orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

インターネットがあるからタダで学べる、は大きな間違い

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私自身は文系出身からのIT業界就職組でした。もう25年ほど前の話です。

そのころはインターネットも草創期でそもそもつなぐことだけでお金が今よりもっとかかり、しかも情報が限られている状況でした。ですから学ぶ、と言えばもっぱら、大きな本屋に行っては情報系の書籍を立ち読みし、ピンと来た本を買うというサイクルでした。

とは言え、一冊5,000円近くする本が多く安月給の新人には懐は痛みましたが、何しろ情報が無かったので次々と本を買い込むことになりました。また、その頃のIT業界はまだまだニッチな分野で未経験者も多く、周りを見る限り詳しい人が少なかったので、今のうちに勉強すれば優位に立てると感じ熱心に勉強していた記憶があります。それは本当に今考えても正しくて、そのころ身に着けたことがその先二十年の仕事を助けてくれることになりました。

一方で、今はGoogleで検索すれば何かしらの答えが出てきます。また検索結果も日々リフレッシュされていて答えに日々たどり着きやすくなっています。

入門用の技術資料も無数に公開されていたり、技術記事も日々作成されています。

ですから、今IT業界に入ったばかりの人は、まるで、ほとんどお金を支払わなくても技術に対してタダ同然で学べ、有識者になれるような錯覚を持っている人もいらっしゃると思います。

しかし私はその感覚は錯覚だと思っています。初心者、入門者が、インターネットの資料を基に学習しようとすると、途中で迷宮に入ったような感覚になりゴールが見えなくなってしまい、中途半端な知識に触れただけで中級者になれず終わってしまうパターンが多いのではないかと推察します。

なぜ、情報にあふれたインターネットで学ぶと、中途半端に終わってしまうのでしょうか。理由をお伝えします。

 

 

①学習はプロセスの順番が大事であるため

例えばプログラム言語を身に着けるとして、環境構築から、言語の歴史、プログラムの基礎的なロジック、ライブラリの種類・・・等々いろんなことを知っていく必要があります。何かを知っていくプロセス、これをどう順番に並べたら習熟するか。これがカリキュラムです。カリキュラムには目的があり、そこへ到達するまでに複数のプロセスが存在し、そしてどういう順番で進んでいけば効率的かというロジックが含まれています。

たいていの入門書は、このカリキュラムを意識していて、初めに学ぶこと、その次に学ぶこと・・・、最終的にどういう知識を習得して本を読み終えるか。著者はロジカルに章を進めていきます。そしてそれらを何度か入門者にレビューしてもらい、学習に再現性があるかを検証します。効果的に学習できると言う自信があるからこそ、本ができるのです。

しかし、インターネットにある入門書は、そこまでの量がないものばかりです。これは「タダ」で配られているため、カリキュラムと呼べるほどのボリュームは保障されず、その中の一部分の狭い領域だけで終わっているものが大半です。入門と言うよりは「紹介」と言ったものが多く、これで中級者になれるはずがない、という資料がたくさん散見されます。

しかしその数だけは多いので、入門者は、インターネットに落ちているもので何とかなりそうだと錯覚するのです。結果として、いくら入門書をかじっても、門をさまよっているだけで何も身に着きはしないと時間だけを浪費したうえで絶望してしまうのです。

インターネットはあくまでも点の塊であり、ゴールを知らない入門者には学習資料としてはふさわしくない、と考えます。

 

②インターネットの情報にはウソが含まれているため

インターネットに書き込みをする人がウソを付いている、ということではありません。記事は著者が、著者の環境で記載した時期に検証したことを書いています。

しかし、環境は日々変わります。

その時期にはできたことが、今現在はできなくなっていることもあります。

それらを見極めながら学習をするのは、実際大変非効率です。

インターネットはある意味辞書のようですが、辞書をア行から読み始めて最後まで目を通しても言葉は身に着かないし非効率だし、そもそも全部読み通せません。

学習には向いていないと思います。逆に、中級者を超えたときに情報の真贋がわかるようになってから、調査をすると素早く判断することができるようになり、有意義です。

 

③インターネットには方法と結果はたくさん掲載されているが、理由がないケースが多いため

インターネットの記事で有用なのは「やってみた」なのですが、やってみたことが並んでいるだけで、なぜそうなのかという理屈までは省略されている記事が多いです。

ある程度の中級者になると、やってみたら理屈まで読めるようにはなるのがわかっています。

しかし、入門者が「やってみた」ばかりだと、理屈がわからないまま丸暗記の知識がたまっていくだけになります。丸暗記の知識は変化に弱いです。バージョンアップでUIが変わっただけで付いていけなくなる。クラウドの種類が変わると学びなおしになる。柔軟性がないと、特定の環境でしか利用できない知識ばかりを学習してしまうことになります。

本は、カリキュラム論で言えば、一つ一つの学習プロセスについておぼえて欲しいポイントを明記するため、理由を含めて学習することが可能です。

 

 

結論としては、学習を効率的に進めたいなら本を買おう、です。この原則は結局は昔と何一つ変わっていないような気がしています。むしろインターネットのおかげでつまづく人の数のほうが多いのではないか、とも思います。

最近は本だけではなく、本を元にオンライン授業を受ける、という学習方法もありこれも、教師が訓練されていれば有効かもしれません。どんなに情報化が進んでも、大学など専門機関で授業を受ける意味があるのが、カリキュラムがしっかりしているから、です。

運転免許学校を考えるとわかるのですが、どの学校にいっても所定のカリキュラムを受ければ、ほとんどの人が車を運転できるようになりますよね。

インターネットで「だれでもわかる車の運転法」みたいな情報をチラ見してもそうはならないことと似ています。

特に入門者は、本で体系的に学習すること。できれば有識者にレッスンなど、学習をリードしてもらえればなお効率的である。この点は強調しておきたいです。