orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

仕事に昼も夜も関係あるか、という感覚を持った理由

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特にIT業界に所属しているから思うのかもしれませんが。

システムは24時間動いています。最近のコンピューターは壊れなくなったな。昔はもっと壊れてたよという感覚には自信はあったのですが、日経Techのみずほ銀行の記事を見ると、意外とそうでもないのかもしれません。

 

xtech.nikkei.com

みずほ銀行で2021年8月20日、営業店の窓口業務が全面停止するトラブルが発生した。前日の19日午後8時53分ごろに営業店端末と勘定系システムをつなぐサブシステムで、データベース(DB)サーバーがディスク装置の故障をきっかけに停止したためだ。待機系DBサーバーへの切り替えも失敗、副データセンター(DC)に処理を切り替えた。副DCへの切り替えに着手するまで11時間超を要し、業務開始に間に合わなかった。

 

システムを支える仕事のエッセンスがこの記事には詰まっていて、私も経験したことがありますが、この最中にぶっこまれた時の精神状態は、「ゾーン」と表現することができます。深夜帯だというのに頭は冴えに冴え、時間の流れがゆったりと感じられ、いつもはできないレベルのマルチタスクをこなせるようになります。

この記事でもとても表現できているのですが、平常時ではできないようなアクロバティックな判断を行い成功させることができます。あえてリスクの高いその方法を選ばなければならず、であるならば最小限にリスクを抑えるべく、その場の人間はできることをやる。人々は言葉を交わさずとも障害復旧と言う共通の目的へまい進する。これは味わったことがある人だけが知っている、人間の特別な感覚です。

ただ、問題が解決しひと段落すると、途端にものすごい疲れに襲われます。ゾーンの後は集中力が下がり危険だとは言いますが、このような状況の後は、帰宅し眠りにつくまで油断してはいけません。かなり無理をして集中力を高めていたことを思い知らされるのです。

システム運用に携わる人はしばしばこのような緊張する場面に巻き込まれます。それも一度や二度ではない。そして何度も体験するごとに、普段の、平常時の活動こそ重要だということを思い知ります。平和なときにあのような活動をしていれば、これは防げた。そんなことを何度も体験すると、普段の仕事の精度が上がります。もし運用の現場に、普段の仕事の場で厳しい上司がいるとすれば、その上司はおそらく何度か、緊急事態を体験して、いくつかの大きな傷を心に追っているのかもしれません。実はその感覚こそが安定したシステム運用の源泉だと思います。

一方、人間が働いている日中だけシステムを見ていれば、システムは24時間無事に動いてくれるかというとそんなことはありません。結局は夜間もある程度は意識が必要です。ですから、24時間監視を監視ソフトウェア等で自動化しつつ、問題が起きた場合に通知を個人のスマートフォンなどに送って、俊敏な対応ができるようにしているのはどこの現場でもやっていることでしょう。

そのアラート、いったい誰が処理してくれるのでしょう。いろんなやり方があります。

 

①夜間シフトや3交代制などで、出勤を24時間化する(アウトソーシングを含む)

②就業時間外のアラート当番社員を決め、出られるようにする

③チームメンバー全員に送り、対応できる人が対応する

 

どの方法でも機能しますが、出勤の24時間化(①)はものすごくお金がかかります。ざっくり言って、週40時間が普通の正社員の勤務時間ですが、一週間は24 x 7 = 168で、4倍のお金が必要です。しかも、有休などで休むことを考えると人は多めに必要になるのでそれ以上かかることがあります。そのため、理想ではありますがコストの問題でこうはならないことが多いです。私も何度もこの手の見積をしては諦めました。

当番制(②)は、その当番がしっかり役目を果たしてくれればいいのですが、あんまりうまく行った現場を聞いたことがありません。平和な時間が流れていくと、当番を忘れたりサボったりする現象が起きます。

誰かがやる(③)というのはこれは、意欲の高い人に負担が集まっていきます。終業時間外に絶対に仕事しないと決めてかかる人にも出会ったことがあります。一方で、誰かがやらなければいけないので、と言って対応してると、だんだんメンバーが依存してきて、就業時間外に担当するメンバーが固定化していったりします。

どれもこれもメリットとデメリットが混在していますが、確実に言えるのは、安全なシステム運用には、就業時間外でもシステムを守ろうとする人材の存在が必要だということです。

どの職場でも断言できます。システムの安定稼働を24時間忘れず、いざと言う時に気づき、俊敏に行動できる人が、出世していきます。戦時には戦闘で剣をふるい、平時には準備にぬかりがありません。

---でも、これって、就業時間外にも働いているようなもんじゃないか?---

と思う時があります。

というより、明らかに働いていると思います。仮に何もしていないとしてもシステム安定稼働というバリューを24時間出し続けているんじゃないか、と。であれば、就業時間内も外も、昼も夜も気持ちは似たようなものです。

一応メリハリを作るために、予定作業は就業時間内に入れます。だから外から見れば、安定稼働しているうちは、運用メンは就業時間外は休んでいるように見えます。でも、やっぱりそんなことないです。心のどこかでいつも何も起こっていないことを確認し続けています。今はスマートフォンが手放せません。何も起きていないのは不断の努力がなせる業です。

 

今回は、私の領域であるシステム運用の、何となく解放されないシステム運用のストレスの話でしたが、どの業界でも、休みに100%休めないという領域があるのではないでしょうか。医療、消防、警察、防衛、行政など、就業時間外にも働いているような方はいらっしゃるでしょう。

だから、結構労働法の通りに働くということを表現するのは、24時間起きている現代は難しいよな、といつも考えます。できるのは、精一杯休むためにも平時に情熱をこめて何も起きないための努力を行うくらい。休みに休めるのは、ご褒美、と言う感覚です。