読み漁っていたのですが、あぁ懐かしいなと思うことひとしきり。いろいろ面白い記事があるのでご紹介しておきます。
ただただ、あぁ懐かしいな、です。
2006/1/26
「Linuxと比較して、セキュリティの点でWindowsを不安視する向きがある。しかし、Linuxはミッションクリティカルに対応するものができあがっていない。WindowsかLinuxかUnixか、という選択の中で、ミッションクリティカルに使えるものであれば、どれでもいいと考えている。ただUnixの場合、ベンダーシップが強すぎるために日本ユニシスとしては採用することに問題があると考えている。Linuxについては、性能が安定してくれば採用したいと考えている」
今こんなこと言ったら、声を裏返らせて爆笑されそうな発言ですが、確かに2006年ごろはまだRedHat Linuxもバージョンが4のころ。あの頃の方がトラブルも多かった印象ですが、最近はほんと、安定したなぁ。
2007/9/19
デスマーチはデスマッチになりやすい――。SI業界でよく言われることだ。しかし、そのデスマーチを撲滅するための即効薬は、いまだ存在しない。そうしたなかで、デスマーチを撲滅するための「小さな一歩だが、大きな飛躍」と関係者から期待されている文書類が公開された。
中身を見てみると、ウォーターフォールの基本の基本のような図が出てきて驚きますが、このころはまだ、IT業界全体で構築のノウハウが溜まっておらず、プロジェクトとは必ず炎上するイメージでした。おかげで業界全体がブラックと言われ、人気も相当なかったものです。
こういう地道な努力のかいもあり、2021年の今は働き方改革にも対応できるほど、スマートにはなったと思います。ハードウェアやソフトウェアの変化もありき、ですが。
2008/4/14
「レスポンスは3秒以内に来てほしい」「システムダウン時は3時間以内に復旧してほしい」――。ユーザー企業が実現したい業務フローや業務データとその処理方法などを定義する機能要求とは別に、情報システムの“強度”とも言える業務データ処理量や応答速度、同時処理件数といった性能のほか、ハードウェア障害や災害への対策といった障害耐性などの非機能要求を、システムインテグレーター(SI)とユーザー企業との間で明確にしようという取り組みが始まった。
そうそう、非機能要件と言う言葉を非常に聞くようになったのはこのころです。インターネットがビジネスで積極的に使われるようになったのがこのころで、当時はデータセンター側も端末側も通信環境が貧弱だったので、少しの負荷ですぐに性能限界に達してしまい辛い思いをしたものです。
思えばこのころから、非機能要件との戦いが始まりましたが、この後起こる東日本大震災でまざまざと大事さを思い知ることになりました。アプリケーションの仕様だけではなく、ずっと、安全に使い続けることは妙に難しい。これについては意外にも2021年になっても解決されていないように思われます。
2009/4/13
ソフトウェア開発のビジネスにおいて、「人月」という単価ビジネスからいかに脱却するか、というのはよく議論される命題である。実際そこには個々のエンジニアのスキルを無視した、あたかも量り売りで材料を買い付けるような響きがあり、「平均単価xx円」で受注などと言われると、やる気も失せるというものだ。最近の受注単価動向を眺めつつ、その解決に関する議論をしてみたい。
この記事そのものは、人月商売を早く止めたいからといって、気軽にパッケージやSaaSに舵を切るのは危険、という文脈です。
大事なのは、この頃から人月商売、早く止めたいとみんな思っていたこと。
そして今もって、この命題から逃れられていないのが現実です。
むしろ単価は技術者不足により右肩上がりで、この業界は「やばいかな」と思ったら急に風が吹いてなぜか生き残ってしまう性質にあります。
2009/4/9
ビジネスにおいて欠かすことのできないツールである「名刺」。紙というアナログな媒体の名刺をデジタル化することによって、単純な情報管理にとどまらず、営業の効率化や顧客管理に利用することを目指すのが三三の「Link Knowledge(リンクナレッジ)」だ。Tech Venture 2009にて準グランプリと審査員特別賞を同時受賞した同社代表取締役社長の寺田親弘氏に話を聞いた。
今や名詞管理の代名詞と言えばSansanなんですが、三三だったんですね~。
今はほんとに会社は大きくなりました。
2009/5/28
2007年に「iPhone」が登場し、好意的に受け入れられて以来、これまでダイヤルキーが圧倒的多数だった携帯電話に、タッチパネルと直感的な操作が可能なユーザーインタフェース(UI)を採用するメーカーが増えた。
タッチパネルと優れたUIを組み合わせることで、「画面上にあるものに直接触れて操作できる」という分かりやすさを実現する方向性は、ユーザーのすそ野が拡大した携帯電話の進化にとって、非常に大切なことであるし、とてもいいことだと思う。しかし、国内のタッチパネル搭載携帯電話には、いまひとつ直感的でないUIを採用したものがまだ多いように思う。
今、タッチパネルケータイのUI、って言ったらほとんどの人に「え?」って言い返されちゃいそうですね。
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ということで、インターネットには2000年あたりからの記事がまだいろいろ残っています。IT業界の進化は、アメリカ企業の華々しい活躍を中心に語られますが、日本人が生きた20年も結構泥臭く改善を積み重ねて、結構大人びたと思います。しっかりしたシステムを安定して作れるようになったと思います。
ここからまた20年後、新しいイノベーションが更に生まれ、また別世界になっていくと思うと楽しみです。今の常識なんて、簡単に書き換わっているんでしょうね。そういう意味では、常識に囚われているのは本当に意味のないことだなと思います。